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岸田総理の秘書官起用問題とメディア対応(安倍総理を追悼する⑪)

岸田総理が政務担当秘書官に長男を起用して騒ぎになっている。

野党やマスコミからも指摘あるが、筆者には報道や批判が非常に表面的に思える。この問題から、つらつらと好き勝手考えてみた。安倍総理支持の筆者からすると、岸田さんでは物足らない。面白くない。心もとない。安倍総理の暗殺事件以降から、安全保障や経済政策の運営もうまく回っているとは感じない。それが支持率降下が止まらないことに出ている。

(1)「政務秘書官起用」問題ではなく、メディア対応のまずさこそ問題。


筆者はマスコミの報道が表面的だと思う。実は、安倍内閣当時から総理秘書官が次々増員され、菅総理でも政務秘書官も2人で回しているときもある。

「政務秘書官」を官僚出身にした場合、回しにくい問題もあったのかもしれない。制度上の問題もないし、過去にも同様の事例がある。また、世襲批判はあるが「世襲政治」そのものが問題であって秘書官人選問題とは直接には関係ない基本的には制度の問題が無ければ、あとは政治としての結果での判断だろう。八幡和郎さんのコメントも面白い。

基本的には内閣の政権運営の問題で文句あるなら、政権奪取後の前提で野党は制度改正主張するのが筋だろう。そもそも、この点での野党の批判は政権運営未経験者によるもので水泳未経験者が水泳選手のフォームにケチつける程度のものだ。そんなことより、筆者は政治としてのメディア対応、説明が全くできてないことに岸田総理の深刻な問題を感じる。

(2)「政務秘書官」のやる(べき)ことはメディア対応

官房長官や秘書官の能力が政権を左右するとよく言われる。メディア対応がうまく回せずメディアによる「リンチ」がしばしばおきてもいる考えてみると森内閣、安倍1次内閣、麻生内閣、安倍2次-4次内閣、菅内閣など全部メディアによる「リンチ」を浴びている。いずれも、メディア対応のまずさが政権崩壊につながっているのは注目すべきだろう(安倍2次政権は切り抜けたが、森さん第1次安倍内閣や麻生さんの末期は酷かった。)

菅内閣でも、総理のNHK出演をめぐって坂井官房副長官もトラブっていた事例もある。

今回の問題の記者会見をとっても松野官房長官も官僚作文を読み上げているのが象徴的だ。(動画9分15秒ごろ~)

政策に関する問題は各省庁から来ている秘書官がうまくまとめ上げ、上記動画のように総理も発表する。しかし「政策」でない問題になると役所の方は距離を置くのが自然だし、平たく言えば「それオレの仕事?ウチ(出身官庁)?」になる。そうなると「自分の仕事でもないのに」感丸だしのペーパーになるのは当然だろう。しかも「このクソ忙しいのになんでバカ息子の説明で走り回らないといかんの」との声が聞こえてきそうなぐらい。これこそが、「政務秘書官」の仕事なのだ。「適材適所」「人事活性化」「連携強化」全部お役所任せのフレーズにメディア対応のやっつけ仕事ぶりが見て取れる。愚かなことに官邸で誰もストップ掛けずに、これをそのまま下手なアナウンサーの感覚で朗読しているのだ。

メディアが既にリンチモードに入っている中で飛んで火にいる夏の虫だ。内容が内容だけにメディアの餌食になるか考えもしなかったのだろうか。このセンスの無さがメディア対応する政治家側の問題なのだ

(3)「適材適所」だの役所の決まり文句をそのまま朗読する政治センス

安倍総理の国葬関連でも同じで、政策案件でない「政治案件」が全部「自分のことば」での説明になっていない。役所から上がってくる情報とペーパーではなく、「政治決断と説明する活きた言葉」が無かった。正直、「政治家の説明」ではなかった。役所に依存すべきでないことまで、役所に依存。
だから安倍支持者である筆者も国葬対応のまずさに非常に不満に感じ、ここは怒りを込めて言いたいところだ。このメディア対応を演出するのが政務秘書官の本来の役割と言える。これが抜群に上手かったのが小泉総理-飯島秘書官だった。

(4)安倍政権でのメディアコントロール

一方で安倍総理が1次政権の失敗を2次政権に活かしている。安倍総理自身もノートを付けていたりもした。非常に注目に値するのはビデオニュースの神保哲生氏がメディア対応にも1次政権の失敗の教訓があるとの指摘している。

