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コメディな時間、短縮勤務の時間

おおかみ、お気に入りの「ラジオの時間」というコメディ映画。内容はこんな感じ

 ラジオドラマ「運命の女」は、熱海のパチンコ店のパート主婦が村の漁師と運命的な出会いを果たし、夫を捨てて愛に生きる恋愛物語
 ところが本番直前に主演女優が役名を”メアリー・ジェーン”に変更させたのをきっかけに、”熱海”は”ニューヨーク”に、”パート主婦”は”女弁護士”に変更。さらに本番中に舞台は”シカゴ”に変更され、”村の漁師”は”パイロット”に変更されるなど、出演者の気まぐれに振り回され、辻褄合わせのためにスタッフが右往左往する
 最終的には原作の影も形もない、NASAをも巻き込んだ壮大なラブストーリーが放送される…

辻褄を合わせるためのドタバタ劇に、おおかみは腹を抱えて笑った
ママぶたは「こいつ、ついに狂ったか?」と頭を抱えて泣いた

「ラジオの時間」はフィクションだけど、ほんまもんの舞台でも似たようなことは起こるらしい

ある役者が台詞をとばしてしまったことをきっかけに、なんと同じシーンが2回巡ってくることになった。その2回目に差し掛かったとき…

なんと彼らは、すべての台詞の前に「さっきも言ったけどな」「何度も言わせるな」「大事なことだから、もう一度言っておくぞ」と、二回言う理由をいちいち付け加え、不自然さを回避させたのだ。

三谷幸喜「未曽有の出来事」から引用

…ということがあったらしい。役者の反射神経、恐るべし


そして、ほんまもんの企業でも似たようなことは頻繁に起こる
某企業の方針発表会なんてのは典型的だった

まず、期初に全社の方針が立てられる
それを受けて事業部
さらにそれを受けて部
さらにさらにそれを受けて課の方針が検討され
ようやく最後に係のお仕事が定義される


上のほうはお偉方がよしなに計らっているので、つつがなく進んでいるように見えるのだが
その頃、下のほうでは蜂の巣をつついたような騒ぎになることは珍しくなく

”部”あたりからかなり雲行きがあやしくなり、コメディの様相を呈しはじめる

これまでやってきた仕事の継続性から、部長、課長はそれなりの青写真を描いている
しかしながら「私の役名は”メアリー・ジェーン”でしょ?」というような ワガママ 目から鱗が落ちるようなすばらしい新案が上から降りてくることも

そうなると、もう「ラジオの時間」まんまの展開が繰り広げられる
課長あたりになると、もはや西村雅彦さん演じるプロデューサーの牛島龍彦にしか見えない

楽しそうに 泣きながら関連部署を駆けずり回り、「ここの言い回しはこう変えて…」とか、「ここの数字は引っ込めて、代わりにこっちの数字で説明しよう…」とかして、みごとに辻褄の合った計画を練り上げる

ひどいときには、どうやっても達成できない無理ゲーな数字が方針に追記される

いや、上からの新案に振り回されるのはまだ幸い

「マルチン神父」のように忘れさられてしまうと、部下から「うちの課の仕事はどうなってるんだ!」と詰め寄られる


しかし優秀なサラリーマンたるもの、頻繁な朝令暮改ごときに動揺してはいけない

「事件は会議室で起きてんじゃない!現場で起きてんだ!」と半ベソの課長に迫ってはいけない。きみは青島じゃあない。相手も室井さんじゃあない、牛島プロデューサーだ

毎期恒例、お約束のコメディだと思って、傍から見て楽しむのが一番

しかしながら、家事や育児でプライベートが忙しい人には、笑えない事情もある


そう、それぞれの方針には発表の場が設けられる

ひつじ社方針発表会 →いちにち
へび事業部方針発表会 →はんにち
ねずみ部方針発表会 →はんにち
うし課方針発表会 →2時間
最後に、たつ係の方針が発表される →1時間

牛島課長はすべての発表会への出席が求められる。ブラックだ
”ブラックサンダーPREMIUM至福のバター”を差し入れてあげやう
あれは美味しかった

そして幸いなことに、平社員はだいたい事業部以下に招待される
それでも都合1.5日…

マジか?

と驚愕する…やふではサラリーマンは務まらない


発表する管理職はジャパネットと見紛みまがうほどプレゼンが上手く、聴衆である社員はその発表を真打の落語のように、涙を流して拝聴はいちょうしている わけがない
大抵の場合は、苦行 非常に有意義な時間なのだ

さらには、発表用パワポだけでは伺い知れないような、仕事のモチベーションをあげるサブストーリーが語られる ことも、まずない

発表用パワポは聴衆のために抜け漏れなく、小さい文字を駆使してすべての情報を網羅することが好ましい わけがないのだが。プレゼンを理解するのに、極めて 迷惑 親切だ

そのため、後で資料を見れば、まず間違いなくコトは足りる
資料を確認するのは、すべて合わせても半日はかからない


方針発表会は基本的に全社員出席
だけど、おおかみは短縮勤務中、ブッチしまくり 誠に遺憾ながらほぼ欠席

会議時間が長いので、短縮勤務の時間帯から外れることも多かった
途中退出/入室も目立つので、ちょっとでもかぶったらゴメンナサイして欠席

すると会議の時間だけで1日分=短縮3日分 の時間は浮く
その週はこれだけで、フルタイム社員とほぼ変わりない業務時間を確保できる


これは極端な例だけど、無駄な会議/打ち合わせはかなりある
課長になると、もはや打ち合わせのみが9to5の業務と言って差し支えない。「本来業務」は残業時間にやるしかない。残業代出ないケド

おおかみは短縮勤務に甘えまくった
本来業務以外は、勤務時間を外れたらゴメンナサイでパス

その考えは”ブラックサンダーPREMIUM至福のバター”より甘かった、けど、特にクレームは出なかった

みんな分かっているのだよ
ムリムラムダがゴロゴロしてることを
なんたって日本企業の生産性は先進国の中でも最下層だもの

むしろ、おおかみがパスすることで便乗してパスしやすかったり
不要不急な会議自体が無くなったりで
ひそかに感謝されてた…カモ


そんなムリムダムラの三無主義のために、貴重なプライベートの時間を費やすのはもったいない

短縮勤務はムリムダムラを省くための印籠にできる

おおかみのサラリーマン生活ドキュメンタリー「24時間戦えますか?」は、メーカーの新入社員が、すばらしい上司と運命的な出会いを果たし、プライベートを捨てて会社に忠誠を誓う物語

ところが、同じ部署に配属された同期が役名を”妻”に変更させたのをきっかけに、”会社”は”家庭”に、”社畜”は”育パパ”に変更

挙句の果てには短縮勤務をたてに、本来業務以外を切りまくるという壮大なRPGが展開された…

めでたしめでたし♬

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