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新しい望遠鏡を天体写真用にするために準備をした9つのこと

はじめに

 2020年7月上旬ごろにスペインの天体写真アミーゴからASA 8Nを購入したのですが、梅雨に突入したので、ファーストライトまでに準備をしておりました。振り返ると、いろいろとやっており、数えたら9つもありました。

 2013年に製造され、私で3オーナー目。前オーナーは2年前に個人売買で購入したけど使ってなかったようです。傷もなく丁寧に使われていた印象です。

 面倒な作業にみえるのですが、ファーストライトのためと思うとウキウキ気分で本人はやっております。

①ミラーを洗った

 泡がでてくるハンドソープをつかって、最初は優しく指で表面をナデナデしてあげたあとに、流水できれいに洗い流しました。
 本来は精製水で最後に流してあげる必要があるのですが手持ちがないので割愛してます。水垢が残らないようにエアーダスターで表面の水滴をとばしました。

②光軸を合わせた

 今回、レーザーコリメーターを新調しました。米国のHOTECHのSCA-2C Crosshair です。Amazonでは安い中華製のやつが大量にあるのですが、Amazonのコメント欄にもあるように品質に問題があるので、信頼のおけるメーカーのものを購入しました。

 作業の様子はこちらです。補正レンズを外して、2インチアダプターを突っ込んで、そこにコリメータをインサート。

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 きっちり中心にでましたね!これで撮影してみて光軸も合っていればいいんだけど。。。。

 ちなみに、ASA8Nのミラー裏はこんな感じです。赤色が引きネジ、黄色が押しネジで、これらを調整することで光軸を調整します。ミラー台を外すには、赤色を抜いて、青色に突っ込んだボルトを持って外します。

スクリーンショット 2020-08-19 18.28.23

 あとは、光軸調整用に六角レンチを使うのですが、すごく使いづらくイライラマックスになるので、これを購入しました。直角に挿入しやすいので苦痛が10分の1になりました。おススメです。


③ベースプレートを購入した

 鏡筒リングはついていたのですが、ベースプレート及びアリガタが付属しないので合うものをさがしました。いつも利用しているTelescope Expressに丁度よいものがありました。ロスマンディのアリガタ付きで、付属の鏡筒リングのネジ穴にピッタリのものでした。こういうところは、さすが天下のASA〜って感じですね。トッププレート用にも使えるので2枚購入しました。


④冷却ファンを交換した

 ドイツ製のebm-papstというメーカーのファンがついていました。調べたところ、工業用のもので耐候性が高いのですが、3200rpmで騒音が36dbぐらいの性能ということで、撮影前に温度順応させるのに利用するにはいいけど、撮影中に常時使うのは振動性能の面で怖かったので日本製のものに交換しました。

 撮影中にも動作OKかのテストは実際に試写してみないとわかりませんね。

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 老舗の山洋電気のDCファンで一番静かなタイプを購入しました。風量が半分になるのですが、低振動性を考えてのことです。
 ただし、PCケースファン用なので耐候性が心配です。特に冬場は気温がマイナス10度程度まで下がることになり、動作温度がギリなのです。

  ちゃちゃっと交換しました。

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 iPhoneの振動計アプリで簡易計測してみました。

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 交換前に、これぐらいあったのが

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 半分以下までさがりました。ピンボケですみません。

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 撮影結果に及ぼす影響があるのであれば、別の方法(空気送入など)を導入することになります。

⑤カメラ接続アダプターを購入した

 まず、ASA8Nについている補正レンズ、ASA 3" Wynne correctorのバックローカスを調べるために、ASAのサイトで公開されているこちらのシミュレーション用のEXCELファイルを使いました。

 私のMoravian G3-16200のカメラやAstrodonのフィルターのシステムでは以下のような接続アダプター長が計算上必要だとわかりました。要するに光路長28㎜弱です。

スクリーンショット 2020-08-21 8.34.21

 既にカメラ側にはほしぞら工房の柴田さんに依頼した、スケアリング調整機構付きのオス側のアダプターがついていたので、メス側を注文すればよかったのですが、Moravianで光路長28㎜のASA用のアダプターが売っていたので手っ取り早く購入しました。私のMoravianですがスケアリング調整しなくても平行がでていることも理由です。時間をみて柴田さんに作ってもらう予定です。

 到着した製品はこちらなのですが、左の本体と、3ミリぐらいのスペーサー的なリングが入っておりました。MoravianのEVAに聞いてみたところ、インナーフィルターの場合は重ねて装着、エクストラフィルターチェンジャーの場合は左だけでよいとのこと。いったん、EVAを信じます。

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⑥フードを作った

 鏡筒にシンデレラフィットなフードを用意するために自作しました。こちらの記事にまとめています。

⑦フラットボックスを作った

 フードにピッタリはまるフラットボックスを用意するために自作しました。こちらの記事にまとめています。

⑧電動フォーカサーをテストした

 装着されているのはASAのOK3-Zという電動フォーカサーです。ASAにて公開されているソフトウエアをインストールすれば、他の撮像ソフトでもASCOM経由で利用することができます。

 フォーカサーについては、ネジを適切に締め込んで、3キロのウエイトを載せて動作チェックしておきました。

⑨オートガイダーのカメラを更新した

 KOWAの工作機器用の100mm Cマウントレンズ、LM100JCと、QHY5L-IIのカメラを使っていたのですが、QHY5L-IIがUSB2.0端子が心もとないので、Type CのUSB端子をもつASI120MMに更新しました。ただし、装着されているCCDに変更はありません。

 ここからが検討です。
 いままでのε-130Dの焦点距離は430mm、それがASA8Nでは760mmとなります。約1.5倍となります。じゃあ、オートガイド用のレンズを焦点距離の長いものに変更すべきかを検討しました。

 現状のレンズでもPHDガイドでは、+-0.5秒程度のなかでオートガイドが安定しております。以下がPHD2でのお馴染みのグラフです。多分5秒単位で露出しております。

スクリーンショット 2020-08-07 20.29.50

 旧システムでのFOV/ピクセルは、206 x 6μm / 430 = 2.87、新システムのFOV/ピクセルは、206 x 6μm / 760 = 1.63 であることから、オートガイド の精度が+-0.5秒ぐらいでれば、シンチレーションのことも加味しても問題はないだろうという結論としました。

 結局、自分の赤道儀はエンコーダー付きで、ピリオデリックモーションエラーは0.5RMSしかないことから、オートガイド の目的は極軸ズレ補正となります。ということは極軸を正確に合わせてさえいれば、最小限のガイドしか必要しかないはずです。これ以上求めるならAOしかないはず。。。後日談は別の記事につづく。

さいごに

 実はこの記事を書いているときには既に観測所で組み上げました。そこで、いろんな不具合や修正箇所がでております。こちらも経験として伝えたいので、別記事にしますね。

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