民主党政権から第二次安倍政権に移行したとき、第一次安倍政権はメディアによって潰されたという意識を当時の官邸スタッフは強く持ったようです。少なくともメディア対策の重要性を痛感した。そこで彼らはかなりメディアを研究したようです。その結果、日本の大手メディアは威張っているけど、実際は政府から利権をもらって養ってもらっているようなものだから、政府がその気になればどうにでも黙らせることができることに気づいてしまった。
そうして、露骨にメディアをコントロールする第二次安倍政権が誕生します。私の知る限り、メディアの弱点を熟知した上でこれを巧みに使ってコントロールした政権はこの第二次安部政権が最初です。安倍政権の官邸官僚、とりわけ第一次安倍政権で共に辛酸を舐め、捲土重来を期して第二次安倍政権で官邸に戻ってきた官僚たちは、利権まみれの日本のメディアの弱点を巧みに使い、例えば、これまで輪番で行うことが決まっていた首相の単独インタビューを、自ら擦り寄ってきた社に優先的に認めたり、事前に質問を提出した社にだけ記者会見で質問する機会を与えるなどして、メディアを飴と鞭で操縦した。

日本構想フォーラム:神保哲生「日本のメディアの構造問題とジャーナリズム」2021年5月20日

メディア対応の政治手法やメディアの構造の問題もあるが、メディア自身からこれを提起し問題視したのは、ビデオニュースの神保哲生氏だけだ。マスコミからこれについての反論はほとんど無い。本来は安倍総理の追悼でもこうした側面の検証をメディアから出すべきと思うが、取るに足らない問題の揚げ足取りなどに終始した。

神保氏は安倍政権に批判的で筆者と政治的スタンスは異なるが、非常に高く評価されるべきジャーナリストだと思う。総理記者会見で最も鋭い質問をしているのは神保氏だ。なお、日本の政治報道のレベルの低さについては、総裁選における拙稿も手前味噌ながら参照されるとありがたい。

(5)「岸田文雄」のキャラが絶望的に退屈

岸田総理の全く面白味のないしゃべりでは、テレビなどは撮れる場面が無く困ってしまうだろう。彼らも仕事なのだ。「お土産」の数秒やワンフレーズが無くてはメディアも困ってしまう。ここが最高に上手いのが、繰り返すが小泉首相-飯島秘書官だった。

筆者からすると、例えば今回の件を説明するのに「外国に行くのに、着替えやら身の回りのことまでさせるわけにいかない。」「若い世代への政策の説明のポイントの感覚を確認したい。」「早朝から深夜まで役所の秘書官付きっ切りでは体力持たない。若いコイツをこき使えばいい。」「総理秘書官はブラックな職場だから」こんな感じで笑いとってユーモアで説明するとか、対応はいくらでもある。ただし、それは役所からは絶対に上がってこない。このことを筆者は繰り返し問題視したいし、それこそ政務秘書官の仕事ではないか。

一方で、安倍総理も民放のバラエティー出演などで親しみやすさをアピールしていたのを思いだす。(というより安倍さんのほうが楽しんでたようにも感じるぐらいだ。)追悼を込めてアップしておこう。

岸田にはこれが無い。できない。バラエティーに出ても視聴率が取れるはずもない。総裁選でこんなのも出たが甘い。酒の瓶や飲みっぷりには共感したが。やはり選挙で笑いの一つも取れないようでは政治家としてのセンスに課題がある。(笑いを取りすぎて暴走する森さん・麻生さんのケースもあるが。。。)世襲のバックアップと役所のおぜん立てだけで来たことを映像は容赦なく晒してしまうのだ

そういえば総裁選で思い出したが、高市の歌は迫力満点。

河野は飛び降りた(正確には降下訓練)。

(6)総裁選の出馬条件は「芸人にモノマネされる」こと

そういえば筆者は総裁選を見てて出馬条件に「芸人のモノマネがあること」「バラエティー出演での視聴率」「YouTubeのフォロワー数」を挙げたいと思った
もっとも清水ミチコの総裁選のモノマネでも既に無視されてしまっている。

安倍総理のモノマネは地元の山口県田布施町出身の松村邦洋がいけていた。月命日でもあり、アップしておこう。

さて、この状態で起用した30歳の子息が海千山千の永田町でどうメディアの有象無象のリンチに対応して突破できるのかどうか。

子供のいなかった安倍総理はこの騒動を泉下でどう見るのだろう。

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