未経験からエンジニア転職のための戦略(応募〜面談編)
エンジニアとしての学習、製作物の準備、自分にあった業態の分析が終わればいよいよ企業検索、応募、面談と進む。
基本的にはこれまで勉強してきたあなたの現状と能力・魅力をしっかり伝えて、そして採用してもらうという正攻法で取り組もう。その過程で自分が成長し長くIT業界で活躍できる人材になれるのだ。だからここでトリッキーな方法に飛びつくのはあまりお勧めしない。
しかしそういう方法もあるにはあるので、抜け道的な裏技に関することはいずれ別記事で紹介する。
まとめ
・マッチングサイト、転職エージェントなどを複数活用しプロフィールを魅力的にブラッシュアップし続ける
・面談ではとにかく情報量をたくさん提供することを常に意識する
・企業が欲しいものが何か、そこに自分を当てはめるジグソーパズル思考でアピールする
・あなたも企業をしっかりと見極める
応募
・マイナビ系やdodaなど、転職エージェントが介在する紹介会社
・GreenやWantedlyなどのマッチングサイト
・ハローワーク
・企業WEBサイトなどから直接応募
大まかに挙げて上記のような選択肢がある。エージェントを介在すると特定企業と太いパイプがあったり、転職に必要なノウハウを教えてもらえたりと有利な面がある一方、エージェントが本当に自分のための企業選びをしてくれるかというとそれは期待できない。あなたの転職さえ決まれば報酬をもらえる人たちなので、どんな形であれ採用までこぎつけられればOKと考えてしまいがちな立場であることを忘れないように。
未経験者はまずマッチングサイトから
まずはマッチングサイトで色んな企業を見てみればいいと思う。ただマッチングサイトで未経験者から応募しても、目を引くポイントがなければ無視されるケースがほとんどだ。有名大学を出たとか、大手企業に務めていたとか、現時点でプログラムが相当かけるとか、そのようなものがないとなかなか振り向いてもらえない。それだけ今は未経験者の応募が多いのだ。面談到達率が1~2%なんて話も聞いたことがある。できればエントリーに対する面談到達率は10%程度は狙いたい。そのためにしっかり工夫して自己アピールしなければならない。プロフィールの書き方のコツについてはまた別の機会に書こうと思う。
10~20件エントリーしてみても全く反応がないようなら、企業から見てあなたのプロフィールは魅力が足らないということになる。転職エージェントも併用しプロフィールをブラッシュアップすることを考えよう。
なお、転職エージェントに紹介を受けながら並行でマッチングサイトを使うことに問題がないのかと思う人もいるだろうが、全く問題ない。普通によくやることなので気にしないでいい。
次に転職エージェント
転職エージェントの利点はあなたの売り出し方を一緒になって考えてくれることだろう。エージェントによっては面談の心構えや予行演習などしてくれるところもあるかもしれない。
例えば、転職エージェントがあなたのことを真面目で誠実だと企業にアピールしたとすれば、あなたは少なくとも真面目で誠実に「見える」ということがわかる。実際にどうかなのかは関係ない。自分の知らない特長をアピールしてもらえることがあれば、これは貴重な情報だ。エージェントにそう見えたのなら、自覚がないとしてもあなたにはそういう素養が備わっている可能性が高い。エージェントの紹介を受けて面談をしながら、マッチングサイトのプロフィールにも反映して充実させていこう。
ちなみにマッチングサイトや転職エージェントは複数に登録したほうがいい。企業によって提携先が違うため、母集団を増やそう。まあ多すぎても大変だろうから、2社ずつでいいかと思う。
そしてハローワーク
さて、ここまでやってももし面談到達率が上がらず、面談でも採用されないようなら、次の手も考えなければいけない。ハローワークだ。僕自身、ハローワーク経由でIT業界に入ったのだが、ここ最近の状況はよく知らない。だから予想で書くが、基本的に皆が行きたがるようなIT企業はハローワークに求人を出していないだろう。どちらかというと地域に密着した零細から中小企業がほとんどだろう。当然給料も低い(これはマッチングサイトやエージェントでもあまり変わらない可能性もある)。
それでもいいからエンジニアになるチャンスを掴みたい、という人はどんどんいけばいいと思う。自分に実力がつけば転職はいつでもできる。恐らく、長い間フリーターをしていたとか(僕がそうなのだが)そういう事情がなければ面談にはたどり着きやすいはずだ。
面談
上手く面談が決まったとして、本当の勝負はここからだ。面談についてしっかり書こうと思えばそれだけで記事が5~10本書けそうなので、ここでは簡略化して書くが、いずれもっと本格的に書く。
ポイント1. とにかく情報量を提供しよう
未経験者の場合、企業側は基本的に将来性に期待したポテンシャル採用となる。今何ができるかはそこまで大きな問題ではないのだ。面談側は慎重にあなたの技術センスや地頭の良さを見抜こうとしている。そういったセンスや頭の良さを感じさせるために色んな質問をするのだが、そこで全然情報量を出してくれない困った人がけっこういるのだ。
「どんな勉強をしてきましたか?」という質問に対して「半年くらいRailsの勉強をしました」で終わってしまっては経歴書以下の情報しか話していない。
・スクールにいったのか、独学か。独学ならどんな書籍やサイトか
・理解度はどうか。自分でやれている感じがあったかなかったか
・上手くいってない時に勉強法はどんな工夫をしたか
・どういった点で成長を感じたか
