ROLLS ROYCE | アイデンティティ刷新
1906年に設立された、イギリスの高級自動車メーカー "ロールスロイス"のVIが、Pentagram社によって刷新されました。
| ロゴデザインの刷新
ロールスロイス社は、同社の既存指針は生かしつつ、若年層など多様なニーズへの魅力をさらに高めたいと考えていました。Pentagram社は、ロールスロイスチームが開発した戦略に基づき、既存ブランドの各要素を慎重に見直し、そのデザイン精神/デザイナー/アイテム/シンボルなどと客を繋ぐユニークな関係に注目しました。
新調されたワードマークはより繊細になり、ロールスロイスの時代性を感じるマークに軽さを与え、より洗練され堂々とした自信を反映しています。このマークは1930年代に使用されたワードマークのオリジナルのアールデコ風のタイポグラフィに基づいているそうです。
また" MOTOR CARS "という言葉の扱いが小さくなり" ROLLS ROYCE "をより強調しています。以前は書体にGill Sansが使用された上、字間が空きすぎているので、少し散漫な印象でした。また、Rの文字の太さも太い印象で精緻されていないようです。※Gill sansが悪いわけではなく、字の扱い方の問題です。
| モノグラムの変更はナシ
ロールスロイス品質の印としてのダブル "R" のモノグラムは、大きな変更はありませんが、ブランドコミュニケーションの一部としてだけではなく、車体の金属バッジとしても表示されます。
| ラグジュアリーシンボル "The Spirit of Ecstasy"
ロールスロイスの車体アタマについている、象徴的な彫刻 "The Spirit of Ecstasy" もオンライン/オフライン使用のためにより抽象化されました。この彫刻は、1909年に彫刻家であるCharles Robinsonによって誕生しました。この左の方ですね。パイプタバコが渋め。
2次元で描かれると、女性は左から右向きに変わって、未来へと大胆に向かう様子を反映しています。前回の像の表現が風を感じるような美しいラインがいくつもあったので、フラット化にする作業は想像するだけでも大変そうですね…。そのためか、スピード感を出すために、前回にはなかった地面のラインが右方向に向けて動きのある表現をしていますね。
|パターンの開発
"The Spirit of Ecstasy"のフォルムをラインで表現した視覚的パターンも作成され、新アイデンティティに最先端の要素が追加されました。
|パターンの設計システムを構築
このパターンは、オンラインでも使用できるように、" Spirit of Ecstasy Expression Generater " と言われる独自のジェネレーターを開発し、自由にカスタムできる投影パターンシステムを設計しました。
これにより、スケール/色/構成に応じて独自の構成が作成でき、コーディングから刺繍、印刷、彫刻まで、あらゆるデジタル媒体で使用できます。この設計はロールスロイスのブランド価値を完全に表現し、時代性に合わせたアイデンティティの確立を示しています。とてもユニークで新しい試みですね!
| アイテムへの展開
濃紫がブランドのメインカラーになり、前回の支配的なブラックなどの暗い印象から離れて、男性と女性の両方にアピールできるカラートーンになっています。また、この紫にはアクセントにオレンジやフルオロピンクが鮮やかに使用されることで、状況に応じてブランドを落ち着かせたりエネルギッシュな印象にすることを可能にしています。
高級感溢れるファントムラゲッジコレクション。9人もの職人に手作りのリレーがされていて、内側もモノグラムが美しく裏打ちされています。1つの作品の制作には最大18時間かかるそうです。
カーディーラーのようす。パターンが美しいですが、実際の外壁にどう表現させるのかが気になりますね。
以上、ロールスロイスのアイデンティティ刷新のnoteでした!
最近、自動車ブランドのアイデンティティ刷新が多すぎるので、一つにまとめたnoteも書こうと思います。
b.labo
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