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「僕僕先生」仁木英之

シリーズものです。
前から好きだと言っていた中華ファンタジーもの。
中華ファンタジーでは、やはり”仙人”ですよね~
あとは”妖怪””龍”とかもあるけど、やはり仙人が萌えるね!!

封神演義なんていう超古典だが仙人物のファンタジーが中国にはそもそもあるし、仙人は不思議な物語を紡ぐのに最適なキャラクターなんだろうなぁ。
それに中国っていろんな民族が存在・訪れる、多国籍な要素もあって舞台としてまったく飽きが来ない。
また時代・王朝が変わるたびに特徴も変わり、それぞれの王朝で大きな事件があり、そこに創作を加えると壮大なファンタジーに変容する。
やはり、飽きが来ない!!

本作「僕僕先生」は、時代で言うと唐の時代。
遣唐使とかの時代だから結構な昔。
歴史上の、実在の人物が出てくるのが、こういった小説の面白いところだけど、その歴史上の人物が、史実として道士・秘術を受けついでいると伝わっており、そういった怪しげな存在と現実がごっちゃになっているくらいの昔なんだな。
日本書紀の神話も、平安時代では史実ととらわれてたらしいし、古代ってそうなんだね。
余談だが、歴史シリーズものをWikipediaで調べて、登場人物の名前にリンク貼ってあって、クリックすると歴史上の人物のページに飛ぶの好き。
おーこの人は実在の人物なんだーという感動、読み込みすぎるとネタバレになるので注意が必要だけどね(笑)

ストーリーは、主人公がふとしたきっかけで少女の姿をした仙人と出会い、気に入られて人智を超えた冒険をするというおはなし。
シリーズ1作目でここまで書いていいの?ってくらい世界の深淵、みたいなのと出会ったりする。
この主人公が。。みんなあくせく働かなきゃいけない時代じゃないのって思うのだが、がっつりニート。
人生経験も薄く働いてもいないのに、いっちょ前に世界に対して嘆いたり、憤ったり、ヤキモキしたり、「お前になにがわかんねん!!」とちょっとイライラしてしまう。
ただ、こういうニュートラルな、空気みたいな人間だからこそ仙人と通じることができるのかなと思ったりして。
仙人は僕僕と名乗る少女の姿だが、本当の中身はわからない謎の存在。
どこかつかみどころがなく、主人公に好意を持っているようだがよくわからない。
昔はすごい人だったようだが、そこは作中でそうだったんじゃないかという描写のみで詳しくは語られない。

主人公と同様に難しいとは思いつつ、男と女として進展して欲しいような、でもそこは相手仙人だし今の関係でいいような、でもちょっと寂しいようなという、なんか切ない関係性も魅力の1つかなと思う。
こういう揺らぎがあると、その決着をどうしても見たいという心理が働き、ずーっとシリーズを追いかけてしまうのだ。。
やってくれたな!!作者さんよ!!

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