・今でも理解が浅いのはどういうところか
自分が理解できていないところを話すというのは、自分の評価を下げてしまうという心配もあるだろう。しかしそれは杞憂だ。未経験者の評価など最初から低い。それよりも自分の理解が浅いところをしっかり認識できている、という点でむしろ評価できる。わからない人は自分が何をわかっていないかもわからないのだから。
自分がやってきたこと、頑張ってきたこと、苦労の経緯。本当に頑張ってきたのであればいくらでも話せることはあるだろう、そういうことを事細かに伝えることで企業側は「少なくともこれくらいはやれそうだな」という予測が立ち安心感を持てるのだ。
もちろん前職経験があれば別業種であってもそこでどのような仕事をしてきたか、正確に話して伝えよう。つまるところ抽象的に考えれば世の中の仕事は全て同じだ。組織や上司に依頼されたことをやる、以上だ。その中で様々な問題が起こる。コミュニケーションが上手くいかなかったり、業務が定型化されていなくて毎回トラブルが起こったり、相性の合わない人がいたりと。そういったことはもちろんシステム開発の現場でも存在するため、仕事上の課題を解決してきたという具体的なエピソードは面談において、特に未経験者の採否にとって非常に貴重な情報になるのだ。
とにかく経歴書に書ききれなかったことをしっかりと喋ろう。そんなに喋ることがないのであれば面談前の準備か、またはそれまでの努力と工夫そのものが足りなかったということだ。もう一度出直そう。
ポイント2. 自己アピールはジグソーパズル思考で
自己紹介をしたり質問を受ける中で、自分のアピールをしなければならない。次はアピール時の心構えについてだ。
ありがちな失敗は「どんどん新しい技術を覚えて、AIなど難しい課題にチャレンジしたいです!」というようなアピールだ。それはただあなたがやりたいことに過ぎない。そうでなく企業がやりたいことに対して、あなたがどう応えられるかをアピールしなければいけない。
企業がなぜ採用するかというと、それは何かに困っているからだ。欲しいポジションに人が足りない、つまりジグソーパズルで言えば足りないピースの募集をしている。そのピース枠の形にハマる人を募集しているわけだ。エンジニアとしては新しい技術を学ぶことやAIの技術を身につけることは、どちらも素晴らしいことだし一般的に言えばそれは評価できる。ただしそれは目の前の企業が今欲しいと思っている空きピースの形ではないことが多い。
自分の採用率を上げようと思っているのであれば、今目の前で困っている人がいるのだから、その人の困りごとを助けられる、という視点でアピールしたほうがいい。企業情報を読み込んで、または面接で受けた説明を踏まえて、その企業が求めていることに対して自分ならこういう形で貢献できそうです、ということを伝えられるようになろう。
本当にできるかどうかはあまり気にしなくていい。あなたが本当にそう思ったのであれば「このように御社に貢献できると思います」という言葉自体は嘘ではないのだから。
ポイント3. 試される側でもあるが、試す側でもある
これも気をつけなければいけないのだが、こちらの立場が弱いためついつい「雇っていただければ何でもいいです」というような気持ちになりがちだ。だが、ここで対応を間違えると以下のような不幸が起きることがある。
・プログラマ志望なのにプログラミングに関係の薄い仕事に送り込まれる
・同じレベルの他の社員よりも安い給料で採用される
・会社風土が全く自分に合わない
自分の業務内容はどのようなものになるのか、評価制度はどうなっているか、チーム体制は、など気になることはしっかりと聞いておこう。これもしっかりした人という印象を与えるのでそんなにイメージを悪くするようなことはない。
ただ気をつけなければいけないのは、福利厚生の細かいルールなどを面接で聞きすぎてはいけない。例えば有給休暇は何日ですか、時間有休は取れますか、そんなのは内定が出れば通知書に記載されているものなので、そこでわからなければ採用担当の人にメールで質問すれば済む。
よく勘違いされるのだが、有休や福利厚生について細かく聞かれることが嫌われるのは、企業が有休制度をちゃんと運用していないとかそういうことではない。面談の場でしか聞けないような本質的なことに意識がいかず、後で書面で交付されるようなことを事細かに聞いているということの優先順位の履き違え、ビジネスセンスの無さにがっかりされているだけなのだ。仕事そっちのけで休むことしか考えない人なのだろうな、と感じてしまう。
細かいルールの確認は、面接官でなくても誰にでも聞けるので内定後でいい。そういうことではなくもっとあなたにとって重要な、面談の場にいる幹部の人にしか聞けないようなことを確認して企業の見極めをしよう。
最後に
僕はいつも、基本的には王道であり本質的なアプローチを好む。裏技や抜け道に走る人は最終的に行き詰まると思っている。この記事で書いたことも、あまり求職者が意識できていない情報や考え方を中心に情報提供に徹したつもりだ。何かを上手くごまかしたり小手先の技でクリアするようなものは書いていない。
しかし、時には裏技や抜け道を使ってでも何とか前に進みたいこともあるだろう。そういう人のために、次の記事は「未経験からエンジニア転職のための戦略(裏技・抜け道編)」という有料記事にする。あまり情報が出回ると僕が今後の採用で困ることになるし、同業者に怒られるかもしれないため数量限定販売とさせてもらうだろう。自分に必要だと思う人はお楽しみに。
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