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【シリーズ人材育成】励まして伸ばそうとすると若手は消える【講師歴17年】

若者は制服が好きで「制服ディズニー」などと高校を卒業してからも制服を着続けようとしています 押しつけが嫌いな若者がなぜ制服が好きかと言えば「着ていれば文句を言われなくて楽」だからです さらに一歩進めて言うと「選ぶ必要が無くて楽」「着崩しのヴァリエーションは参考があって楽」「似合わなくても自分の責任ではないので楽」等々の「楽」の集大成だからです 

「自己主張」には「面倒臭さ」が付き物ですが「良い子でいること」には何の面倒臭さもありません 生きることには面倒臭さが付き物ですが 今の若い人にアンケートを取ると「死ぬ権利を認めて苦痛なく楽に死なせてほしい」という答えが大変多く帰ってきます 厚労省の統計によると15歳から34歳の死因の第一位が自殺です

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/suii09/deth8.html  

第4位まで含むとなんと64歳までが自殺の範囲に含まれます もし「苦痛なく楽に死ねて社会にも認められている」ことになったら多くの若者が死を選ぶと思われます 恐ろしいことに彼らは「生きること自体面倒くさい」ので「痛くなく楽に死ねるなら死にたい」と思っているわけです

「自殺傾向」というわけではなく「生存放棄」という感覚でしょうか 我々でも「死にたい」と思うことはしょっちゅうありますが 実行に移すかといえば移さないですよね 静かに消えていきたいというのが現代の若者の指向なのです 彼らが考える「良い子の条件」というのがあります

・周りと仲良くでき、協調性がある
・一見、さわやかで若者らしさがある
・学校や職場などでは横並びが基本
・5人で順番を決めるときは3番目か4番目を狙う
・言われたことはやるけど、それ以上のことはやらない
・人の意見はよく聞くけど、自分の意見は言わない
・悪い報告はギリギリまでしない
・質問しない
・タテのつながりを怖がり、ヨコの空気を大事にする
・授業や会議では後方で気配を消し、集団と化す
・オンラインでも気配を消し、集団と化す
・自分を含むグループ全体に対する問いかけには反応しない
・ルールには従う
・一番嫌いな役割はリーダー
・自己肯定感が低い
・競争が嫌い
・特にやりたいことはない

<金間大介氏著書 「先生、どうか皆の前でほめないで下さい: いい子症候群の若者たち」より>

「誰かに何かを押し付けられる=封建的体制」ということから「自由・個性尊重」が正しいような空気でずっと社会は推移してきましたが 「自由の裏には責任がある」という言葉通りに若い人たちは「自己責任」という呪縛にかかってしまっています

個性尊重が「やりたいことや特技があるやつが妬ましい」となってしまっているのです 日本文化の最大の欠点「横並び」「出る杭は打たれる」がそのまま体現されているのが今の若い人たちです 「他者に抜きんでる=抜け駆けしている・ずるい」と評価されるので「気配を消す」ことに終始することになります

だから彼らを褒めてはいけない 褒められると目立つので背景から浮き上がってしまいます 彼らは self esteem=自己肯定感情が著しく低くて その中で褒められるということは「期待されているような役割を果たさなければいけない=絶対無理」となって「圧力=鬱」となります 結果として授業や仕事から離脱してしまいます 彼らを伸ばそうという努力は彼らにとっては迷惑なのです ちなみに前掲の金間氏の著書によれば理想の職場は

周りがガシガシしてない感じ。上司とか先輩がガンガン来ない感じ。ルーチンな感じ。お前は何がしたいんだ、とか、まだ若いんだから、とか言われない感じ。」
「やっぱり大企業の事務職がいいかな。営業は向いてない。少人数の人と話すことは嫌いじゃないけど、誰かに何かを提案するとか絶対無理。いつか地元に戻りたいとも思うから、それならやっぱり公務員にしようかな。親も何となくそうしてほしいみたいだし」

ということで「勤労意欲」「出世意欲」どころか「ルーチンな事務仕事」というDXが進んだらすぐに淘汰されてしまうような職場を理想としています 今若手の育成に悩んでいる方はこのことを肝に銘じてほしいのです 「励まして伸ばそうとすると若手は消える」


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