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パラサイト 半地下の家族 (2019 映画)

前回の緊急事態宣言が発令される寸前に、映画館で見て衝撃を受けた。そして今回、テレビで再視聴。

大画面でない上に、結末も知ってから見るのはどうなんだろう?と思ったが、2度目だからこその見方ができたような気がする。名作は何度見ても凄いものは凄いし、面白いものは面白いのだ。

コメディタッチで進み始める序盤と、隠されていた秘密が現れるサスペンスな中盤。そして全てがひっくり返る悲劇の終盤。スピーディな物語の展開に引き込まれ、自分も大金持ち家族の暮らしに同化していくのは痛快だった。

しかし貧富の格差を思い知らされるうちに、感じてしまうのだ。これは映画の中の話だけではなく、韓国内だけの実状ではなく、日本に住む私たちにも存在している格差なのだと。

豪雨で水浸しになった半地下の家から、びしょ濡れの物を持ち出し、避難所の板の間に雑魚寝するしかないキム一家。

一方、パク家では雨上がりの庭で息子の誕生日を祝う為に、盛大なガーデンパーティーを開催する。このあからさまな対比がこの映画の最大の見せ場であり、越えられない境界線の象徴なのだ。

にぎやかな陽光の下で起きる、凄まじい惨劇。その最中、パク家の女子高生・ダヘが傷ついたギウを背負って逃げて行くシーンにひとすじの希望を見たような気がした。ダヘは唯一人、貧しい側の人間を救った生命の恩人なのだ。前回はあまり気にしていなかったが、今回はそのシーンに心を揺さぶられた。

あと、キム一家の肝っ玉母さん・チュンスクも良かった。娘を失い、夫と離れ、障害をもつ息子と共に茨の道を歩むのだろうが、彼女なら何とか生きぬけると思う。半地下の怪人との一騎討ちを制した彼女だ、逞しく前に進んでいくだろう。

救いのないbad endではあったが、"もしかしたら"の可能性を信じてみたい映画だった。



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