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感情はコントロールできない

よく、『感情のコントロール』というコトバを耳にします。

ですが、これは少し雑な表現だなと思います。
そもそも、感情は私たちの意思の及ばないところから自然と湧いてくるものなので、コントロールすることはできません。

ですが、世の中には感情をコントロールすることができている人、上手に見える人がいます。

実は、上手な人は感情をコントロールしているわけではありません。彼らがコントロールしているのは感情そのものではなく、感情の表現の仕方です。

感情と行動

感情は、私たちの行動を通して表に現れます。
ここで言う行動には、身振りや手振り、表情や声のトーンや緩急、言葉遣いなども含まれます。

TPOやその場に応じた表現の仕方を調整したり、演出したりといった行動をコントロールしていくことが、感情のコントロールと言われているのだと思います。

ですから、感情のコントロールができている人(上手な人)というのは、感情を表に出さないことも含めて、表現や出し方といった行動レベルでの調整が上手なのだと思います。

心は自由

そして、感情は自然現象なので良い・悪いはありません。どんなことを想っても、感じでもいい。心は自由です。

だから、自分が感じたこと、想ったこと、心に浮かんだことに罪悪感を抱く必要はない。それが問題になるのは、表現の仕方を誤った時なのだと思います。

感情は人を傷つけない

感情は人を傷つけません。感情そのものが、ダイレクトに人を傷つけることはありません。

それが傷つける形になるのは、表現の形が暴力的であったり、加害的な色彩を帯びた時なのだと思います。

例えば、気に触ることを言われたので相手を罵倒するというのは、怒りの感情を加害的な形で表現したと言えます。

しかし、穏やかな口調で「ちょっと、その言い方は傷つくなぁ…」「そう言われると、流石に腹が立ってしまうよ」というのも、怒りの表現です。

感情と行動を区別して考える

私たちは子どもの頃から、感情と行動を区別する習慣がほとんどありません。むしろ、一色に捉えているところがあります。

でも、私たちは育ちの過程で「そんなこと言ってはいけません!!」とか「怒らないの!!」と叱責されたことは一度や二度ではないかもしれません。

こう言われてしまうと、「自分の考え方がいけないんだ」とか「怒りを感じる自分は悪い子なんだ」と子どもは思い込んでしまうことがあります。

正確に子どもに伝えるのなら、「頭でそう思うのはいいのだけど、それを口に出すと相手の人が悪く思う(機嫌が悪くなったり、関係が悪化する)から、言葉には出さないでおいてね」とか、「腹が立つのは仕方がないことだけど、大声で怒鳴るのはやめてちょうだいね」といった言い方になるでしょう。

つまり、こうした伝え方は、その子の感じ方や感じたことはそのままでOK。だけど、その表現の仕方には注意しようねということを伝えていることになります。

しかし、こうした伝え方をされるのは稀で「そんなこと言ってはいけません!!」と、感情と行動を一色にした形で伝えられてしまうことが多いため、私たちは自分の感じ方や感情の在り方に良し悪しの尺度を持ち込んでしまうことになるのだと思います。

~おわりに~

だからこそ、伝え方というのは大切だし、難しいなと思います。

感情はそのものはコントロールできない。

感情のコントロールを正確に表現するのなら、『感情の表現の仕方のコントロール』という言い方になるかと思います。

じゃあ、表現の仕方である行動ならばコントロールできるのかというと、そうでもない。

どうしても、自分の意思を超えたところで、表情や声のトーン、雰囲気に現れてしまうところはあります。

それでも、その時の自分の感情や気持ちに自覚的であること。

自分がその時どんな気持ちを感じ、抱いているのかを意識して初めて、私たちは表現の仕方、伝え方を工夫したり調節していけるのだと思います。

何を感じても、そこでどのようなことを想ったとしても良いか悪いかはない。

だから、自分が抱いた気持ちや感情に正しさを求めなくていい。

良いも悪いもないのだから、罪悪感を手放してもいいのだと、そう思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。






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