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「銃夢」木城ゆきと

ガンダムはファーストガンダムしか認めねぇ。
と友人は主張している。
どうでもいいから聞き流しているのだが、あの世界観とロボットではなく”モビルスーツ”と呼ぶ斬新さ、1作目こそがガンダムだ!!ということらしい。
まったくもってどうでもいい話なのだが、本シリーズはその気持ちがちょっとわかる。
銃の夢と書いて”がんむ”と読む。
この作品、結構昔に完結した漫画、全9巻。
全9巻で綺麗にまとまっていたのだが、数年越しに新シリーズが出た。
きっと読むと面白いのだが、きれいに完結している全9巻の初期シリーズが好きすぎて手が出ない。
まるで前述の友人の様だ。
銃夢はファーストシリーズしか認めねぇ、ってか。

SFの世界では”サイバーバンク”というジャンルがある。
なんとなくのイメージでしか言えないのだが、未来は遠い未来ではなく近未来、ユートピアのような未来ではなく、現実的な世界。
今と地続きで犯罪もあり貧困もありの世界。
名作は数あるそうだが、最初に接したのが本作だった。
その後、映画「ブレードランナー」など、何作かと接するのだが自分としては本作がサイバーバンクの基本だ。
この空気感、病みつき。

あらすじ、世界観をご紹介。
舞台はクズ鉄町。
上空に空中都市”ザレム”が存在、世界を統べるザレム人が住んでいる。
その真下でザレムの廃棄物に埋もれているのがクズ鉄町。
ザレムのシステムに統治されている。
他にもザレム人向けの食料を供給する農場などが、クズ鉄町の外に存在し、同様にザレムに統治されている。
クズ鉄町には警察などはなく、ザレムのコンピューター端末に任命された賞金稼ぎが治安を、というかザレムの統治に害をなすものを取り締まっている。
そんな世界。
人間たちは基本サイボーグ。
人間の脳は残っているが体は機械。
ある日サイボーグ手術を専門としている医師が、脳は健在で体が欠損している少女をゴミ捨て場で発見する。
彼女に体を与える。
脳は無事だが記憶が無く、ただ覚えているのは格闘技術のみ。
彼女が、その格闘技術を使いながら賞金稼ぎになったり、ザレムの真相に迫ったりする物語。

魅力はたくさんある。
まず、ザレムの正体は?クズ鉄町のシステムは?と世界に対する興味が尽きない。
主人公が使う格闘技は火星の格闘技ということで、宇宙にまで進出している人類の歴史も気になる。
彼女の格闘シーンも見ごたえがあるし、登場人物の一人でマッドサイエンティストがいるのだが、彼の挙動1つ1つがまた面白い。
ちょっとした恋物語もあったり、よく全9巻でこれだけつめこめれたなってぐらいの満足度なのだ。

一番好きなセリフは「私はそんなこの世のすべてを憎む! 熱力学第二法則を憎む!!」だ。
SFしているし、読んでもらうとわかるがすごい涙涙のセリフなのだ。
最高です。
あとあと、モーターボールをゲームにして欲しい。
あとあと、、、、この世界、無限大だ!!

本作は自分的に名作認定、殿堂入りなのだ。
読み直す!!

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