見出し画像

多数決にすぐに逃げるな。

こんにちは。ナッツです。

今日は、高校教師であるナッツが教室で子どもたちに話した内容です。
「みんなで決めるときは簡単に多数決をしない方がいい理由」についてお話したいと思います。

さて。
文化祭のシーズンですので、気づくとニヤニヤしてしまいます。

学校で特別活動で何をするか決める時って2種類に分かれると思っていて、

1つは、先生が独自に「これをする」ってすでに決めていて、それを生徒が行うパターン。

もう1つは、生徒が話し合って「これをしよう」と決めるパターン。

あらかじめ言っておくと、どちらが良い悪いとかそういう話ではありません。

その時々でベストの進め方があります。

ちなみに個人的には、2つ目の「生徒が話し合って決める」パターンが好きです。

理由は、学校での主役は生徒であり、成長するのは生徒であり、実際に行動するのは生徒であるからです。
でも、この決め方には『落とし穴』があります。

生徒だけで話し合って決める落とし穴

落とし穴ポイントは2つあります。

1つ目は「まだ見たり聞いたり経験したことがない事」が意見として出ないところです。

例えば文化祭での出し物を何にするかの意見を出すときに、「祭りの出店」とか「モザイクアート」のような案はよく出るのですが、「インスタレーション」という案は出てきません。

「インスタレーション」というのは〔空間そのものを作品にする展示〕のことなのですが、知らないものは意見としてまず出ようがない。

ということは案を出す段階で知識量がダイレクトに影響してしまうため、どうしても年齢が低いと経験に限りがでてしまいます。

学校の面白いところって、普通では考えつかないようなことをしたり、経験したことのないことをやってみるところだと思います。

中には「やったことがない」という理由で避けてきたことを、「まあ学校の行事だから。。。」と思って渋々やってみたら案外面白かったりする。

そしてその経験が自分の人生のターニングポイントであったと後から思ったりするんですよね。

文化祭なんて最たる例です。「やってみたら意外に面白かった」ってやつです。

すでに経験したり、予想できるものをやるのもいいんだけど、自分がやったことのないことに安全に挑戦することの面白さだと思います。

そのような皆が「やったことのないこと」を「こんなのあるけどどうかな?」と示すのも大人の役目かなと思っています。

2つ目の落とし穴。多数決に逃げがち。

ワクワクする面白いことって、多数決から生まれないと思っています。
大体、誰も気づかなかった少数派の意見をやってみて「考えてもみなかったけどめっちゃおもろいやん!」ってなるパターンが多いです。

例えばラップをやっている教師は全国で1000人いたら1人くらいの絶滅危惧種だと思います。

教師でラップをしましょうなんて会議で言ったら、多数決ではほぼ必ず否定されますよね、確実に。

多数決で可決されることって、

・みんなが想像できること
・みんなが今までやったことのあること
・できるだけ失敗がなさそうで安全な方。

であることが多いです。(もちろん全部が全部ではないですのですが。)
でもやってみたら面白いことって、上の3つの「正反対」であることが多いです。

・みんなが想像できず、
・今までやったことがなく、
・失敗するかもしれないけどリターンもデカいもの

という、多数決では絶対ハネられる案が面白かったりする。

だから、突拍子のない意見はなかなかバカにできない。

さらに、多数決って”あんまり考えなくても”決めることが出来てしまいます。

そして失敗しても、「多数決で決めたことだから」とぼやけてしまうんですね。

つまり、無意識に思考を放棄してしまう仕組みになってしまいます。

一番大事なのは、じっくり意見を出し合って、熟慮を重ねることです。

その結果、「あ、そんな考え方もあるんだな。A案がいいと思ったけどB案のほうがいいかも」と考えが変わったりするプロセスがとても価値があることです。

多数決はこれらをすっ飛ばして決定できてしまう怖さがあります。
そして1つ目の話と結びつくのですが、意見を出さないまま決めようとすると、人って安全な方に逃げます。

失敗しそうなことや、自分が経験したことのないことは怖くて選びたくないのは当然かもしれません。

だけど、経験したことのないことや、失敗しそうなことにこそ興奮が待っています。

そんなこんなで教師は迷うんです。

みんなに決めさせたい。

でも、子どもたちが見たことのない世界(意見にはなかなか出てこない案)をコチラが用意してあげたい。
この2つで悩みます。

それらを踏まえて、面白いことを考えて、文化祭に熱中してほしい!

そうやって悩むのですが、今のところの僕の結論は、クラスの子どもたちが議論して決めて、そこに教師である僕が味付けをして全面バックアップするのがベストかなって思っています。

普段の生活では絶対にしないだろうから学校ではせめてやってみて欲しい思いがあるので、是非ともチャレンジしてほしいな。

何度も言うけど、本気でやらないと面白くない代わりに、本気でやった時の達成感は格別です。

まとめると

たくさん議論した後なら、多数決ってなるべく多くの人の意見を反映できるいいシステムではあります。
だけど、思考と議論を放棄しがちになる。このことを全員が意識しないと、大滑りする可能性があるよって話でした。
あとは、おもしろいアイデアは、多数決=最大公約数なアイデアからは絶対生まれないので、気をつけたほうがいいです。

教師として、教育活動の中で子どもたちに何かを決めさせる時や、大人である我々が何かを決めるときも上記のような「落とし穴」を意識する必要があります。

すべての指示や活動に意図、作用、副作用を理解した上で運営するのがプロの役目だと思っています。

以上でーす!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?