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「五辨の椿」山本周五郎

芥川賞は芥川龍之介、直木賞って誰だっけ?
調べたら直木三十五という人、読んだことないけど。
文学賞で人の名前がついているのはけっこうあるけど、読んだことない人が多く、どんな偉業を達成したのかも知らない。。勉強不足
山本周五郎賞、でも山本周五郎を知らない。。

そんな時、本作がNHKにて国仲涼子主演でドラマ化、という番宣を見て、興味を惹かれ読んだ作品。

ミステリーで連続殺人がテーマの作品がある。
現場に共通のメッセージや痕跡が残っていて、昨今は異常者の犯罪がテーマのものが多いが、古典だとロジカルな殺人の理由があって、主人公たちは被害者の共通点や次に襲われるのは誰かを推理し、次の犯行を阻止する為に奔走するという話。

本作「五辨の椿」は、江戸時代を舞台にした時代小説。
もうすでに犯人も、動機も明確になっている。
前半に犯行の動機となるエピソードが情感たっぷりに描かれる。
その後、犯人が名前を変えてターゲットの周辺に近づき、犯行を重ねていく様子がたんたんと描かれていく。
捜査する側を主人公として、犯人捜し・動機捜しにしたら、もっとミステリー!!って感じになるのだろうが、犯人側に視点をおいている為、復讐譚として話が進んでいく。
あくまで謎が主題ではなく、主人公の執念が主題。
その執念に目が離せなくなり、読み進めていった作品だった。

ずいぶん昔に出た小説だけど、今読んでも全然古臭くなく、人の感情っていつの時代も変わらなくて、他者の濃密な感情はこうも人を惹きつけるんだな、、と。

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