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デジタル化のメリットを改めて考えました。

今回は、「デジタル化のメリット」とは何だろうかということを考えました。

デジタル化のメリット

デジタル化のメリットにはいろいろな要素があると思いますが、まずはメリットが考えやすい、想像がしやすいところで、

  1. 検索

  2. 保存

  3. 共有

  4. 集計

上記4つを押さえるべきポイントだと考えました。
もう少し詳細に噛み砕きます。

  1. 検索

    • タイトルや内容で検索できるようになる

      • 過去の対応や履歴が見つけやすくなる

  2. 保存

    • 物理的な場所を使わなくなる

      • 紛失しにくい・復元しやすい

  3. 共有

    • 特定の拠点・場所に行かなくても共有ができる

      • 「xxさん」に聞かなくても、状況が把握できる

  4. 集計

    • 日付の範囲や条件の内容に基づいて、件数・個数・金額といった情報がすぐに計算・集計できる

      • 過去の問い合わせから傾向を分析する

デジタル化をすることで「4つのポイント」のうち、どの項目がより良くなるのかを検討すると、
・4つ全部や3つならデジタル化の効果が高い
・2つだとあまり効果が低い
・1つだとさらに効果が低い

というような、非常に大まかな指針が作れると思います。

上記のうち1つしか効果がないのであれば、
現状の方法(紙媒体など)からPC(やスマホ)+システム(やアプリ、クラウドサービス)への変更は、

・システム / サービス・ツールを選定する
・システム / サービス・ツールの利用方法を理解する
・利用する人へ使い方を説明する
・運用ルールを作成し、利用者に徹底する

といった新たに生まれる管理や、現状の見直し・現状からの変化といった「手間」と受け取られやすい要素によって、

・利用者に浸透しなかった。
・前の方がよかった。といった不満をよく聞く。

といったことにつながりかねません。

今回は、

「商品を購入した際に受け取った「手書きの領収書」をデジタル化する」

というテーマで、
どのようなパターンがあるか、
どのようにメリットが出せるのか
また、「4つのポイント」に加え、作業負荷についても合わせて考えてみました。

①手書きの領収書をスキャンしてPDFにした場合

  • 検索:✖

    • ファイル名のつけ方次第では検索しやすくなりますが、
      手書き部分やファイル名につけにくい情報(日付、金額、内容)を検索するのは課題として残りそうです。✖としました。

  • 保存:〇

    • 手書きの資料を整理できるなら、〇と言えそうです。
      原本そのままをPDFにしていますので、比較的原本を処分するハードモルも低めといえそうです。

  • 共有:△

    • クラウドに保存する。といった対応が取れれば〇ですが、特定のPCや共有のハードディスクに保存といった場合を考えると△としました。

  • 集計:✖

    • 集計については、手書き部分にある情報(金額)を集計するのは、紙の場合と大きく変わらず、✖です。

  • 負荷:△

    • PDFをスキャンするだけ。
      ではありますが、枚数次第ではそれなりに大変です。
      取引先名や日付をファイル名に入れるといった運用が生まれる可能背も高く、△としました。

②手書きの領収書を「領収書レイアウトのExcel」に手書き部分を入力しなおした場合

月別に領収書用ファイルを1つ作成し、1領収書=1シートという形になっているとします。

  • 検索:△

    • 手書き情報や取引先名など、Excelのデジタルデータになるので検索できるようになりました。
      しかし、月別に1ファイルという設計のため、前月以前の情報を検索するといったことには手間が残ります。△としました。

  • 保存:△

    • ①と同様に手書きの資料を整理できるなら〇と言えそうですが、原本をPDFにしているわけではないため、入力間違いがある場合の見直しを考えると、原本の整理はしにくいかもしれません。
      △としました。

  • 共有:△

    • ①と同様としました。

  • 集計:△

    • 手書き情報がデジタル化している点は良いですが、レイアウトは領収書のままです。集計はできなくはないですが、非常にやりにくいので△としました。

  • 負荷:✖

    • 手書きの領収書の内容をパソコンで目視しながらExcelに入力するという作業は、相当な負荷と考えます。✖としました。

③手書きの領収書を一覧形式のExcelに入力しなおす

Excelの1行1領収書という形で1つのファイル・1つのシートに記入していく形になっているとします。

  • 検索:〇

    • 1つのファイル1つのシートに過去も含めて、全て情報が集約されているので、検索性は高いと考えます。〇です。

  • 保存:△

    • ②と同様としました。

  • 共有:△

    • ①②と同様としました。

  • 集計:〇

    • 1つのファイル・1つのシートに数量や金額が集約されているため、大変集計はしやすくなりました。〇とします。

  • 負荷:✖

    • ②と同様、相当な負荷になります。✖です。

パターン別

それぞれのパターンの✖△〇を表にして考えてみました。

保存と共有については、どのパターンでも大きな違いはなく、
検索と集計については、大きな違いが出ました。
①より②が、
②より③が優れています。

ポイントは作業にかかる負荷は②,③が両方とも同じ✖で負荷が高いにもかかわらず、検索も集計も③の方が効果が高いということです。

同じ作業でも効果が違う

作業負荷がかけられない場合は、①や現状維持の選択が候補になります。

まずは効果や成果を認識しておかないと、どのように「デジタル化」するかの選択を間違えてしまい、

「入力の手間が増えただけ」

といった事態を招くことになります。

  • 検索できるようにする

  • どこからでも利用できるようにする

  • 集計がすぐできるようにする

といった目的をもうひと段階、整理し

  • 検索できるようにする

    • →顧客対応や問い合わせ・クレーム情報をデジタル化し、問い合わせがあった際の過去の対応情報を確認、返信・連絡の速度を上げ、顧客満足度を向上する

  • どこからでも利用できるようにする

    • →日報を自宅や外出先からでも入力・参照できるようにし、会社に出社・帰社する必要がなくなり、残業時間や移動時間を軽減する

  • 集計がすぐできるようにする

    • →経費申請をデジタル化し、毎月100枚以上あり、2時間以上かかっている経費申請の集計作業を短縮する

といった形で、目的や効果・成果の焦点を絞り、関わる人全員で理解を共有する工程が必要です。

今回の3つのパターンの場合、②は作業負荷も高く、その割に得られるメリットが低いという意味では最も選択してはいけないパターンになりました。

②の良さを考えてみると、「そのまま印刷できる」ということです。
しかし、検索や集計といったデジタル化やExcelの良さを打ち消してしまっていることになります。

もしデジタル化がうまく進まなくなったら

実際には、もっと複雑な工程があったり、社内の事情があるので上記に書いたほど簡単な話ではないケースがほとんどだと思います。

一方で、話が関係することが複雑になりすぎたり大きくなりすぎたりして、効率化やデジタル化が一歩も進まないと思った時や、
自分が関わる作業だけでもなんとかならないかな。
と思った時に、

ノートとペンを手にして、焦点を絞ってデジタル化を進めるヒントにしてもらえればと思います。

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