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トラウマというコトバついて

私たちがトラウマというコトバを使う時、トラウマとなった『出来事』について述べている時と、トラウマによって生じた『症状』について述べていることが多いようです。

これらは区別なく使われることが多いので「トラウマとは何か?」と考えてみると、わかるようでわかりにくい・・・。

トラウマ=心の傷といえば確かにそうなのですが、これはかなり大雑把な理解に思えます。

私たちは、大なり小なり心に傷を抱えた経験があるものです。
しかし、心の傷すべてがトラウマになるわけではありません。

トラウマは、日常語として使われるような、傷つきや不快な出来事によって一時的に生じる不安や恐怖とは異なります。

人間には自然治癒力があるので、心に傷を受けても時間の経過とともに良くなることも多いと言われています。

努力や、周りの支えによって乗り越えられるものもあります。

こうした自然治癒力が及ばず、時間の経過や、(自分の)努力や周りの支えがあっても乗り越えることができないものが、トラウマと呼ばれているのだと思います。

少し回りくどくなりましたが、

トラウマとは『時間が経っても消えない心の傷(出来事の影響)によって、辛い記憶や感情に苦しんだり、振り回されること(症状)が続いた状態』と、私なりに定義してみたいと思います。

では、どのようなことがトラウマとなるのでしょうか?

どのような出来事が私たちの心に傷として残り、その影響によってどのような状態に陥ってしまうのでしょうか?

それがトラウマなのかどうかよりも、トラウマという視点で見た時に初めて見えてくるものがある。

次稿より、PTSD概念(複雑性PTSDを含む)を下敷きにトラウマについての解説を進めていきたいと思います。

背景となる生理学的なメカニズムや、その治療についても順次触れていきたいと思います。


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