徒然１日１冊 Kindle unlimitedタイトル紹介 ＃100『モモ』
今日の一冊！
生き方を考える、児童書の名作
時間どろぼうと，ぬすまれた時間を人間にとりかえしてくれた女の子モモのふしぎな物語．人間本来の生き方を忘れてしまっている現代の人々に〈時間〉の真の意味を問う，エンデの名作．
冒険ファンタジー『はてしない物語』の著者であるミヒャエル・エンデが贈る、時間どろぼうと風変わりな女の子の物語である。文章のみならず、モノクロの挿絵までもエンデ自身が手がけた本書は、1974年にドイツ児童文学賞を受賞。小学5、6年生以上から大人まで幅広い年代の人たちが楽しめる、空想力に富んだ小説だ。
円形劇場の廃墟に住みついた、もじゃもじゃ頭で粗末な身なりをした不思議な少女モモ。黙って話を聞くだけで、人の心を溶かし悩みを解消させる能力を持った彼女のまわりには、いつもたくさんの大人や子どもたちが集まっていた。しかし「時間」を人間に倹約させることにより、世界中の余分な「時間」を独占しようとする「灰色の男たち」の出現により、町じゅうの人々はとりとめのないお喋りや、ゆとりのある生活を次第に失っていく。
本書は、時間どろぼうである「灰色の男たち」とモモの対決というスリルあふれる展開を通して、1分1秒と時間に追われる現代社会へ、警鐘を鳴らしている。たとえば、モモの友だちだったニノが「スピード料理」の店を始め、大繁盛しているせいで他人とわずかな世間話をする暇もないというように、時間を盗まれた人たちは、現代の私たちの姿そのものとして描かれている。昨今、モモのように際限のない時間の中で、空想をめぐらせ楽しむ生活はほとんど忘れられている。子どもばかりでなく、忙しい大人たちにも夢見ることの大切さを教えてくれる本だ。（砂塚洋美）
一日一冊読み放題タイトル紹介もついに百冊目！
今日は年末年始にまつわるタイトルの紹介はお休みして、100に関するタイトルを紹介します。なんと、2022年から岩波書店がKindle Unlimitedに参入しました！ まだ読み放題タイトルは数えるほどですが、岩波新書や岩波文庫、岩波科学ライブラリーなどから、今読みたい、アツいタイトルが登場しています。今後、どんなタイトルが読み放題に登場してくるか楽しみですね。
さて、今日紹介するのは『モモ』。忙しい時代を生きる現代人へ強いメッセージーを送る児童書の名作です。まだ読んだことのない方も、子供の時に読んだという方も、ぜひ手に取ってみてください。
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