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「チョコレートゲーム」岡嶋二人

以前紹介したSFミステリー「クラインの壺」の作者である岡嶋二人。
二人で共作という変わったスタイルの推理小説家。
いろんな作品を書いていて、自分的には前述した「クラインの壺」が最高傑作だと思っているのだが。。
SF好きだからかな?
でも本作も面白い。
世間的にも評価されていて、日本推理作家協会賞を受賞している作品だ。

ちなみに画像は自分が読んだ旧版の文庫の表紙、この画像では映っていない下の部分にネタバレが書いてあるのだ(汗)
表紙なんてあんまりまじまじ見ないのだが、もし見てたら途中で真相わかっちゃうかもしれない。
表紙ネタバレ笑
なので新装版をご購入下さい笑

先日、赤川次郎の「充ち足りた悪漢たち」を紹介した。
その中で子供が高利貸しをするエピソードがあると。
子供が大人のマネをして周りを振り回す、これ系統の話は子供の生態と大人の利益主義が重なりエスカレートする様が、実験映像を見ているみたいで面白い。
ドラゴン桜の作者が書いた「エンゼルバンク」という漫画がある。
これは転職を題材としたビジネス本としても秀逸な作品なのだが、この中で面白いエピソードがある。
転職会社にやり手のビジネスマンがいる。
彼が小学生のころ、森永製菓のチョコボールについているエンゼルマークをめぐってクラスでブームが起こる。
金なら1枚、銀なら5枚でおもちゃの缶詰がもらえる、では銀を1枚持っている人と、すでに4枚持っている人では、銀1枚に対する価値は全然違う。
つまりは需要と供給によって値段が変わるのだ。
いつしか、子供たちの中でおもちゃの缶詰を手に入れることよりも、エンゼルマークの相場・投機が面白くなり、加熱する。
先生に止められる。。。
という”エンゼルマークのバンク”の話が出てくるのだ。

こんな感じで利益追求の仕組みを子供が扱うとどんどんエスカレートしていく。。
本作はその結果、中学生の殺人事件が起こるという話だ。
さて、タイトルの「チョコレートゲーム」はどんな大人の世界をあらわしているのか?旧版の表紙を見ずに想像してみて欲しい。

本作はこの殺人事件に息子が巻き込まれた父親が事件の真相に迫る、という話だ。
若干古臭さを感じるが、中学生という存在の難しさや親子の気持ち、きちんとしたミステリーロジックが描かれていて美味しい一品でございます。


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