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なんでもかんでもがメモリアルな謎の病を治したい

つい先日「スプリングハズカム」などと言っていたのに、スーパーに夏野菜の代表とうもろこしが並び、扇風機も首をふりふり忙しそうに回っている。

やすこは、夏が嫌いである。
暑いし、ごみは臭くなるし、虫も元気だし、年を取るし。

そう。夏は、やすこがまたひとつアダルトの階段を上る季節。
「年齢なんてただの記号よ」と涼しい顔して言う時もあるが、毎年この時期になんとなく不機嫌なのは、誕生日が来るからに違いない。
これは最近に始まったことではなく、18歳くらいからずっとこうなのだ。


過敏性メモリアル症候群

おそらくわたしは、長らくこの病を患っている。

過敏性メモリアル症候群とは
いちいちメモリアルに過敏で感傷的になりやすく、大した理由なく精神の安定を乱す病。

やすこ心の医学

誕生日を目前にしたこの季節、毎年発症しやすい。
先日の仕事終わりのこと。
「もうこの年齢での出勤はきょうが最後だった。この週末を終えたら、次に仕事に行くわたしは1つ年を取っている」
なぜか突然そう思い立ち、金もないくせに仕事帰りにショッピングモールに立ち寄っていた。

ずっと我慢していた、書きにくいアイライナーを新調しよう。
恥ずかしい程に絞り出していた、ハンドクリームを新調しよう。
小さなご褒美を自分に重ねる。
だってきょうはメモリアル。
3ピー歳の仕事帰りはきょうが最後だもの。(※)
※典型的な過敏性メモリアル症候群の症状。誕生日当日でも前日でもないただの仕事帰りに特別感を感じている

調子こいて、気になっていたベーグル屋さんにも足を伸ばす。
以前見たときには、たくさんの種類のベーグルが並んでいた。
前回は我慢したけど、きょうはメモリアルな日だし、買ってみよう。
過敏性メモリアル症候群は、わたしが貧乏である一因かもしれない。


メモリアルなのはお前だけ

勝手にメモリアル気分で入ったベーグル屋さんは、すかすかだった。
ほとんどのベーグルが売り切れていて、食べてみたい魅力的な名前の商品のトレーは、虚しく空っぽ。
たぶん無理だろうなと思いつつ、閉店まで時間もあったので、店員さんに聞いてみる。

や「売れてしまっている商品は、もう出てきませんか」
店「すぐ出るのはもうないです(怒)」

…笑ってよ。

やすこ心の声

忙しかったからか、なんか恐かった。
せめて、ほほ笑んでほしかった。
「そうですか…」と購入を諦め、店をあとにしてしまった。
過敏性メモリアル症候群でなければ、1つや2つ試しに買うものを。
この日は病を発症しているため、「せっかくの日にベーグル完売、店員さん冷たい」の事実にぶちのめされてしまったのである。


気を取り直して入ったスタバが極寒

ベーグルに敗北したわたしは、果敢にもスタバへ向かう。

ずっと食べたかったキウイのレアチーズケーキはベーグルに続き完売。
過敏性メモリアル症候群のおかげで、必要以上に落ち込むも、せっかくだからと普段まったく食べないシフォンケーキとコーヒーを購入。
プラスチック削減らしく、蓋とストローは無しだった。

結果、持ち帰ることもできずにクーラーの利いた店内で震えてコーヒーをすすった。
もちろん、スタバは悪くない。蓋下さいと言えば、絶対くれた。

結局、勝手に感傷的になり、最後は震えて過ごした3ピー歳最後の仕事帰りだった。


挙句の果てにgzgzまで現る

そして、いよいよ3ピー歳最後の日。
きょうこそメモリアルになるべきと思いながら洗い物をしていたら、キッチンのシンクにわりと大きなgzgz(※)がいた。
※想像したくないし活字にするのも嫌、足がたくさんあるアイツです

貧乏より何より、虫が嫌いなやすこ、発狂。
この家に暮らして数年、虫の帝王Gは出ていないものの、なかなかパンチのある衝撃的な出会いだった。

よりによって、きょう。
過敏性メモリアル症候群のわたしを落ち込ませるには、十分な破壊力だった。

また一つ年を取る。
今年こそ、gzgz以上の素敵な出会いを、神様、どうか。




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