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「ダイナー」平山夢明

平山夢明は癖のある作家だと思う。
最初に読んだのが、角川ホラー文庫の「メルキオールの惨劇」。
読むきっかけとなった書評にて、大男が犬を散歩させているつもりだが、ブンブンと宙に振り回しているというシーンが紹介されており、読んでみたくて図書館で借りた。
そのシーンは確かに衝撃で、一気に小説世界にはまり込むインパクトがあった。

平山夢明の作品、他にも「独白するユニバーサル横メルカトル」という地図が独白する形式の話だとか、とにかく癖のある話が多い。
ちなみに小説の他に実話怪談シリーズも有名で、実話怪談に詳しい人物として小野不由美の「残穢」にも登場する。
映画版では名前が変わっているが、佐々木蔵之介が演じている役がそれ。

本作も非常に癖のある作品だった。
出来心で裏バイトに手を出したオオバカナコ、バイトは失敗、ヤクザらしき連中から拷問を受ける。
その後死を覚悟していたのだが、ヤクザが経営しているレストランに使い捨てのウエイトレスとして払い下げられる。
使い捨てというのは、ここは殺し屋専門のレストランであり、客の機嫌を少しでも損ねたらすぐに殺される、2日と持つウエイトレスはいないという場所だから。。
スープの置き方ひとつで殺されるんだって!!

そいつらに殺されるどころか、元殺し屋の店長兼コックの「ボンベロ」にも、いつ失敗を咎められ殺されるかわからない状況。
そんな中、オオバカナコはボンベロが組織のボスから預かっている、数億円の価値のあるウォッカを隠して、自分の立場を保証するように捨て身の交渉を行うのだ。
ボンベロとカナコの一癖あるスリリングな関係、そしてレストランに来る様々な癖まみれの殺し屋たち、そして組織内の抗争などがジェットコースターのように次々と繰り広げられる。
地下のレストランに閉じ込められたままのカナコ、時間経過の描写が(たぶんわざと)丁寧じゃない為、いつまでもジェットコースターに乗せられているような、心が休まる暇がない状況が続くのだ。
そして、ボンベロとカナコの関係にも変化が。。。
平山夢明が癖とエグさをぶっかけた「レオン」じゃねぇのかこれ?と勝手に思ってる。

日本冒険小説協会大賞受賞と世間的に評価されており、映画化・漫画化もされている作品。

自分は小説しか読んでいないが、これだけは言える。
世界一ハンバーガーが食べたくなる作品だ。

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