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「ユニコーン企業で働く」は他人事なのか?『Work in Tech!』を読んで考えたこと

かつて「起業後進国」と言われた日本でも、エコシステムの成熟にともない、スタートアップの起業が盛んになってきました。

以前は「大企業からスタートアップへ」と題した転職エントリーがバズりにバズっていましたが、それも珍しことではなくなっています。

若い世代では当たり前になりつつある「大企業で出世を待つより、急成長企業に転職したほうが、キャリアアップにつながる」という考え方も、数年後にはメジャーになっているのではないでしょうか。

ユニコーン企業として注目を集める「スマートニュース」で働くたいろー(森山大朗)さんは、急成長企業を渡り歩くことで、稀有度の高いキャリアをつくってきた注目のビジネスパーソンです。

昨今のトレンドを先取りし、転職によってキャリアを切り拓かれています。

メディア露出も多く、ツイッターのフォロワーは2万人以上。自身のキャリア論を放送しているVoicyの総再生回数は100万回を超えるなど、私たちが想像する、いわゆる“会社員”とは別次元の働き方をしています

そんなたいろーさんが、初となる書籍『Work in Tech! ユニコーン企業への招待』を上梓。僕はインタビュアー、そして構成担当として、本書の製作に参加させてもらいました。

著者のたいろーさんは、自然言語処理だとか、検索アルゴリズムだとか、僕からしたら正直「わけの分からない領域」のプロフェッショナルとしてご活躍されています。

会社員として働くたいろーさんとは違い、僕はフリーランスです。テクノロジーを武器に生計を立てているわけではなく、人に話を聞いたり、聞いた話を分かりやすく書くことを生業にしています。

だから、僕には関係のない話なんです。

構成のお話をいただいたときは、「僕に関係のない話を、誰にでも分かりやすく伝えられるように、素人代表として書こう」。そう思っていました。

たいろーさんの特殊なキャリアに強烈な興味を持ち、キャリアアップを志向する人の背中を押す本にするぞ!と息巻いてサポートしていましたが、やはり僕には関係のない話だと思っていました

そして、届いた完成版を読みました。たいろーさん独自の視点と、たいろーさんによる極厚な肉付けが加えられた完成版を。

そして、思いました。

「これ、完全に自分の話じゃねえか」。

たいろーさんが言うことには、これからやってくるのは、「テクノロジーが世界をのみ込む時代」です。

あらゆる産業にテクノロジーが浸透し、もはや「IT業界」「Web業界」という言葉すら消滅していく、とのことでした。

産業がテクノロジーに支配された時代において、テクノロジーなしで産業が成長していくことはあり得ません。

特に「人口減少に歯止めが効かない日本」では、テクノロジーが成長の原資であり、テクノロジーと疎遠な人生を送ることは、「キャリアアップ」という観点においては推奨されない選択肢になっていきます

つまり、これから年収を上げたい人や、仕事でなにかを成し遂げたい人、家族を経済的に守りたい人は、テクノロジーに支配されていく世界の流れを理解し、それとうまく付き合って行かなければいけません

つまり、『Work in Tech! ユニコーン企業への招待』は、僕のための本であり、みなさんのための本なのです

転職するなら、急成長企業「一択」


たいろーさんは、新卒でリクルートグループに就職し、7回の転職を経て現在のキャリアにたどり着いています。

ユニコーン企業からユニコーン企業に転職し、副業で前職のメルカリグループを支援するなど、「いや、どういうこと?」と思わず頭を捻るような活躍ぶりです。

これを聞くと「やっぱり自分には関係ない話だ」と思ってしまうのですが、たいろーさんは28歳の頃「年収160万円の飲食店アルバイト」だったそうです

急に、親近感が湧いてくる。というか、現在27歳の自分が同じような境遇にあると仮定すると、正直すこしだけぞっとしてしまいます。

ともかく、キャリアにおいて脂が乗り始める時期に、大学生レベルの年収で働いていたわけです。そんな人が、いったいどうやって、ユニコーン企業で働くまでにキャリアを成長させてきたのでしょうか。

  • 高いお金を払ってプログラミングスクールに通ったから?

  • 親戚にGoogleの共同創業者ラリー・ペイジがいたから?

  • 気づいていなかっただけでポテンシャルがお化けレベルだったから?

たいろーさんによれば、全部違います。答えは簡単で、「急成長企業で働いていたから」だそうです。彼は、ラリー・ペイジのコネで働いているわけではありません。

書籍の中で、たいろーさんは「成長のエレベーター理論」を提唱しています。

Photo by Bao Menglong on Unsplash

能力が高い人であっても、下りのエレベータで思い切りジャンプしたところで、到達点はたかが知れている。一方、それほど能力が高くない人でも、上りのエレベーターに乗っていれば、到達点が高くなる。

業界や企業の成長に便乗し、そこにあふれている挑戦の機会をうまく活用できれば、誰であってもキャリアを飛躍的の成長させられるというのです。

たしかに、かつては学生の人気を集めていたマスコミやテレビ局から、スーパービジネスパーソンが生まれているようには思えません。逆に、当時はマイナーな選択肢だったインターネット業界から、時代の寵児とも呼ばれる人たちが出てきました。

ということは……。

起業の成功は、ほとんどが市場選択で決まるとよく言います。それと同じように、個人のキャリアアップも、どこに身を置くかで大抵は決まってしまうのでしょう。

じゃあ、どこに身を置けばいいのか。「テクノロジーを原資に業界を急変革している場所」です。

じゃあ、どうやってそこにたどり着き、どのようにして振る舞えばいいのか。その答えは、ここでは書ききれないので、『Work in Tech! ユニコーン企業への招待』に譲ります。

読み終わる頃には、急成長企業に転職したくなります。「凡人が手っ取り早くキャリアアップするには、踏むべきステップをしっかり踏んで、急成長企業に転職するしかない」と思えるからです。

製作をサポートした一人としてもっと詳細にレビューを書きたいのですが、今日もテクノロジーとうまく付き合えず、テクノロジーをうまく使えていないために徹夜をしていて、眠気まなこをこすりながらテキストを書いているので、そろそろ寝ます。

今はライターを本業にしていて、それを誇りに思いますが、労働集約的なこの仕事はいつまで続けられるか分かりません。「体力勝負」が推奨されないのは、労働環境整備の風潮からではなく、その本質は「やがて限界がくるから」にあります。

資産性の落ちないキャリアを築くためにも、そろそろ本腰を入れて、自分の武器をどのようにしてテクノロジーに接続していくかを考えなければいけない気がしてきました。AIが最高のテキストを書き上げる日も、そう遠くない未来なんだと思います。

本文中の言葉を借りれば、テクノロジーよる変化は、ピンチとチャンスを同時にもたらすそうです。

変化しないことを祈っても、その流れは止められず、なおかつ不可逆ですから、変化に対応するしかない。しかし、変化後の世界に先回りできれば、ピンチをチャンスを変えたも同然で、キャリアアップは約束されたようなもの。

僕はまだ27歳で、アルバイトをしていた当時のたいろーさんより年収があります。僕にも、まだまだユニコーン企業で働くチャンスがあるんじゃないか?

そろそろ、本当に寝ます。もう夜の30時、いや朝の6時だわ、急成長企業に転職してえ〜。

装丁にもこだわってます!

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