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東京タワーで最高な朝を

子どもの頃から、朝起きるのが苦手だった。

目覚まし時計が鳴っても無意識のうちに止めてまた寝てしまうし、一度目を覚ましても気付いたら二度寝している。

だから、世の中のみなさんがどうやって毎日起きているのか気になって仕方がない。
朝ちゃんと起きられる人って本当に偉いな、と常に心の底から思っている。

それに、寒い日も大の苦手だ。
だから、冬の朝なんて普段の私からすれば最悪以外のなんでもない。


そんな私だったが、つい先日「最高な冬の朝」を体験したので、ぜひそのお話を書きたいと思う。


最高な朝の舞台は東京タワー

毎月第2・第4土曜日に開催されている『天空を楽しむ茶道体験 朝茶の湯』というイベントがある。

これは、早朝に東京タワーの展望台から景色を眺め、お抹茶とお菓子をいただくというもの。

イベントのことは以前から知っていた。
面白い試みだなと気になってはいたのだが、茶道の心得なんて持ち合わせていない私は、正直あまり興味を持っていなかった。

しかも、早朝から東京タワーに行くというのは、早起きが苦手な私にはあまりにもハードルが高い。


しかしホームページで詳細をよく見てみると、参加するにあたって準備するものもなく、服装も自由。
それに加え、イベント前後の展望台を自由に見られるというではないか。
ということは、誰もいない東京タワーで景色見放題ってこと…!?

そんなの、展望台好きなら行くしかない。
私の中で「朝が苦手」よりも「寒いの苦手」よりも「誰もいない東京タワー行きたい」が圧倒的に勝った。

ということで、勇気を出して東京タワー営業開始前である8時15分開始の回を予約。
私のミッションはただ1つ。時間に間に合うように起きること。

前日の仕事を午前中で切り上げて東京に向かう。
宿泊するホテルは、最悪寝坊してもなんとかなるように東京タワーから徒歩圏内のところを選んだ。


そして迎えた当日。
ちゃんと起きれるかな…と緊張しまくって寝た結果、セットしたアラームよりも早い5時50分に目が覚めて自分でも驚いた。
人間楽しみなことがあれば、苦手な早起きも頑張れるのだ。


この日は運よく快晴。

最強寒波の襲来で、温暖な気候で有名な私の地元にも少しだけ雪が積もった数日前に比べると随分と過ごしやすい。
空気も澄んで雲一つない青空が広がるこの日は、最高の展望台日和だった。


外で受付を済ませると、係の方がまだ営業前の東京タワーへ入れてくれる。

イベント参加者のみなさんと共にしばし待機。
いつもは観光客で賑わっているチケットカウンターやエレベーター乗り場には誰もおらず、静まり返っている。
こんな貴重な光景…たまらない…!
この時点で結構テンション上がってます。


その後、エレベーターでメインデッキへと登る。

エレベーターが到着したその場所にも、当たり前だが誰もいない。
そんなメインデッキを係の方に案内されながら歩くのは、選ばれし者感があってすごくドキドキした。


いつもは景色を楽しむ場所である展望台に、畳が出現するのはとても不思議な光景だ。
メインデッキは窓が大きく、座っても景色が見やすかった。
というか、今考えると展望台の床に座る経験もかなり貴重かも。


冬は寒くて苦手だけど、展望台からの景色が綺麗に見えるところは大好き。

この日もタワー周辺はもちろん、富士山までも見ることが出来た。

こんなに景色が綺麗に見える日はなかなか無いんだとか。
きっと日頃の行いがいいからだろう。
ありがとう、今日までの私と一緒に参加したみなさん。

目の前に広がる絶景と朝の静かな空気も相まって、なんとなく緊張感のある雰囲気。
私は、背筋をピンと伸ばして畳の上へ座った。


この日のお菓子は鹿児島県の銘菓「かるかん」
お茶と一緒に写真を撮りたかった私は、しばらく食べるのを我慢したけれど、お茶を飲む前にお菓子を食べるのが本来の順番だそうだ。

こんなかんじで、茶道や茶道具に関する様々なことを教えてもらえてとっても勉強になる。
それだけでなく、景色の解説や東京タワーに関する小話など色んなお話が聞けてとても楽しかった。


こちらは、かるかんを乗せていた懐紙。
よく見てみると端にスタンプのようなものが。
実はこれ、東京タワーの前社名「日本電波塔株式会社」の契約印なんだとか。
こんな貴重なものが見られるのも、このイベントならではだ。


お茶もお菓子も美味しくいただき、今回使われた茶道具の記念撮影などをしてイベントは終了した。


お開きとなればその場で解散。
そのあとは満足するまでメインデッキからの景色を楽しむ。

「東京タワーに来るなら、朝がオススメかもしれない。」
そう思った理由は、営業が始まってすぐの時間は人が少なく、とっても快適に景色を見ることができて良いからだ。
雨のせいでめちゃくちゃ空いてる東京タワーにも来たことがあるが、やはり晴れていて空いてるに越したことないよね。


とにかく天気が良く空気が澄んでいるので、本当に遠くまで見渡せて最高。富士山と六本木ヒルズが一緒に見られることなんてあるんだ。
このままいつまでも眺めていられると思えるほどの絶景に、早起き出来た喜びを改めて噛み締めた。


「早起きは三文の徳」という、よく耳にすることわざがある。
確かに、早起きをすると気分がいいし、やけに得をした気分にもなる。
しかし調べてみると、三文とは極めてわずかな金額、安価なものという意味らしい。

気持ちよし、景色よし、お茶美味しい。
早起きして東京タワーで過ごす朝は、三文なんか優に超えるほど素晴らしい時間だった。


この日から早起きが習慣になった…なんてことは全くなく今日も時間ギリギリまでお布団から出られなかったわけだが、東京タワーで過ごした最高な朝のひとときは私の中でキラキラと輝く思い出になった。
季節が変われば見える景色も表情を変え、また新たな感動に出会えるだろう。
暖かくなった頃にまた参加してみたいと思う。

ちなみに参加は事前予約制で、各回20席しかないので興味のある方はお早めに。


公式ホームページ↓


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