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そうまでしてでも、全身つるぴかになりたい

全身脱毛に通っている。

コロナで海外にも行けないし、「そうだ全身脱毛に行こう」的なノリで通い始めた2020年初秋。

貯金という選択肢はなかったのか?と当時の自分に問いたい気もするが、これは必要経費。
長い目で見ればきっと無駄にはならないと、わたしのなかの勘定奉行に承認してもらった。

今の金欠ぶりを鑑みれば、勘定奉行には御役御免も通り越して切腹を申し付けたいが、寛大な心をもって容認している。

カルチャーショックの連続

全身を脱毛するだけあって、他人様の様子は見られない。
自分の番になってようやく全貌が見えてくる。

カルチャーショック①=最初は自分で全部剃る
言われてみればそりゃそうなのだが、想像していなかった。
これはなかなかの勇気が必要。
まずは一度、ほんとに「全部」剃る。
20年ぶりくらいに、真の自分と再会した。

カルチャーショック②=全裸に前Tの紙おパンツ
施術中は全裸に紙おパンツを履く。
前Tとは、前がTの字だ。後ろではない。
よって結構見えちゃっている。
この紙おパンツが、全裸よりも恥ずかしいのは、なぜか。

カルチャーショック③=ジェルが冷たくてお腹壊しそうになる
脱毛の光を当てる部分にはジェルを塗る。
このジェル、心臓がヒヤッとするくらい冷たい。
なんせ全裸に前Tしか装着していない。
毎回ぶるぶる凍えてブランケットを追加してもらう。


言い出したらキリがないし、あんまり想像して頂くのも申し訳ないので、オブラートに包める範囲でこのくらいにする。
全身つるぴかへの道は、そう甘くない。


気が小さいのは前Tのせい

アラサーになって肝が据わった自覚もあるが、全身脱毛の日は、いつもどこか気が小さく、後ろめたい。

理由は分かっている。
すっぴん・全裸に前Tという圧倒的恥ずかしい格好をしながら、強気になどなれっこない。

スタッフのお姉さんたちは、みな20代とおぼしき若い女性。
申し訳ないのだ。
こんなアラサーの全裸前T姿どころか、前Tをずらして作業をしてもらうことが。
おかげで最初のうちは、どんなに寒くても「ブランケット足して下さい」の一言が言えなかった。


突然問われるプライバシー

施術中は基本的に優しい声での説明がメイン。
「お背中右側から光を当てます」
「違和感はないですか」
「ヒリつきはないですか」
ときには「お寒いですが、頑張ってください」なんて励ましも貰える。
こちらこそ「前Tですが、許してください」と言いたい。


全身脱毛恥ずかしい施術箇所ランキング3位(やすこ調べ)の、前胸からお腹に入ったときだった。

ここは、全身脱毛寒い施術箇所ランキング(やすこ調べ)では堂々の1位にランクインする難所。

恥ずかしいから英語にするが、ここはニップルもある。ニップルに光は当てられないので、ガーゼで保護する。
この姿を想像しただけで、やすこの気は小石くらいに小さくなる。

そして冷たいジェルが塗りたくられる。
寒さのピークに達したころ突然お姉さんが一言。
「お仕事はなにをされているんですか」

やすこ(今?!)

なんで今聞かれたのだろう。
なんで突然、人生で一番みじめな格好している今、職業について尋ねられたのだろう。
これが背中の施術中などであれば、さほど気にはならなかった。
なんでお姉さん、わたしのニップル周辺にジェル塗りながら、質問してきたのだろう。
ここにきて、なぜ突然の世間話に打って出たのだろう。

なにか、わたしのが変なのだろうか。
「え…このひとのニップル…なんの仕事かな」って思ったのだろうか。

そんな理由を聞けるはずもなく、職業を伝え、お姉さんに「すごいですね」とほめてもらい(何がすごいんだ)、施術は終了。


全身つるぴかになるまで、あと数回は通う。
わたしに職業を尋ねたお姉さんは、いつも丁寧で優しい。
あなたの仕事が「すごいですね」と心からの感謝とともに、伝えたい。

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