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"若いんだから労働しろ"っていう空気への処方せん

先日の2つ年下の友人との会話のとある一場面

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友人:にゃん吉さん、なんかいいインターンとか知りませんか?成長できそうなやつ。
ぼく:そーねぇ・・、なんか具体的に何がやりたいとか、こーゆー分野に興味があるみたいなのってあったりする?
友人:ん〜、なんとなくコンサルとかがいいのかなぁって思います。僕、全然何もわかってないし、知らないことが多すぎるんすよ。
ぼく:そっか。でも、結構今まで、インターンとか仕事とかしてるじゃんね。そもそも、成長したいっていうモチベーションの源泉ってなんなの?
友人:いや、全然ですよ。今も自分でサービス作ったりとか、インターンやってるはやってるんですけど、やっぱり何しててもどこに行っても自分の知らないこと多いなって思うし、もっと成長したいっす。
ぼく:(おいおい、もうなんか色々してるんやんけ・・・と思いつつ)なるほど。まだ大学生で若いんだし、そんなに焦って成長とか考えなくてもいいんじゃない。新しい場所に何かを見いだすのもアリだと思うけど、今与えられている場で結果を残して行くのもアリかもよ。

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自分で言っててハッとした。自戒の意味も込めてこの記事を書く。

「まだ若いのにすごいねぇ」
「若いんだから、×××」

仕事において、ぼくが言われて腹の立つランキングトップに食い込むフレーズである。

当たり前だが、働き出すと(アルバイト、就職、インターンなど)自分より年上の人に囲まれることがほとんどだ。
だから今、20代前半の人たちは少なからずこのような趣旨のことを言われたことはあるんじゃないかと思う。

繰り返すが、ぼくは年齢を引き合いに出されるのが嫌いだ。仕事をする際は特に。
なのに、彼に「まだ若いんだから」フレーズを発動してしまった。反省。

でも、そもそもなんで嫌いなのかを考えてみると、その言葉には軽侮と羨望という矛盾した、人の負の感情が色々織り交ぜられているからだと思った。

①軽侮
これを読んで下さっている人は、初めてアルバイトをした時のことを覚えているだろうか。
ぼくの初めてのアルバイトはカフェだった。
初めてのアルバイトにワクワクしながら出勤した際、先輩スタッフに高圧的に言われたセリフは今でも印象に残っている。

「年齢も若いし、1番動いて当たり前。」

あぁん?と思ったが、確かにそうだなとも思った。お客さんの注文も取れないし、盛り付けもできない。確かに何もできないなと妙に腑に落ちたのもよく覚えている。
そうか、今まで何もしてこなくて、若いから、動くことでしか価値を発揮できないのか。
ということは、現時点でぼくは"若いから"何もできない無価値な人間なんだという意識が無意識に醸成された気もする。
大げさかもしれないが、この時点で、"若い"ということがぼくにとってはコンプレックスになった。

②羨望
よく飲み会で、おっちゃんやおばちゃんがよく言うセリフ。

「まだ若いから、これからなんでも挑戦できるねぇ。うらやましいわぁぁぁぁ。」

ん?と思った。アルバイトで最初に言われたニュアンスと真逆だ。
"若い"ということはよくないことだと思ったのに、今度は羨ましがられるのかと。それと、同時にじゃあぼくはこの人たちの年になったらやりたいことを諦めることの方が多くなるのだろうかとも思った。

そんなことを感じ、本格的に働くという機会が来て、"若いから"という周囲からの言葉や空気に汚染されて、身動きが取れなくなっていた自分もいたし、周囲にもそういう人がいるなと感じた。

例えば、こんな感じ。

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入社して研修を終え、個人で業務をこなしていくようになる。

しかし、自分の頭で考えて行動し仕事をするというよりは、上司など誰かに振られたタスクやこなして当たり前のルーティンワークをいかに早く終わらせるかということに意識が向くことが多い。

こなすタスクに意味があるのか?とは思いつつも、やって当たり前という空気に飲まれ、自発的に何か仕事を創り出そうという意識が日に日に薄れていく。なんでこれをやらないといけないのかという目的も確認できないまま、成果物をだしてみると、実はもう必要なかったってことも多々ある。
自分のやっていることに意義が見出せず、PCをかちゃかちゃして気づいたら思考が停止して、時間があっという間に過ぎていたりもする。
とりあえず、タスクを膨大にこなして仕事をした気になってみても、よく考えたら誰にでもできることだと気づき、自己嫌悪。

上司に知識の無さを指摘されビジネス書を読んではみるが、最後まで読み終わらなかったり、実践できなかったりがほとんど。
なんとなく読みたい本は溜まっていく一方だし、仕事の足しになるかと会社終わりにセミナーに参加してみるが、特に得られたことはない。

