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ISBNは買わない⁈

 今年も残すところあとわずか。掃除もしなくては…。さて、今年買ったZINE振り返りです。家計簿を見返したところ、今年の図書費=ZINEでした。書店に流通するバーコード(ISBN)がついているものは、悪いのですが全て図書館で借りました。…と言っても、図書館未所蔵本もあるので、そのあたり(☝だと『IN/SECTS』とか)は購入しました。
 「新刊を図書館で借りる」ハードルの高さは図書館横断でカバー。以前記事にしたように、地の利を生かして近隣図書館(4区+新宿追加)+会社近郊図書館(中央・千代田)、なんなら前の居住近隣(世田谷・目黒)を含めれば東京都の三分の一は網羅。これで複数館に予約を入れるという裏技を駆使して楽しく読書ライフしてましたヨ…ってなんの宣伝⁈。閑話休題。購入ZINEがほぼほぼ500円前後が多かったりするのは、フトコロ事情にもよりますが、価格と内容は比例しねィのです。そんな中印象深かった二冊をご紹介。

私の生活改善運動 安達茉莉子著

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SUNNY BOY BOOKSさんにて購入660円。妙蓮寺にある生活綴方のレーベル。この形式でエッセイ(中はキッチリ文字だけ。図版無)っていうのが新鮮でした。大きさは文庫より小さくてA6(A4四折)、ページ数40P 、リソグラフ手製本という存在自体すべて愛らしいシリーズで、今年一番新鮮でエポックメーキングでした。この本何度、通勤時間(片道約40分)で繰り返し読んだだろう…。ちょうど片道で最後まで読み通せて何度読んでも読み飽きなくて「通勤時間」というスチール家具みたいな時間に少し色味を差してくれるようなそんなZINE。
 これに限らず、通勤電車でZINEを読むって小さなレジスタンス⁈な感じがしてオススメです。あと手紙を読むのもグッといいね!そうそう、古着を着て銀座線で通勤して、蛍光灯の下、スチール家具に囲まれて働くことも然り。ありゃりゃまた脱線だ!

自己尊厳に関わるもの

 この中で、安達さんは、友人のYさんに啓蒙され始めた「生活改善運動」の様子を綴っているのですが、その中で「一番変わったのは実は生活そのものではなくて、自分自身だった」と書いている。件のYさんは「自分は尊いので、ちゃんと適切なものを与えねばならぬ言わんばかりに、日々の生活の改善を追求」していた、と言うし…。これは、立派な「セルフケア」ですよね。そういう視点が「生活・住まい」の中でわずか40Pたらずで淡々と気負いない文体で書かれていて、すがすがしかったです。これが、前回記事で触れた「ZINEと自己の尊厳について」に繋がっていきます。

 またYさんの「安い茶葉でもなんでもええ。茶を淹れる前にフライパンで一旦煎ると、驚くほど味がよくなる」ことについて安達さんは「ただのほうじ茶について、こんなに大事に語る人がいる。まったく違う流れ方をする人生」というので心に残った、と言っています。ほんっと、名言。具体的な生活の知恵で、もしかしたらインスタグラムのまとめで出てきちゃうのかもしれないけど、ZINEの中で聞くと、自分だけにコソッと教えてくれた距離感と温度があって格別だな。そういうことをこの「ほうじ茶」でしみじみ思いました!やっぱりZINEが好き!このシリーズは、現在Vol.4まで出ていて、私も1か月1冊のペースで大事に購入して読んでいこうと思っています(今後これらをまとめる話もあるみたい?!)。

趣味の本『きょうはO.V 愛蔵版』

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 本屋イトマイさんで購入1999円。私にとっては決意のいる価格!にゃーーーー!今年後半は自分の作成したZINEのこともあって、都内にある一人店主な本屋さんをまわりましたが、この本はイトマイさんでしか見なかったです。しかもビニールがかかっていて中を見るのが困難な上「店主のイチオシ」のようなPOPが…。そこで勇気を出して中を見せてもらいました。…いや、正直店頭でさえ、その全貌はまっっっったく分からなかったし、熱にうかされて買ってまいました!オーイェイ!店主さんも「説明がむつかしくて…」とおっしゃっていて、私自身もここで紹介しておきながら、どんな?ということを伝えきれない。

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こんなつまみ食い抜粋ではぜったいに伝わらない!
ごめんなさい、O.V!

…ントぉ〜、現代美術なのか?『オマルトヴェンザー』というアーティスト(集団?)の図録です。しかし、なんだよ「愛蔵版」って。なんだか人を誘惑する脱力した優しげなようでよく見ると不可思議な表紙もシカケありすぎ!彼らの提言「ものづくりは、生活を豊かにするための根元的な遊びだ。」から一歩もズレてないガチな作り。しかっし!その表現のむかう方向が想像的?創造的?すぎて…大変愉快な体験型図録なんでっす!私は本購入後、都バスで環七移動でしたけど…乾いた一連の時間の中で、ニヤけたし、笑った!…笑ったよ。笑うのが正解とか不正解とかもうわかんないけど、そこは憧れの境地だった、オマルトヴェンザー!これも今年のエポックメーキングな出来事でした。展示に行かずしてこの体験。というかこの作りが完成形なのか?もはや私のチンケな批評外だ。たのしかったなーーー。

 安達さんの本もオマルトヴェンザーも「生活を豊かにする」というテーマが一致しているね。「生活」ってもう聞き飽きた括りのようでまだまだ未開拓域ありますよ!

番外編『IN/SECTS』

 番外編の『IN/SECTS』はISBNコード付なので大型書店でも取り寄せができる、正確には,ZINEではない?リトルプレスです。定価が1870円もすんの!ドヒー!高い。映画の大人料金も高いけど、サービスデー利用なんでね…という文化費比較です。で!今年出た二号分をそれぞれ、tsugubooksさんとlighthouseさんで購入ました!これは、私的には今年一番の文化投資です(発行所:LLCインセクツさんに対する)。あまたある雑誌群の中で何がこんなにも魅了するのだろ…とても「雑誌然」としているのが好きなのかも!Vol.13の書店特集はツボだったので買いました。自分でZINEを製作するにあたって、いろいろと勉強になりました(今はどんな本屋があるの?もしも置いてもらうならどこがイメージかしら?とか)。文字量多いので最新号の「言葉は楽しい」はじっくり読めてないんですけど、季刊をいいことにユックリ読んでこうか!って構えらえる出版頻度も好みだな!ぜんぜんレビューしてないけど、おもしろいよ!好きだよ!っていう表明は大事と思ってね。

あ!あとこれらを購入した本屋さんも全部すてきな本屋さんです。1回しか行ってなかったりしてもそう言えることはあります!本屋さんでは、ツイため息をついている私だけど、それは本屋さんの選んだ本がまぶしすぎるからです。それほどに良い体験なのですね。ありがたや!

んなー、感じで年は、ゆく…ほんじゃ今度こそさいならばい、2021。
よろしく2022!また来年〜。

表:書いたもので「恥ずかしさの先頭に立つ!」 裏:読んだあとに「なんとはなしにおしゃべりしたりお散歩したくなるような…」そんな”かの地”まで帆走おねがいします。