見出し画像

バーテンダーは男女の仲を見抜けるのか

一時期色んなバーのバーテンダーに
「バーテンダーの方は飲みに来ている男女の仲が分かるものなんですか」
と聞いていたところほとんどのバーテンダーは
「あー、だいたい分かりますね」と答えていた。

カウンターのこちら側では見えない男女の諸々の光景がカウンターの内側からは見えているのだろう。

まず顕著に2人の関係が表れるのは会話の内容だが、オーダーのタイミングや会計のやりとりからおよその仲が分かるらしい。

会話の内容
2人だけの会話の時とバーテンダーを介した3人での会話から相手を口説きたいのか、あるいは口説けるのかが分かると言っていたバーテンダーがいた。
(明らかに可能性がないのにそれに気付かず、且つある程度の常連であれば、それをさりげなく伝えることもあるらしい)

バーという非日常な空間で2人だけの会話で親密さを深めたいのか、特に男性に多いが、何度か通っているバーでバーテンダーとの仲の良さを女性に示したい場合には、所々会話を3人に広げることもあるのだろう。
(優れたバーテンダーは2人だけにしておくべき時と会話に入る時を見事に見極めている)

そういえば私が良く行くバーで飲んでいる時、共に知り合いの男女が2人でやってきたことがあった。

その界隈のバーでは男女共に常連同士で別のバーに飲みに行くことも珍しくなかったので、その2人が一緒にバーに入ってきた時は、確かこの前もこの2人の組み合わせだったなと思ったぐらいだった。

しばらくすると女性の方が男性のライターを無言で取り、タバコに火をつけた。

「ライター借りてもいいですか」→「ライター貸して」→「無言で借りる」と右に連れて親密度合いが増していくことを踏まえ、2人は付き合っていると合点した。
2人共知り合いだったので、所々私も2人の会話に入ることはあったが、もちろんそこで2人の関係は聞かなかった。
(こういう時に気になったことをすぐに聞いてしまう人は後々敬遠されていた)

2人がお会計を終えた時に女性の方が私に
「Fさん、わたしたち付き合うことになったから」
と教えてくれた。
2人が去った後にバーテンダーは
「Fさん、気付いてましたよね」と言った。
私が気付いていることに気付いてるとはさすが信頼するバーテンダーだと感心した。

ちなみに比較的男性は、付き合い出しても人前では態度が変わらないことが多く、付き合った途端に相手に親しい態度が出てしまうのは女性の方かもしれない。


オーダーのタイミング
親しい仲であれば各々グラスが空いたタイミングでオーダーするはずだが、これから親密になる間柄や上下関係が伴えば、相手とオーダーのタイミングを合わせるはずだ。
あるいはオーダーするお酒の度数からもある程度の関係性やその日の狙いが表れるのかもしれない。

あるバーテンダーの方が書いていたが、最初に来た時には相手に相談してワインをオーダーしていた女性が2度目に来店した時には、自ら割りと高いワインを相談なくオーダーしていたことから2人が男女の仲になったことが分かったらしい。

お会計のやりとり
お会計の時も顕著に2人の間柄が表れるだろう。

女性がトイレに行っている間に会計を済ます場合、男女の仲にはなっていてもまだ浅い仲なのかもしれない。

長年連れ添った彼氏彼女の間では、あえて相手が不在の時にお会計を済ますスマートさや気遣いは求められないし、夫婦の仲ではお礼さえ必要ないだろう。

お礼は少なからずその瞬間に他人行儀な空気が伴うから、親しい間柄ほどその空気に耐えられないはずだ。

相手が不在の時の仕草
あるバーテンダーは
「男性がトイレに立った時の女性の仕草で親密さが分かります」と言っていた。

男性がトイレに行った時にすぐに女性がスマホをチェックした場合、それ程親密にはなっていないらしい。

ある程度親しい仲であれば、スマホを見なければならない時に相手の不在を待つ必要はないだろう。

あるいは男性が不在の時に女性がバーテンダーに話し掛けた場合、声のトーンや内容からその場を楽しんでいるのか早く帰りたいのかなど心情が表れるという。
男性の前では楽しさを装おっても相手が不在の時に本音が出るのだろう。

最後に
上記を踏まえ自分が女性とバーに行く時は、なるべくバーテンダーに仲を悟られないように意識するが、相手がトイレに立った時にバーテンダーに聞くとだいたい見透かされている。
「Fさん、隠しても楽しさがにじみ出てますよ」
見抜かれるようではまだまだだなと思いながら平然を装い次のオーダーを考えていると、次のオーダーまで読まれていることがある。

「ウィスキー水割りですよね」
やはりバーテンダーには敵わない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?