「傍聞き」長岡弘樹
長岡弘樹の作品は「教場」シリーズが有名。
警察学校を舞台にしたミステリーで、登場人物の風間教官役をキムタクが演じて話題となった。よう知らんけど。
本作は、「教場」よりも前に出た短編集で、日本推理作家協会賞短編部門を受賞した作品。
一般的に認知される、人気が出る作品・作者を最初のころから知っているって優越感ありません?
「あードラマ化したのね、けっこう昔に出た小説で面白いよ」とか、「映画化かぁ、学生時代読んだことがあるけど、映像映えすると思ってたわぁ」とか、「表紙今風になったね。若い人読みやすくなったんじゃない?昔の表紙の方が好きだけどなー」とか、言ってしまう(笑)
無駄な古参アピール、恥ずかし!!
でもこの「傍聞き」、そんなこと言いたくなるぐらい良作なのです。
短編で良作って最高なの!!(なんでちょっとおねえ?)
物語好きな人間としては、きれいにおさまったり、衝撃を与えてくれたりする作品に一冊の中で何度も出会えるのは最高の体験。
読後満ち足りた感覚に浸れるのだ。
本作は特殊な職業が舞台。
救急救命士、消防士、刑事、更生施設など、刑事はもちろんそうだが、事件や事故が身近にある職業がメイン。
だが事件や事故・火災に対して謎があるのではない。
それらに対処する側の人達、彼らの行動や考え方に主人公は疑問や不安を感じ、何がおこっているのか推理するという話。
ミステリーには「日常の謎」というジャンルがある。
人が死なないミステリーと呼ばれたりするのだが、日常の不思議な出来事・不可思議な事象を推理し、ほっこりした真実・うすら寒い真実が浮かびあがるというもの。基本ほっこりが多い。
本作はちょっとそれに似ているのだが、登場人物が前述の通り事件・事故等とかかわる人々なので、きなくさい。
日常の謎にスパイスをめっちゃ振りかけて、ピリリとアクセント利かせた感じ、なんかそのバランスが「ちょうどいい」作品。
この記事を書くために調べてわかったのだが、表題作の「傍聞き」はドラマ化されてたらしい。
ドラマのタイトルは「マザー・強行犯係の女〜傍聞き〜」、なにこのタイトル。。。そのアクセントはいらなくね??
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