AUS勢の反撃!スーパーラグビーR11レビュー
スーパーラグビー・パシフィックRound11は、オーストラリア(AUS)のチームの勢いがあったラウンドでした。今季から参加のフィジアン・ドゥルアの試合がフィジーで行われ、凄い盛り上がりを見せるなど、6試合中5試合が4点差以内の大接戦が多かったR11を振り返ってみましょう。
チーフス敵地で逃げ切った!レッズ v チーフス
前半は同点で折り返し、後半はレッズに2枚のイエローカードが出て荒れ気味に。チーフスが9点差にして試合が決まったかに思えたが、残り5分でチーフス20番フィナウが危険なタックルでレッドカード。
残り時間を考えてレッズはクイックタップで攻めてトライを奪い残り時間3分弱で2点差まで詰め寄った。
しかし、最後はチーフスがジャッカルに成功して逃げ切った。
昨年は同じ会場でマッケンジーのレッドカードが出るなど、負けた試合だったが、今年は冷や冷やながらチーフスが逃げ切った。敵地でレッズ相手の勝利は大きいか。
前半レッズのタックルが頭部へのタックルだったにもかかわらず、状況判断から(タックル受け選手が低くなったから?)ペナルティーオンリーの判定。
一方のチーフスのレッドカードは、ショルダータックルには見えなかった気がするがレッド判定だったのは、公平性がないかなと思えたし、厳しくてもイエローかと思った。
ニュージーランド国内で、毎週イエローだけでなく、レッドカードが多く出ていることが話題になっています。
試合スコアー&ハイライト動画
Reds 25
(Harry Wilson, Josh Flook, Hunter Paisami tries; Lawson Creighton 2 con, 2 pen)
Chiefs 27
(Cortez Ratima, Samisoni Taukei'aho, Pita Gus Sowakula tries; Bryn Gatland 3 con, 2 pen).
HT: 13-13
ブルーズ後半0点でも… フォース v ブルーズ
ブルーズは、反則を繰り返したとして開始2,3分ほどでシンビンが出る。
その間にフォースはすかさずトライを取って数的有利を活かした。
その後は、ブルーズが3トライを奪い14点差をつけてハーフタイム。
前半の流れから後半は、ブルーズがそのまま突き離すかと思われたが、後半はフォースが攻める場面がほとんどでブルーズは、まったく得点できず。
2トライを奪って4点差にしたフォースは、ロスタイムに入ってブルーズ陣のゴール前で26フェーズを重ねてトライを奪いに行ったが最後はジャッカルされて逆転ならず。
フォースは残り4分のところで取ったトライの時にコンバージョンが決まらなかったので2点差にできなかったのが痛かったか。それにより4点差だったのでトライを奪わなくては勝利できなかったのが最後に影響したことになった。そんなに難しくなかったキックだけに余計に残念だったか。
ブルーズが苦戦したのは、後半の頭に敵陣ゴール前で攻めていて、相手にイエローカードが出たにもかかわらず、トライを追加できなかったのが最後までもつれる要因になったか。ここで取っていれば19~21点差になって相手へのダメージは大きいと思う。
試合スコアー&ハイライト動画
Western Force 18
(Manasa Mataele, Jeremy Thrush, Bo Abra tries; Bayley Kuenzle pen)
Blues 22
(Sam Darry, Akira Ioane, AJ Lam tries; Beauden Barrett 2 con, pen).
HT: 8-22
大接戦でお祭り騒ぎ!
フィジアン・ドゥルア v ハイランダーズ
Suvaの超満員のスタジアムで行われたこの試合。
ハイランダーズの「Haka」とフィジアン・ドゥルアの「War Cry」で
スタジアムは更に盛り上がった!
キックオフから間もなく、フィジアン・ドゥルアの凄い攻撃が見れた。
11番がタッチライン際をスピードを活かしてゲインしてチャンスを作り最後は9番がトライでスタジアムが大盛り上がり。
負けてたまるかと言わんばかりのハイランダーズは、直ぐにトライを奪い返して同点に持ち込む。
しかし、再びフィジアン・ドゥルアが、自陣から展開して11番が70Mほどを走り切りトライを挙る。3人のディフェンスに指一本触れさせないランは見事だった。
フィジアン・ドゥルアが7点差でリードして折り返したが、後半はハイランダーズがPGで4点差まで詰め寄って、その後、ゴール前でラインアウトからモールで何とかトライを取って逆転。
残り時間20分ほどあったが、両チームとも得点がなく何とかハイランダーズが逃げ切った試合だった。
勢いのあるのは圧倒的にフィジアン・ドゥルアだったが、ハイランダーズは我慢のラグビーをして何とか食らいついたのが良かったか。
特に前半離されかけたところで8番M・ミカエリトゥのパワーを活かして取ったトライで反撃の兆しを作ったのが大きかったか。
フィジアン・ドゥルアは、後半無得点に終わったのが残念だったが、前半のパフォーマンスは素晴らしく、あの攻撃は相手にとっては脅威になるのは確かだ。まだまだ伸びるチームだと思うので今後も楽しみ。
試合スコアー&ハイライト動画
Fijian Drua 24
(Frank Lomani, Vinaya Habosi, Kalaveti Ravouvou tries; Teti Tela 3 con, pen) Highlanders 27
(Sam Gilbert, Mikaele Tu'u, Rhys Marshall tries; Mitch Hunt 3 con, 2 pen).
