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毎日1曲『三種の神器』20220128 - 男はつらいよ

作詞、作曲、歌唱、演奏、DTMを趣味や仕事にしている人に向けて書いています。毎日1曲、自分の頭の中で鳴った曲を取り上げて、僕の独断で『ヒット曲の三種の神器』と呼んでいる、世界のヒット曲に共通する不思議な法則を数値化して解説をしているコラムです。興味を惹かれたら『ヒット曲の三種の神器』の詳細についての過去記事もご覧ください。

今日の1曲

日付:2022年1月28日
タイトル:男はつらいよ(同名映画の主題歌)
アーティスト:渥美清

『三種の神器』度数

ヨナヌキメロディ度:10
弱起度:4
客観描写度:8
解説:
昭和の大衆娯楽の象徴であり、正月映画という風物になった大ヒット映画シリーズの同名主題歌で、主演俳優の渥美清が歌っている。

全編通してファ(4)とし(7)が一度も出てこない完全ヨナヌキメロディは度数10。A、A'、B、B'という構成で、1番を聞いたら2番はもう口ずさめるくらいのシンプルなメロディです。

サビであるBとB'、1番の歌詞なら「艱難辛苦の 甲斐もなく」で始まるメロディだけが弱起で印象を残し、弱起度は3です。

歌詞は映画の主人公の語り(口上)と心情の独白形式で、特に曲の始まり(イントロ)と終わり(アウトロ)の語り部分に、渥美清のキャラクターがよく出ていてこの曲の魅力になっています。この語りパートが無くて渥美さんの歌だけだったら、ずいぶん味気ない作品になっていたでしょう。

映画のワンシーンを切り取ったような歌詞、客観描写度は8としました。

作詞は星野哲郎、作曲が山本直純、二人とも日本の戦後の音楽界に偉業を残したエリート音楽作家です。彼らの作った歌や音楽のひとつふたつは、必ずあなたも知っているはずです。

コメント:
この曲の最初のレコード発売は1970年だそうですが、ご存知の通り映画のロングヒットにより、長きにわたって日本のお正月の合図のような国民的音楽でした。

歌う渥美清さんの存在も大きいですが、この頃の日本の大衆音楽はプロ中のプロが命を削って作り出していたことを想像しながら聞くと、改めて素晴らしく、かっこいいなぁと感動します。

渥美さんが亡くなった後に、八代亜紀、玉置浩二、桑田佳祐など錚々たるシンガーがこの曲をカバーしましたが、個人的には渥美さんのバージョンが一番泣けて、他のバージョンは歌が上手すぎてなぜか笑ってしまうのでありました。でも皆さん、天才!感動!

各種リンク

男はつらいよ 主題歌(Youtube)
男はつらいよ(映画Wikipedia)
星野哲郎(Wikipedia)
山本直純(Wikipedia)

『ヒット曲の三種の神器』解説記事

大平太一流 作詞作曲の必殺技『ヒット曲の三種の神器』解説記事です、是非あわせて読んでみてください。
①ヨナヌキメロディ/なぜか覚えやすい音階の不思議
②弱起/インパクト大!言葉やメロディが飛び込んでくる
③客観描写/具体的で無感情な描写が人の心に感動を生む

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