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「孤島の姫君」今市子

漫画の紹介。
「百鬼夜行抄」の今市子の短編集、1巻完結。

共通のテーマっていうのはわかりやすい。
これはこういうテーマで書かれています、とかこういうテーマで書いてくださいとか、指定されるとわかりやすいし、やりやすい。

小学生の時の国語の授業、作文を書くような宿題や授業があったはず、その時も先生はテーマを与えてくれた。
「私の家族」をテーマに書きましょう、とか「秋の遠足」をテーマにして書きましょうとか。
テーマを与えられて文を作る。
小学生に与えられる課題なのだから、文章を書くのにはテーマが提示されているというのは、やりやすいことなのだろう。

小説や漫画でもそうなんじゃないかと思う。
本作を読んで衝撃を受けたのが、中に入っている作品のどれもテーマがばらばらなのだ。
コメディテイストな話もあれば、ファンタジーもあり幻想的な話もあった。
さらにエッセイ作品まであるのだ。

しかもすごいことにどれも(エッセイ以外は)読者をミスリードするようなストーリー展開があって、良く出来た話なのだ。

こういうストーリーテリングというのかな、物語を転ばせる才能って本当にすごいと思う。
自分も寝る前に物語を空想したりするのだが、どうしても単純な勧善懲悪になってしまう。。
こんな起承転結、どんでん返しや伏線などは考えつかない。
しかもテーマ違い、ジャンル違いを書いている。
一体どういう頭をしているのだろうと感嘆するしかない。

こどものころ大好きな時間があった。
毎週土曜日だけ、親父に寝る前にお話をしてもらうのだ。
怖い話や面白い話、宇宙の話や神様の話、などなど。
それらを小学校4年生ぐらいまで、毎週してもらってた。
それが大好きだった。
親父はそれが少しめんどくさかったのか、いろんな話に接することが出来るよ、と図書館に連れて行ってくれた。
ところがこれが逆効果で、図書館で読んだ本に似た話をしてくれとせがむようになった笑
親父も大変だったろう。

今でもその性格は変わっていない。
良質な短編をずっと読んでいたい。
長くて重厚な話も嫌いじゃないが、短くて面白い話がとにかく大好き。

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