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【虎に翼 感想】第60話 道男の巣立ち


道男の謝罪

はるさんの葬儀が無事終わった。祭壇には、花と写真とともにお骨が置かれている。

猪爪家の家族と一緒に見送った道男は、意を決して花江に謝罪する。
“誰も分かってくれない” と、心を閉ざして離れていくのではなくて、心を開いて本音を話してくれている。あの日、なぜあんなことを言ったのかを。

「ばかみたいだけど、猪爪家の人になりたいって思っちゃったんだ」
「思っちゃったんだ」の言い方に泣けた。はるさんをはじめとした猪爪家の愛情に触れ、家族になりたいという欲が出ちゃったんだけど、やっぱり無理だよねという感じが泣けた。
一昨日もその前も書いたが、道男はやはり、花江に母親の面影を重ねていた。「俺がなりたいのは、直人や直治、優未なんだよな。そんなこと無理なのに」

今さらだが、そもそも家族とは、血の繋がりがなければいけないのだろうか。花江の存在が、その答えを明白なものにしている。
だから、寅子の「もう、おおむね同じようなもんよ」っていう軽い感じの返しがしっくりきた。難しく考えることはなかったのだ。
もう家族みたいなもんじゃん!からの花江の「これから先は、もっとそうなっていく。それじゃダメかな?」に、構えず、難しく考えずに自然と頷くことができた。

男子と子どもたちだけでご飯の支度をする。それを自然にできる猪爪家。
直人が年上の道男を弟扱いするところもよかった。道男と直人のわだかまりも解消できている。

「お天道様はちゃんと見ている」
はるさんの言葉一つ一つが、道男のこれからの人生の道しるべになっていくんだね。


変わらない、よね

よねは相変わらずだ。
「いつ居なくなるか分からんヤツの言葉は届かない」
よねは、また裏切られるのが怖かった。

轟……今日も奥から登場するのを待ちわびていたが、こちらは良い意味で裏切られた。可愛いじゃないか……。
「俺の前でかっこつけるな」「生きていれば、道が離れることも、また交わることもある」
今のよねに、こんな風に言ってくれる大人はごくわずかだ。

思えば終戦後の数年間、よねはあまり大人と関わってこなかったのではないだろうか。
関わる大人といえば、轟法律事務所に相談にくる人くらいだろう。あとは子どもたち。いずれも、よねを慕って集まってくる種類の者ばかりだ。意見する者などいない。
よねがいつも決めつけたり諦めが早いのは、本能的に傷つくことから身を守っているのかもしれない。多くの大人と関わっていれば、さまざまな感情のすれ違いを経験し、寅子との決別も記憶が上塗りされ薄らいでもよいはずだ。だけど、今のよねは時が止まっているかのようで、あの決別の記憶がまだ重くのしかかっている。だからますます頑なになってしまうのだ。

最初に高等試験を受けてから、すでに干支が一周している。


傍聴マニア、笹ずしのおっちゃん復活!

笹ずしのおっちゃんが東京に戻ってきた!道男に道が開けたぞ!
「うれしいねぇ~来てくれるのかい」
なにげない言い方だったけど、言われ慣れていない道男には嬉しいことこの上ない。
猪爪家とは ”おおむね家族みたいなもの” ではあるが、決して定住する場ではない。おっちゃんの元で手に職をつけることが、自立への道だし、まさに家庭裁判所が理想としていることだ。
今後は、寅子の節目節目には道男が寿司を持って来てくれるのか。楽しみが増えたぞ!

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その日の夜。
寅子と花江は、言いつけどおり、はるさんの日記を燃やしている。
二人だけになると、やっぱり親友同士なんだと実感する。
10年後まで貯蓄計画を考えていたなんて、几帳面なはるさんらしい。
寅子の年収まで書いてあって、ある意味プレッシャーだが、はるさんは娘のことを信じている。これできっと頑張れるな。

これまでのはるさんの歴史が描かれる。まだ3か月も経っていない間のシーンなのに、どれもこれも懐かしく感じてしまう。はるさんが主役の朝ドラだったら、とっても大団円な終わり方だ。
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家庭裁判所の審判、島田道男くんは、無事、不処分となった。
最後、戦災孤児の問題は20年続くと、オノマチにクギを刺された。道男は恵まれた例かもしれない。それでも、一人でも多く道筋をつけてあげることが必要だ。愛の裁判所は、今回、一つ成功体験を得た。


梅子、久々の登場

大庭徹男が亡くなった。梅子も臨終に立ち会っている。梅子は、あの高等試験の日に光三郎と共に家を出てから、どんな生活を送ってきたのだろうか。離婚したとき徹男には若い女がいなかったか。不穏すぎる終わり方だ……。

次週予告

大庭家に相続問題発生。家庭裁判所に寅子、梅子、よね、轟が揃っている。
民法改正前なら、家督相続で全ての財産を相続できた長男、徹太。
その兄が “跡取り” として大事にされているのを間近で見てきたであろう次男、徹次。
三男、光三郎は、ギリギリ未成年かな?だから梅子も親権者として立ち会っているのだろうか。
後妻とその子どもがいたら、さらにややこしい。
そして、明治から時が止まっていそうなラスボス姑、大庭常、初登場!
それぞれの感情が交錯し、ドロ沼のザ・相続争いとなるのか。
どうなる、大庭家!


「虎に翼」 6/21 より

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