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日々に潤いを noteは僕のことばの城です ドイツ語の詩の翻訳その他もろもろ 旅行記始…

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日々に潤いを noteは僕のことばの城です ドイツ語の詩の翻訳その他もろもろ 旅行記始めました

最近の記事

いい日旅立ち、めざせメキシコ【奇想旅行記メヒコ#1】

1.奇想旅行記事始おいおい、もう8年も前のことじゃないか。 手持ち無沙汰に昔行ったメキシコ旅行の写真を見返して思わず硬直。だけどもなにより度肝を抜くのは旅先で切り取ったイメージの奇怪さ、不気味さ、滑稽さ、鮮やかさ・・・日本にいては想像もできない奇妙で魅力的な物ばかりだ。 ここ最近は世間のピリピリをいやでも感じるし、なんだかどうしても自分の行動範囲が狭くなってしまっている。ここはいっちょ昔の写真でも眺めながらもう一度記憶の旅に出よう。目もくらむイメージで時代の閉塞感にひびを

    • 詩の翻訳:『世界のおわり』エルゼ・ラスカー=シューラー

      世界で泣いている、 まるで愛すべき神が死んだみたいに、 そして低くたれこめる鉛の影が 墓穴のように重くのしかかる。 来いよ、ぼくたちは互いに寄りそって隠れあおう・・・・・・ いのちはみんなの心臓に横たわる まるで棺の中にあるように。 おまえ!ぼくたちは深く口づけあおう 郷愁が世界をたたく音がきこえる、 ぼくたちが死にゆく世界を。

      • 詩の翻訳(一部抜粋):『こどもがこどもだったとき』ペーター・ハントケ

        こどもがこどもだったとき こどもがこどもだったとき うでをぶらぶらさせて おがわはかわになあれ かわはおおきなかわになあれ そしてみずたまりはうみになあれ こどもがこどもだったとき こどもはしらなかった こどもがこどもだったことを すべてがこどものたましいをみたし すべてのたましいはひとつだった こどもがこどもだったとき かんがえなかった しゅうかんもなかった よくあぐらをかいてた ぱっとはしりだしてた あたまにつむじ しゃしんをとってもしらんかお

        • 詩の翻訳:『オーロラ』ヤーコブ・ファン・ホッディス

          オーロラ 家々へと俺たちはのし歩く、うろたえ年老いて、 ギラついた黄色い夜のさかりは過ぎた。 俺たちは見る、街灯の上の、冷たく 青黒い様を、空が押し迫り灼熱する。 今や道はからみあう、重々しく 染みだらけで、まもなく、白日のように広がりゆく輝きの中に。 力強いオーロラがそいつをつれてくる、 太い、赤く凍り付いた指で、臆病者を。

        いい日旅立ち、めざせメキシコ【奇想旅行記メヒコ#1】

        • 詩の翻訳:『世界のおわり』エルゼ・ラスカー=シューラー

        • 詩の翻訳(一部抜粋):『こどもがこどもだったとき』ペーター・ハントケ

        • 詩の翻訳:『オーロラ』ヤーコブ・ファン・ホッディス

          詩の翻訳:『朝』ゲオルグ・ブリッティング

          レクラム文庫『表現主義の詩』(Gedichte des Expressionismus)より 朝朝が連なる屋根の上へと白んでゆく おしのように 朝が銀色の 扇になった空を引き裂く 風室を通り抜けるように冷たい 若い光がみどり色に漏れ出ずる その白日は一撃と大笑いで はじまる

          詩の翻訳:『朝』ゲオルグ・ブリッティング