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「本番禁止」のタブーを破る男・村西とおる。あるいは、自分の仕事の見つけ方について

自分の人生くらい、自分で生きたらどうだ。偽物の毎日、偽物の恋愛。そんなんじゃ、退屈で仕方ないだろ。—— 村西とおる(『全裸監督』より)

ライバルメーカー・ポセイドン企画のAV女優を口説く際に、村西が彼女にかけた言葉です。田舎から上京し派手に遊びまわった挙句、借金漬けになってしまった元OLのAV女優は、この言葉をきっかけに村西の作品に出演します。

前貼りを剥がし、“演技”をやめ、“本番”に挑む。——僕はこのシーンを観て、つまり彼女は、「自分の仕事」を通じて「自分の人生」を生きるきっかけを得たのだと思いました。

「自分の人生を生きる」ということについて

「自分の人生を生きる」と表現すると、なんとなくチープにも感じるわけですが、一方で誰もが「自分の人生を生きる」ことを切望し、「自分の人生を生きる」人をうらやましく思い、そこに憧憬の眼差しを向けているようにも思います。

Googleで人材開発を担当し、現在「誰もが能力を最大限に発揮できる組織づくり」を支援するプロノイア・グループ代表取締役のピョートル・フェリクス・グジバチ氏は、自著『PLAY WORK』で、人生と仕事の相関について以下のように語っています。

定年を迎えれば嫌な仕事からも解放され、趣味やボランティア活動など自分のやりたいことで第二の人生を謳歌することができたのは過去のこと。これからは、定年という概念が薄れ、元気なうちは働き続けることが一般的になっていきます。そうなったとき、多くの人は、「仕事がつまらない」と文句を言いながら生涯を終えることになります。

人生100年時代、「働くこと」は「生きること」と限りなく重なり合っていきます。充実した人生を送るためには、一人ひとりが自分のワークスタイルを見直す必要があります。—— ピョートル・フェリクス・グジバチ(『PLAY WORK』より)

誰もが人生の大半の時間を、仕事に費やす。つまり仕事の充実度が、人生の充実度を決める大きな変数になる。ということは、きっと「自分の仕事」を見つけることが、「自分の人生を生きる」ための最初の一歩になるのでしょう。

「自分の仕事」の見つけ方について

以前、僕が勝手にメンターと仰いでいる森本千賀子さんに、仕事について相談したことがあります。「自分の仕事」の見つけ方についてです。

自分の仕事を見つけるためには、どうすればいいですか?
“自分にしかできないこと”と“自分がやりたいこと”の追求してみてください。

「私はどの仕事に就いても、それが天職だと思えるよ」と言い残し、ママチャリで自宅で帰っていく森本さんは、凄まじくかっこよかった。「自分の人生を生きている人だ」と心底思いましたね。

「自分にしかできないこと」の見つけ方

とはいえ、「自分にしかできないこと」など、どうやって見つけたらいいのでしょうか(ここで言う「自分にしかできないこと」とは、「周囲の人と比べて相対的に得意なこと」だと定義します)。

任天堂・岩田前社長は、過去のインタビューで以下の発言を残しています。

自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり、喜んでくれたりすることってあるじゃないですか。要するにね、「それがその人の得意な仕事なんだ」って話で。—— 経営とは「コトとヒト」の両方について考える「最適化ゲーム」

なるほど、「自分はそこまでストレスを感じずに続けられるのに、周囲からありがたがられる」ことが、自分にとって「得意なこと」なのか。つまりそれは強みであり、「自分にしかできないこと」に育つ可能性がある——。

「自分がやりたいこと」の見つけ方

「やりたいことがない」という人も少なくないですよね。仕事柄よく学生の方にお会いするのですが、半数以上は「やりたいことがない」と答えます。

人は見えているものしか見えないし、聞こえることしか聞こえないし、知っていることしか知りません。20年そこそこで得られる経験値なんて大したものではないので、たしかに「やりたいことがない」のも仕方がないことかもしれません。

しかし、自分の仕事を見つけることは、自分の人生を生きるための第一歩。「自分の仕事」が「“自分にしかできないこと”と“自分がやりたいこと”の追求」なのであれば、やりたいことを明確にしておくことも大事だと思います。

では、どうやって好きなことを見つければいいのか? Apple創業者のスティーブ・ジョブズは、スタンフォード大学の卒業式で「立ち尽くしてはいけません」と学生たちに語りました。

You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle. As with all matters of the heart, you'll know when you find it. And, like any great relationship, it just gets better and better as the years roll on. So keep looking until you find it. Don't settle.

皆さんも大好きなことを見つけてください。仕事でも恋愛でも同じです。仕事は人生の一大事です。やりがいを感じることができるただ一つの方法は、すばらしい仕事だと心底思えることをやることです。そして偉大なことをやり抜くただ一つの道は、仕事を愛することでしょう。好きなことがまだ見つからないなら、探し続けてください。決して立ち止まってはいけない。本当にやりたいことが見つかった時には、不思議と自分でもすぐに分かるはずです。すばらしい恋愛と同じように、時間がたつごとによくなっていくものです。だから、探し続けてください。絶対に、立ち尽くしてはいけません。

なるほど「やりたいことがありません」と言っている人に、やりたいことが見つかるわけないんだ。正しくは「まだ、やりたいことがありません」なんだ。「やりたいこと、見つからないかな」と口には出すものの、立ち尽くしていたら、状況は何も変わらず、真に満足することはないんだ。

つまり、「自分の人生を生きる」なら、「自分の仕事」を見つけたいなら、まずは相対的に得意なことを探す。その上で、興味のアンテナが疼くポイントが見つかるまで、立ち尽くすことなく動き続ける。すると、いつか必ず「自分の仕事」に巡り会えるはず。

スピーチ(ブック)ライターを目指して、独立します

すごく長くなりましたが、いわゆる「退職エントリ」です。本日2019年8月30日をもちまして、10ヶ月お世話になった株式会社Traimmuを退職し、フリーランスのライターになります(フリーランスと表現すればなんとなく耳触りが良いものの、正直なところ9月の予定はスカスカで、実態としてはフリーターです)。

学生時代から執筆業で生計を立てており、その後Traimmuでは広報として勤務しておりましたが、書き仕事から離れたことで、「僕は書き仕事に冷めない情熱を持っているんだな」と気づきました。

いつだって世界は、言葉のちからで動かされてきました。僕も言葉のちからを信じているひとりです。今後はしばらく「言葉」に人生の軸を置き、“意志ある選択”の側で仕事ができたらいいなと思っています。

退職にあたっては、正直「やり切れなかった」という思いもあるのですが、ビジョンドリブンな組織で働けたことは、僕にとって大きな財産になっています。

10ヶ月という短い期間でしたが、Traimmu代表の高橋さん、取締役の佐野さん、本当にお世話になりました。社員の皆さん、インターンの皆さんも一緒に働いてくださってありがとうございました。またどこかで、仕事でご一緒できたら嬉しいです。

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