元芸人と元AV助監督の交換日記#8

 祈から日記を80倍くらいに希釈したものが送られてきた。日記の内容こそ無に等しいものの、仕事を頑張る後輩にお互いに歳を取ったのだなと実感する。そんな中、相も変わらず送られてくる質問を読み、ある疑問が頭をよぎった。因みに今回の質問は「仕事をして初めて落ち込んだことは?」というものである。そう、この男は辛かったことや、落ち込んだことなどマイナスな感情についてやたら聞いてくるのだ。祈の目からは、そんなにも自分は辛気臭い人間に見えているのだろうか。確かに飲みの席の会話と言えば、身のないおふざけ話か悪口と愚痴の2つで成り立っているので、辛気臭い人間と思われていても仕様がないかもしれない。でも、たまにはハッピーな一面を掘り出していただきたいものだ。と、いつもの愚痴が決まったところで祈からの問いに答えよう。

 仕事を始めてからは落ち込むことの連続で、正直なところ落ち込み童貞卒業は覚えていない。人材営業が仕事のこともあり、トラブルとは切っても切れない仲である。その為、トラブルの度に各所に頭を下げては落ち込むことの繰り返し。そんな生活を送っていると、いつからか感情を持たずに仕事をすることが当たり前となっていく。一週間の大半が無感情なのだからこのまま続くとPepper君になってしまうのではないか。

 さて、どうだろう。仕事のことを書こうとすると文字を打つ手が進まない。それどころか、仕事について文章を書こうとすると、頭の回転が本田圭佑のFKよろしく無回転になってしまう。社会人という面では、祈に僕の先輩としての姿を見せられる日はかなり遠い。だから祈よ、その日が来るまで仕事のことに関しては触れないでおくわけにはいかないか。口をつぐむわけにはいかないか?

 とは言ったものの、仕事以外で日々何をしているかと聞かれても答えに困る自分もいる。最近始めたものとしてゴルフがあるが、如何せん「丘サーファー」ならぬ「打ちっぱなしゴルファー」の為、文章にするほどのトピックスがない。困った僕は改めて、「日記」という言葉の意味を調べることにした。すると「日記」といえど何も内容に関しては日々の出来事に限定したものでなくても良いという記述が目に留まった。そこで再度提案になるが、この交換日記ではお互いにその日に書きたいものを書く形式をとりたい。もちろん日々の出来事でも良いし、全く関係ないことでも良いし、もう質問もいらない(もちろん必要であれば質問をぶつけてもらって結構)。「交換日記」の皮をかぶった「エッセイのぶつけ合い」へと舵を切るのもまた一興なのではないか。斯様に思います。

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