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目指すゴールの高さに応じてアイデアの格が変わるんだよ、という話

同僚と話していて、ふとセラノスの話になりました。

結果、セラノスを創業したホームズはその虚偽によって、ジョブズの後継者から大ホラ吹きだの詐欺師だのと呼ばれることになってしまった。真偽の程は全く知らないけれど、セラノスはある意味で、大きなチャレンジを掲げた代表的な例で、そのビジョンに多くの投資家をはじめ、世界中の人が陶酔した。詐欺はもちろん良くないことなんだけども、世の中を前進させるのは、そういった大口上をかかげた人で、セラノスは良くなかった例だけれども、そうした、ビッグチャレンジのことをシリコンバレー的にはムーンショットと呼ぶらしい。


ムーンショットとは

ムーンショットという言葉がある。もともとは、ケネディ大統領がアポロ計画の計画実行を世間に対して発信したことから生まれた言葉で、「アポロ計画のような、人類が月に行くなど、普通では考えられない壮大なチャレンジ」のことを指す。

2こめの記事に、組織としてムーンショットを掲げるGoogle Xのリーダーの素敵な言葉があったので引用します。

If you are showing to make something 10% better, you are in smartness contest with everyone else in the world and whoever you are, whatever team you’re supporting going to lose, because there are just too many smart people in the world.
何かを10%ずつ改善していくアプローチを取ると、世界中の人たちを相手にした“頭の良さコンテスト”に巻き込まれる。しかし、頭の良い人は世界中にごまんと居るので、あなたやあなたのチームがどれほどのものであれ、いつかは負けてしまうことになる。
But, if you have taken an enormous step back. If you just start over from scratch, if you use creativity and storytelling as your main muscle instead of smartness, all of a sudden things get a lot easier. 
しかし、もしその戦いから一歩身を引いて、イチから考え直してみることにすると、そして頭の良さではなくクリエイティビティとストーリーテリングの筋肉を使うようにしてみると、物事は途端に簡単になっていくんだ。

ちなみにこの「恋する芸術と科学」はぼくが今まで読んだ雑誌の中で、一番と言い切れる雑誌である。ぼくにとっては、ジョブズにとってのホール・アース・カタログのような存在。

書かれているように、世の中の多くでは10%良くしていく、つまり改善の競争が行われているけれども、実はこの戦いはものすごく難しい。今すでに100%のちからを使ってやりきったものを、さらによく、もっとよく、もっともっとよくしていくのは、実は非常に難しい。営業が成果をあげるほど来季の目標がどんどん高くなってしんどくなっていくように。


10%改善するより、10倍にするほうがカンタン

なにかの本かメディアでこんな一節をみつけた。実は10%改善するよりも、10倍にするほうがカンタンだというのだ。どういうことかというと、10倍にするには、今と同じ方法をやっていては達成できないので、全く新しい方法を考えるしかない、だからこそ今まで使ってないリソースを洗い出したり、外部のパートナーと組んでみたりすることで、まったく新しい道が発見したりする。それはやったことがある人はわかると思うかもしれないが、やってみると案外カンタンに見つかったりする。

いっぽうで10%の改善は現在のコストを削ったり、と各種のタフな調整が求められて、結構摩耗する。それでもせいぜい数%ってなることが多い。「お前の感覚やんけ!」と思われてしまうとそれまでなんですが。


企画やサービスの格は、目指すゴールによって変わる。

「発想の技術」という電通のプランナーの樋口景一さんが書かれている本の中に「敵の設定によって、ブランドの格が決まる」という一節があります。例えば、スターバックスは顧客へのサービスおいてリッツカールトンをライバルにしているという話があるように、自社のサービス/事業はどんなひとやものをライバルに据えているのかによって、その格が決まる。

それは他のことにも言えることで、あなたのいまやっている企画やサービスが何をゴールにしているのか、言い換えるならライバルは誰なのか、によって、何をすべきなのかが決まってくる。低いゴールをかかげれば、それなりのアイデアになる。企画をしていて、どうも煮詰まってきたら、問いかけてみてもいいかもしれません。

「ぼくたちのこの取組みにおけるライバルって何なんだろうね?」


ムーンショットと水平思考

高い目標をかかげて、今回のプロジェクトはまさしくムーンショットだね!となったところで、じゃあ実際どうしたらいいの?という問題が生まれてくる。もちろんぼくだった答えなんかもっちゃいないけど、ヒントになるんじゃないかなと思ったのは、水平思考という考え方。

一時期、ポール・スローンのウミガメのスープが話題になったから単語自体は知っている人も多いと思う。問題を考えるときに、まずその問題の前提から疑うという考え方だ。

個人的にはこの水平思考がムーンショット的なプロセスと非常に相性がいいんじゃないかと思っている。そもそも、なんでこれってこういう前提でやってるんだろう、そもそもなんで多くの人はこの技術を使っているんだろう、とか。こうした当たり前を疑っていくと、実は今まで人が考えてこなかった、隠れたポテンシャルみたいなものが見つかるかもしれない。ただ、おそらくきっと、ムーンショットのような大きなチャレンジはポテンシャルを発見したあとに、泥臭い試行錯誤が待っている。だから水平思考が一発で、はい!ムーンショットでした!なんてはできないけれども、10倍が生まれる下地を見つける手助けにはなるかもしれない。


・・・


さて、相変わらず偉そうな事を書いてしまいましたが、もし違うだろ!とかこっちのほうがいいんじゃない!みたいな方法があれば教えて下さい。

せっかくとれた代休なのに、仕事みたいなことを考えてしまいました。最近イベント続きで疲れっぱなしなので、サウナにでもいってきます。それではまた!

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