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【朗読雑記】小川未明『赤い蠟燭と人魚』~怪談の向こうに見る”親”の心持ちと身勝手さ~


序文:久しぶり所感、プチエッセイ

久しぶりに note を書いている……。
youtube に 朗読動画を上げた際に、時たま動画の内容や朗読本の感想などを書いていたのだが、しばらくご無沙汰だった。
しばらく――とは? と、改めてみるに、最後の投稿は5月初旬となっていた。4か月以上前となる。
一方、youtubeの方は一応継続して朗読動画をあげている。
前回朗読したのは豊島与志雄さんの童話『雷神の珠』だった――が、これが哀しいかな、見向きもされない……。
豊島与志雄さんの童話、面白いのになぁ……と沈みこんだ。

https://youtu.be/No6wy89L-Ss

だから正直なところ、もうほんと”なん”だし、辞めようかなぁと真剣に考えたり、いやいや、とりあえず「朗読してみた50」までは続けようよと自分に言ってみたり……と葛藤中。
そんな中で、とりあえず”さらに追加の1作”となる作品をアップロードした。
それが小川未明の『赤い蝋燭と人魚』。
すでに多くの朗読動画がある作品なのだが、東京都立図書館のHPに「おすすめ」としてあがっていたのを見たのをきっかけに、改めて読む――そのついでに”読み上げても”みる気になった。
このホラー感が今は好き、かもw?

ところで「アップロード」といえばちょっと前、懐事情でインターネット(光回線)を解約した。
今はとりあえず”使える回線”を使っており、はじめは、まぁそんなに不便ではないかな、と思っていた。
ところがyoutubeに動画をアップロードしたときに、心底ビックリすることになった――なんと、アップロードにかかる時間が桁違い!!
昔は〇分レベルだったけれど、今じゃ〇時間といっても決して言い過ぎにはならない――それほどに、違う。
もし仕事で「メガファイルをアップロードする」という人なら、笑えないことになるはずだ。
普段はあまり意識しないことだが、いやはや、上り速度っていうのも重要なのね……と思う今日この頃。

小川未明『赤い蠟燭と人魚』の朗読雑記

小川未明さんの『赤い蝋燭と人魚』を読み上げました。

今回のMy朗読モード

わりと速め。
読み手が、悲壮感漂う悲しい話だと思って読んでいます……。

動画モード

朗読動画だということを考えると、後半は無用なことをちょっとやりすぎたかな、といった感があります。正直、疲れてしまったw。
(だから、お願い、だれか”見て”……。)

お話の概要と感想(ネタバレなし)

生まれてくる子どもの幸せを願ってわが子を手放した人魚。
幸せな環境だと信じた人間社会、だが、その結果は――?

身勝手な”人間あるある”からくる「怪談」です。

青空文庫 【作品情報】

「図書カード:No.54372」の作品です。
https://www.aozora.gr.jp/cards/001475/card54372.html

作品名:赤い蝋燭と人魚 ( あかいろうそくとにんぎょ)
著者名:小川 未明
初出:「東京朝日新聞」1921(大正10)年2月16日~20日

底本:文豪怪談傑作選 小川未明集 幽霊船
出版社:ちくま文庫、筑摩書房
初版発行日:2008(平成20)年8月10日
入力使用版:2010(平成22)年5月25日第2刷
校正使用版:2010(平成22)年5月25日第2刷

底本の親本:日本児童文学大系5
出版社:ほるぷ出版
初版発行日:1977(昭和52)年11月

入力者名:門田裕志
校正者名:仙酔ゑびす

TEXTファイル作成日:2012-01-01(修正日:同日)
XHTMLファイル作成日:2012-01-01(修正日:同日)

お話の概要と感想(ネタバレあり):朧月の解釈

小川未明さんの『赤い蝋燭と人魚』。
傑作としても名高い、大変有名なお話で、wikipediaにも単独の解説ページがあるほどです。

『赤い蝋燭と人魚』の”本質”は?

ただ、そのwikiのページでは、本作について

 「人間の優しさに幻想を抱いた人魚の母によって、老夫婦に託され、裏切られた人魚の娘の物語である。」

と説明されているのですが、これには個人的にちょっと違和感をおぼえなくもありません。

というのも、この作品は「人魚の娘の話」というよりは、むしろ、2つの親(実母と養父母)――その姿と心持ち――に焦点があるのではないかと思われるからです。
とはつまり、「人間、その身勝手さ」と「子を思う親の心」です。
タイトルの『赤い蝋燭と人魚』の「人魚」も、厳密にいうなれば、”母親”の人魚の方のことだと考えています。

また、人魚が人間に対して幻想を抱いていたとされていますが、人魚が人間について思ったことは、特別なことではなく、普通にそうである……人間の姿にすぎないと感じます。

けれどもいつの世も、普通は”絶対”ではない――。

例えば、可愛がっていたはずのペットを捨てる人もいれば、保護する人もいます。
しかしこれはともに”普通”を超えたことだといえましょう。
自分がペットを飼ったならば、最後の最後まで世話をする――これこそ普通で、特別なことは何もない――、そしてほとんどの人がそうしています。

普通ができず、ふとした拍子にとんでもなく身勝手になってしまう、そんな人間の性が哀しい話でした。

「親の心持ち」を描く小川未明

小川未明さんの作品の中には、「親と子」、さらに言えば「子に対する親のあり方」について扱ったものが結構あり、それに関する彼の思いや考え、価値観などが伝わってきます。

『赤い蝋燭と人魚』は怪談ではありますが、作品に対する視点によっては、この種の作品のひとつとして数えることもできるでしょう。

ちなみに、この『赤い蝋燭と人魚』の中にみられる”その部分”を、よりシンプルに理解したいと思うならば、次の作品もおすすめです。

 小川未明 作 『ねこ』
https://www.aozora.gr.jp/cards/001475/card52099.html
  
『赤い蝋燭と人魚』と『ねこ』は、雰囲気も内容もまったく違う作品なのですが、上述した意味での主旨は同じです。

『ねこ』は『赤い蝋燭と人魚』の”逆行バージョン”……といえるかな。。。。。。

おしまい

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