「もっと成長しなきゃ」というよくわからない焦りを抱えたまま、日々を過ごす。

気づいたら、休みの日に昼から飲んで、愚痴を言うのが唯一のストレス発散方法。

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これで、晴れてダメな社会人の出来上がり。少なくとも、入社した当時に思い描いていた自分と比べれば。
働く、ということが楽しくなくなる負のサイクルに突入である。

しかし、こういった事態に直面している人の多くは元来優秀で、人脈もあり、成長思考がとても強い人たちばかりな気がする。しかも、こんなことにならないように学生時代から、留学やら、インターンやら、学生団体やら、なんちらプログラムやらに時間とお金を投資していた人たちだと思う。冒頭にでてきた、僕に相談してくれた子もこういったタイプに当てはまる。

経験不足だから、ありとあらゆることをこなし、目につく限りの全てを吸収したいと言う自分自身の果てしない渇望と、周囲からの「若い時はそんなもんだ」という根拠もクソもない理屈から醸し出された空気が原因かなと思う。

この空気を自分自身から打破するためにはどうすればいいからと考えてみると、だいたい3つかなと思った。全部勇気のいることだと思ったので、3つの勇気としてみる。(自己啓発っぽいな・・・)

①聞く勇気を持つこと
振られてきたタスクが何のために必要か、目的を聞くこと。簡単そうだけど、できてない人はとても多い気がする。プライドが高いと「知らない」「分からない」ということが恥だと思ってしまう。その結果、本来仕事を振ってくれた人が意図していない成果物をあげてしまうことがある。これこそ時間の無駄だし、何よりも恐れている、仕事ができないという刻印を押されてしまう。そもそも、振ってくるタスクというのは、大体そいつがやりたがらないから、振ってくるもんだ。面白いはずがない。最悪の場合は、実はもう必要なかったなんてこともザラにある。それくらい、タスクを振ってくれる人もよく考えていない可能性は高い。でも、言われたことはこなさないと、信頼は積み上げられない。無駄に、僕らの貴重な時間を消費しないためにも、聞く勇気を持とう。無知は恥ではなく、伸び代だ。

②伝える勇気を持つこと
ここで伝える内容は「自分はどういう人間で、どういう長所を持っていて、何が好きで、どういうことに挑戦していきたいのか」ということだ。よく飲み会でやりたいことができていないことを上司のせいにする人もいるが、ダサい。折角やりたいことがあるなら、それはしっかり伝えてみよう。理解してもらえるまで。やりたいことがなくて困っている人もいるんだから。できない理由やしない理由に目を向けるのは少しストップ。よく弱みの克服とか足りない部分があるからという理由というか、言い訳を聞くが、人生は苦手なことを全て克服できるほど、長くない。自分の得意なこと、長所、やってみたいことに目を向けて、それを周囲に伝えてみよう。すると、そういう仕事がそう遠くない未来に、自分に回ってくるはず。好きなことなら苦にならないし、続けられる。努力は熱中には勝てない。いわゆる、仕事ができる人は自分に合った循環を作り出せる人だ。なんでもできる、スーパーマンじゃない。

③断る勇気を持つこと
これが1番難しい気がする。優秀な人の多くは自尊心が高い。弱みを見せたくないと思うし、断ったら嫌われるのではないかという恐怖心もある。そうすると、振られたタスクがどんどん積み重なり、結果、自分のキャパを超えてしまう。断る、というのも立派なコミニケーション能力の1つだとぼくは思う。しっかり自分の現状を伝えて、断れば、わかってくれる。それで、グチグチ言うような奴はクズだ。そんな奴らばかりの職場ならとっとと辞めたほうがいい。しっかりチームとして働ける場所を見つけよう。

何年か働いてみて思ったことだが、仕事の振り方が丁寧で上手な人は驚くほど少ない。それが例えどんなに有名な会社の人だったり、成功者であってもだ。だから、今現在、チームで強みを生かして楽しく働けていて、成果も上がっているよという人は希少。少なくとも、ぼくはそんな人にあまり会ったことはない。そんな人はその環境が再現できるように、何がそんな環境を創り上げているのかよく見ておいたほうが良きである。

と、長々と偉そうに書いてみた。
切実に、同世代の優秀な友達や後輩が腐っていく姿は見たくない。だから、率直に思っていたことと自分の経験を踏まえて書いてみた。
自分自身何がしたくてそこにいるのか、何がしたいのか思い出してみて欲しい。

お前の価値はまだまだそんなもんじゃねぇだろうが。

#仕事 #若手#新卒#インターン#あるある

この御恩は100万回生まれ変わっても忘れません。たぶん。