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【小論文】科学技術と環境問題

 デカルト以降の近代という時代は合理主義により自然を対象化することで自然を分析的に見るようになった時代であった。その結果として現代における自然科学や科学技術が発展してきたのである。そしてそれらの発展により、我々、人間の社会生活はより一層豊かなものになってきたのである。
 今日の環境問題とは私たちの社会生活が豊かになったが故に生じた負のパラダイムであることは言うまでもないが、それらをどのように解決していくかが今後の課題となっている。当然のことながら私たちの生産活動をやめてしまうことはできないので、現代的な生活を生きている中でどのようにして環境問題と向き合っていくかが焦点となってくるであろう。また、自然を対象と見なしていく近代自然科学の力も環境問題を解決していくためには重要になってくるのではないだろうか。人間はこれまでの自然を支配して開発していくことが善だという考え方を改めないといけない、その一方で自然を尊重し、自然と共に生きていくという考え方を持たなければならないが、一方で自然を対象とみなし、それを改善していくための自然科学的な方法論としての科学技術は重要であるのではないだろうか。自然環境とはすべての生物にとって共有されるものである。私たち人間もまた自然環境の中に含まれているものである。私たち人間を含めて考えた自然環境という理念の中でいかに近代自然科学や科学技術を活用していくかが今後の環境問題解決の方法となっていくのではないだろうか。すなわち、人間には科学技術の発展と共に自然とどのように向き合いそして共に生きていくための方法を考えていかなければならないのである。そこに共生の理念というものが生じると思う。
 自然との共生の理念を確かなものにして、それと共に自然環境を改善するための分析を行うことによりこれからの科学技術のあり方が決められてくるものと考えられるのである。(800字程度)

出典:東京都立科学技術大学 前期日程 1996年
試験問題概略:参考資料を読み「われわれは、直面する環境問題にどう立ち向かわねばならないか」について意見を800字程度で述べよ。

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