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『社内の「知的確信犯」を探し出せ』④良い人を演じる

感情が希薄で、どんな悪事を働いても良心の呵責を感じないサイコパス。

サイコパス特有の技術

そんな悪質なサイコパスを良い人と思い込んでしまう人が、結構いるのはなんとも不思議である。『社内の「知的確信犯」を探し出せ』(ロバート・D・ヘア/ポール・バビアク著)には、それについて説明している。

理由はサイコパス特有の技術にあるという。

第一に、サイコパスは人と会うと、その人の心理を読み取ることに大きな精力を注ぎ込むというのだ。

サイコパスは他人の心理を読み取ろうとする意欲が旺盛で、その能力が高く、しかも、相手の好き嫌い、目的、要求、欠点、弱みを短時間で見抜くことができる。

『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

人は好きなこと、関心のあることに意識が行くし、関心を持っていると、他の人が見落とすような情報でも敏感に気づく。サイコパスにとって、他人の心理を読み取ることは、何よりも大きな関心なのだろう。

また、多くのサイコパスは優れた話術を身につけ、周囲に与える自分の印象を自在に変える技術も発展させるという。

(サイコパスは、)人は話の中身よりも話術の巧みさに引かれる傾向があるという事実をうまく利用している。会話に中身がなく、誠意が感じられなくても、自信と迫力に満ちた話ぶり――専門用語、決まり文句、美辞麗句を散りばめることが多い――でそれを補うのだ。

『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

サイコパスに接した経験のある研究者は、彼らを‟社会のカメレオン”と呼ぶ。

『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

サイコパスの喜びとは

多くのサイコパスは相手にどうしたらよく見られるのかという技術を人一倍発展させている。なぜなのか。それは、全てのサイコパスに一貫する目的と関係がある。

その目的とは、他人を操り支配することだ。

サイコパスが人の心理を読みとる意欲が高いのは、相手の心理が分かれば、相手を操り支配する上で、有利になるからだ。

人を操り支配することにサイコパスは喜びを感じる。愛情、友情という心と心の関係を結ぶ感情を持ち合わせていないサイコパスは、人を支配することでしか心を満たす術を知らないのである。

人に好かれたいとか、尊敬されたいという願望を持つこと自体は、そして、その願望をかなえるために必要なことをするのは、必ずしも不誠実とか偽善的とはいえない。他人から認めてもらいたいと思うのは、ごくノーマルな欲求だ。しかし、他人の気持ちを無視する、あるいは不当に利用しよとした瞬間から、それは不誠実な行為になる。

『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

不当かつ無神経に他人を操ろうとする意図があるか否か。これがサイコパスとそれ以外の人のアプローチの相違点だ。

『社内の「知的確信犯」を探し出せ』

サイコパスが、表面的には他の人と同じような行動をしていたとしても、他の良心を持つ人たちとは、根本的なところで全く違うのである。

ただ、全てのサイコパスが高度な心理読解能力や話術を身につけられる訳ではない。そうした能力を身につけられなかったサイコパスは暴力的に人を支配しようとする。

この手のサイコパスが、時々世間を震撼させるシリアルキラーや暴力的な犯罪者になるのだろう。

一方で、非暴力的な方法で、他人を支配する技術を獲得したサイコパスは、サイコパス社員として、上司や同僚を貶めることを楽しみ、会社を危機に陥れるゲームを楽しむのである。

いずれにしても、サイコパスがもたらす行動は、破壊へと向かう。

今、私は、まさにそれを目撃している。

今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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