HT: 24-17
フィジーでの開催が盛り上がった事から、チーフスとの試合もフィジーで行われることになったのは、フィジーの人にとってうれしいニュースか。
王者がミス連発!ワラターズvクルセイダーズ
こんな酷いクルセイダーズの試合を見たことがあるか⁉と言えるくらいクルセイダーズらしからぬミスが多かった試合だった。
前半ワラターズの勢いがあり11番のキレのあるランでトライを奪われたのは、攻撃が良かったから致し方がない。しかしその他は、クルセイダーズの信じられないほどのハンドリングエラーがあったのは言うまでもない。
あれでは、勝てるはずもなく、ただただ酷い試合だったと言う事。
もちろん、ワラターズが良いプレッシャーをかけていたのもあるのだが、それにしてもミスが多すぎのクルセイダーズだった。
後半追い上げたものの前半で17-0とリードされたのが大きかった。
おまけに、控えのロックの選手が何度も高いタックルをして、一度はラッキーな事にカードが間逃れたものの、2回目は文句なしのレッドカード。反撃のチャンスだっただけに、試合をぶち壊した形になったのが残念だった。
筆者のプレビューで書いた予想が20点差でクルセイダーズと書いたことが恥ずかしくなる試合内容だった。モウンガ、ブラッカダーの大物主力を休ませたのが、ワラターズをなめていたと言う事になるか。
昨年の一勝もできなかったワラターズが今季は復調の兆しは本当かも。
試合スコアー&ハイライト動画
Waratahs 24
(Dylan Pietsch, Mark Nawaqanitawase tries; Penalty try; Tane Edmed 2 con, pen)
Crusaders 21
(Sione Havili, Fletcher Newell tries; Penalty try; Fergus Burke con; Simon Hickey con).
HT: 17-0
モアナあと一歩… レベルズ v モアナ・パシフィカ
モアナ・パシフィカが序盤にモールからトライを取って先制した。これを見てモアナいけるかなと思ったくらい、チームとしてしっかりまとまってきている印象だった。
しかし、レベルズがモアナ・パシフィカの弱点を狙い、ゴール前のラインアウトは徹底的にモールにこだわり、前半二つのトライはいずれもモールからのトライだった。
前半レベルズが4点のリードで折り返し、後半先制したのはモアナ・パシフィカで、ゴール前でFWにこだわってのトライは見事だった。これで逆転に成功して2勝目もあるかと思わせるくらい充実しているように思えた。
しかし、レベルズが2連続トライで逆転して9点差として試合が決まったかに思えたが・・・23番カタが力強いランでディフェンスの裏に出て22番マクラウチに繋いでトライ? しかしレベルズのカバーディフェンスの物凄いタックルでインゴールでのノックオンになり決定的なチャンスを逃した。
それでも諦めなかったモアナは残り3分でトライを決めて4点差まで詰め寄った。最後にレベルズに危険なタックルでレッドカードが出てチャンスが残ったが・・・ チャンスとなるはずだったタッチキックがまさかのミス・・・
最後まで分からなかった激戦はレベルズが相手のミスにも助けられて逃げ切り勝利となった。
モアナ・パシフィカの最後の追い上げも凄かったが、レベルズのキッカー15番R・ホッジの正確なコンバージョンで難しいところをいくつか決めたのも大きかったか。
試合スコアー&ハイライト動画
Rebels 26
(James Hanson 2, Reece Hodge, Andrew Kelleway tries; Hodge 3 con) Moana Pasifika 22
(Alamanda Motuga, Abraham Pole, Timoci Tavatavanawai tries; Christian Leali'ifano con, 2 pen).
HT: 14-10
強い! ブランビーズ v ハリケーンズ
ハリケーンズは、決して悪くわなかった。ブランビーズが強かったと言うべきの試合だったか。
前半、3点差でブランビーズがリードして後半を迎えた。
ハリケーンズ11番ラヤシのトライで逆転したものの、ブランビーズがモールからトライを取ったあたりから勢いがついた感じで、このトライをきっかけに3連続トライがあったのは大きかったか。
その後ハリケーンズもトライを返すも、シンビンで一人欠くことになったのも反撃しきれなかった要因か。最後にミスからダメ押しのトライを奪われたが、一試合通じてブランビーズの強さが目立った試合だった。
逆転されても自分たちのラグビーをし続けて安定感抜群だったブランビーズは、12チームの中で一番充実しているチームと言えるかも知れない。
ハリケーンズは、悪くなかったものの、プレビューでも書いたようにA・サヴェア頼みの面が大きく、この試合ではある意味封じ込められた感もあるので勢いに乗れなかったように思えた。それだけ、ブランビーズのプレッシャーが良かったと言う事か。
試合スコアー&ハイライト動画
Brumbies 42
(Rob Valentini, Lachlan Lonergan, Jahrome Brown, Tom Banks, Hudson Creighton tries; Noah Lolesion 4 con, 3 pen)
Hurricanes 25
(Peter Umaga-Jensen, Salesi Rayasi, Billy Proctor tries; Jordie Barrett 2 con, 2 pen).
HT: 16-13
NZ3勝、AUS3勝とRound11は、仲良く星を分け合う事となり、昨年のNZ勢の圧倒とは違った感じになってきて、面白くなってきました。
NZ国内では、ちょっと、いやだいぶんかな、悲観的な言葉が出てきていますが、私はそうは思っていません。 競った試合になった方が良いと思ってます。そのことについても書いていければと思ってます。
残りのスーパーラグビーも楽しみです。
※トップの写真は2021年スーパーラグビーで筆者撮影
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