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「福家警部補の挨拶」大倉崇裕

帯にね、女性版古畑任三郎って書いてあるのだが、元祖は刑事コロンボだろ、と思った。
そしたらちゃんと解説にコロンボのことも書いてあった。
犯人が犯行を起こすシーンが冒頭に描かれる、淡々と。
視聴者・読者は犯人が人を殺したことは理解できるが、その為に行っている様々な行動の意味はよくわからない。
最後に探偵役が謎を解明した際、はじめて行動の意味が分かる。
行動の意味の解明、そもそも探偵役が小さなことをきっかけに事件として認識するところなど、犯人当てにはない魅力があるジャンル。

刑事コロンボシリーズ、小学生のころから大好きだった。
旧ね!!新は面白いけどアカン!!
違いはね、旧シリーズの犯人はやむを得ない理由での殺人や、自分の信念のための殺人が多かった。
だからといって殺人を肯定するつもりはないが。
犯人たちは、コロンボを見下すこともなく、自身の夢・想いを遂げる為の、最後の関門、知的勝負における好敵手とみなしており、友人のような付き合いをしたり、逮捕されても好意的な言葉をかわしていたりしていた。
新の犯人はみんな自分勝手、エゴで人を殺す。
で、よれよれおじさんのコロンボを見下しバカにする。
キーッ!!
旧作では「別れのワイン」「忘れられたスター」が最高!!
どちらも犯人達とコロンボの関係が、いい感じなのだ。
ぜってぇDVD買おうと思う。ってかテレビで再放送してよぉ

コロンボもそうなのだが、なんでこういうのって主人公はなめられる容姿なんだろうか?
福家警部補も「交通課?」と間違われるような小柄な女性刑事。
いつも担当者出しなさいよ、とか言われる。
そんな彼女だが、コロンボ同様現場の些細な点に疑問を持ち、事件性を感じて捜査を進める。
少しずつ、だが着実に。
時たま、刑事としての強さも見せるシーンがあり、これもかっこいい。

小説という形式で、読者に何をしているのか、を表現しつつ、でもなぜ犯人がそれをしているのか、を隠すのは非常に難しいと思うのだが、作者は巧妙にそれをやってのける。
真相が明らかになった時、あの表現はこういうことだったのか!!と。
主人公も魅了的、このスタイルのミステリーを読めるという感動もあり、こちらも大好きなシリーズになった。

短編集。

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やべぇ売ってんじゃん!!全集みたいのしかないと思ってた。。買お。

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