青森旅行最終日
日も明けて3日目…。
…ついでに月も明けてはや11月……。早いものです。
さて、遂に青森滞在最後の日を迎えました。
旅行の最終日と云うのはどこか少し寂しい氣持ちになるものです。
つい2日前のあの高揚感は最早遠い昔の思い出になりつゝあります。
朝一番は、このお部屋の素晴らしいお風呂で朝湯を愉しみます。
温泉宿に泊まる時は必ず毎朝朝湯を愉しまなければ氣が濟まないのです。
これがこのお風呂の脱衣所です。
今更乍ら寫眞を載せておきます。
お風呂上りはリンゴジュースに美味しい朝食。
食後に宿特製のゴボウ茶を一杯…。
これがなかなか旨かったのでお土産に賈っておきました。
食後に2日間のお礼も込めて小野田少尉の肖像に一礼します。
食後に最後のお風呂…。
幾人もの宿泊客を見てきたであろう苔むした庭石が今回の客の私を見送っている様でした。
チェックアウトを濟ませて宿のお車で驛までお世話になります。
ここで旅館の方にお礼を申し上げてお別れです…。
風流な便所で一息…。
跨線橋を渡って反對側のホームへ。
あとは特急列車の來るのを待ちます。
素晴らしい宿の素敵な思い出を道連れに私は特急列車に乗り込みます。
特急列車とは「特別急行列車」
即ち特別に乗るものであるからして、私はいつも旅のお供を用意するのです。今回はこの炭酸飲料。
しかし、私のこだわりはこのペットボトルに附いているプラ製のカップ。
これは以前、山形を旅した時にお土産で持って帰ってきた罐ワインに附いていた物で今回の旅にも同行させました。
この通り、殆どの形のペットボトルや罐ボトルにカポっとピッタリフィットなのであります。こうして瓶にはめ込んでおけばカバンに入れても大丈夫です。
カップに注いで飲む往年の「ポリ茶瓶」を彷彿とさせます。
私は別料金の發生する2等車(俗に言うグリーン車)や優等列車に乗る際はこの様に飲み物をコップに注いで飲む事にこだわっているのです。
何分にも風流な旅を大事にする身の上、瓶に直接口を當てて飲むのは無粋な事だと勝手に思っております。
何ら珍しくもないペットボトル飲料がこうしてみると何やら高級感が出てきます。
そうです。これは「特別急行列車」なのですから、上品に飲みましょう。
夏の青々とした山を車窓に見て、何とも優雅なひと時…。
この取るに足らない「こだわり」が私の旅を實に面白くするのです。
列車は新青森驛に到着しました。
まずは手荷物をロッカーに預けて身輕になります。
そして初日に訪れなかった青函連絡船の八甲田丸に乗り込みます。
間近で見るとこの通り、かなりの迫力です。
全軆を寫そうとするとかなり引かなければなりません。
八甲田丸は津軽丸型客載車輛渡船の2番船。
排水量約5300トン。全長132m。
單純な比較の上で軍艦で言うと、輕巡洋艦級の大きさではなかろうかと存じます。…とはいえ、やはり本物は凄いのでした。
嘗ては青森驛と線路がつながっており、ここから鐡道車輛が船尾ハッチより積載されて北海道へ渡って行くのでありました。
船内の車輛甲板には線路が敷かれており、客車そのものを船の中に入れてしまうなんて今ではとても想像出來ませんが、時間がゆったりと流れていた古き良き浪漫溢れる時代の旅を思うと樂しくなると同時に少し寂しくもなります。
この八甲田丸、今は博物館となっており船内を見學出來ます。
「出入口」ではなく「乗船口」
イルカのエンブレムが目に入ってきます。
船内には船をとりまく港の風景が再現された展示もあります。
なんだか、違う世界に迷い込んでしまったかの様です。
昔の時刻表は見ているだけでも樂しくなってきます。
勿論、物理的な快適さは今日の鐡道が勝っているでしょう。
でも、そこへ行き着いてしまった後に思い出した忘れ物がここにある様な氣が致します。
模型好きの私にはこう云う展示はたまりません。
同型船の精密な模型が並んでいます。
ちなみに後ろに寫り込んでいる人影は當時の作業員のマネキンです。
先程少し申し上げた車輛を船の中に載せる様子が解り易い模型です。
黒色の有蓋貨車が積み込まれています。
鐡道車輛の模型も展示されています。
旧型客車に24系ブルートレインと思われる、我々からすると「夢の様な時代」の車輛達です。
見たところサイズはHOゲージ。車輛は解りませんが線路は恐らくエンドウ製ではなかろうかと…。
こんな感じの「あ、こうなっているのね…」と云う展示が好きです。
スマートフォンを持っている私の手がアクリルケースに寫り込んでいるのを氣にしてはいけない…!
シンボルマークのイルカ君もみんな一緒に「ハイ、チーズ!」
いつかは自分の寝床でもやってみようと一枚…。
當時の1等座席も残っております。
しかも、これは實際に座る事が出來ます。
国鉄モケットの肌触り、ツマミを押し上げてカクカクとするリクライニング、そして灰皿…。
懐かしい感じの座り心地を確かめ乍ら恰も船は津軽海峡を渡っている様であります。
この席の隣の窓台に辯當と酒なんかを置いて津軽の海を見乍ら…なんて想像すると、とても樂しそうです。新幹線なんかで北海道に行くのが馬鹿々々しくなります。
据え付けられているテレビには青函連絡船が就航していた時代のドキュメンタリー映画が流れています。
今日ではどこへ行くにもたゞ早いだけしか評価されない時代。
もしも今度北海道に行く機會が有れば時間は幾らかかっても良いから是非青森から夜行フェリーで行ってみたい!…とか思いつゝ、今はもう動かない船の1等座席で思いに耽るのでありました。
…後半へ~續く!
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