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「マイル81」スティーヴン・キング

キングは長編だけじゃない。
「ミザリー」「スタンド」「グリーンマイル」「キャリー」に「シャイニング」「クージョ」などなど、恐怖長編ときどき感動、がキングの有名作品な感じ、それ以外にも映画化された「死体」、映画名は「スタンドバイミー」、こういった中編も傑作が多い。

ただ、キングの短編もなかなか面白い。
あえて”安っぽい”という言葉を使わせてもらうが、キングの短編集は”安っぽい”、ただ、この”安っぽい”恐怖がたまらないのだ。

学生時代よく読んだのは、扶桑社から出ているキングの短編集だった。
これがもうイラストが”安っぽい”し、題名も”安っぽい”、あーよく映画とかに出てくるアメリカのペーパーバックってやつはこんな感じなのかなぁと。
有名作家、大家になる前のキングの、食い扶持稼ぐ為の作品を読む喜び。

「神々のワードプロセッサー」「死のロングウォーク」「深夜勤務」「骸骨乗務員」「トウモロコシ畑の子供たち」などなど、いっぱい読んだな。
これら短い話を読むことで、キングの文章になれた。
そのおかげで長編が読めたんだと思う。
自分だけかもしれないが、キングの文章ってちょっと癖があるというか、独特の雰囲気があるので、はまれば読み終わるまで一気なのだが、読み始めが少し苦労する。
この”安っぽい”短編達を読むことで、「キング読む力」が上がったんじゃないかと。

本作は、本屋まわりをしていた時に平積みにされていたので目にとまった。
何気なしに裏を見てみると短編集だと。
そして目次を見てみるとけっこうな数の短編が。
これは!!あの時のペーパーバックの再来か!?と。
で、買ってしまった。

正直に言うと、昔みたいな”安っぽい”小説もあった。
あったけど、ちょっと上品になっている作品が多かった。
昔は不可思議現象がメインで、恐怖を演出していた気がするのだが、人間の内にあるもの精神的なものの方が多くなっている気がした。
表題作の「マイル81」、人食い車が出てくる話だった。
俺はこんな感じの、やっすいのだけが読みたい。

でもつまらないということはなく、人を惹きつける物語の作り方を知っている人が書いた本なので、最後まで読む手は止まらなかった。

個人的には、「マイル81」「悪ガキ」「UR」あたりが、ガキの空想みたいな”安っぽい”ホラーを提供してくれていたと思う。

短編集その1らしいので、続刊に期待。

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