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【脚本】若葉の想い


【横恋慕(よこれんぼ)】というテーマで書きました

 Wikipediaによると、既婚者や恋人のいる人に対して横合いから恋愛感情を持つこと。
 具体的行動を起こさずに胸の内に秘めておく場合もあれば、具体的行動を起こして恋愛感情の要求を満たそうとする場合がある。だそうです。

 脚本を書き始めたばかりの頃のもので(小説みたい、演技が入ってる)と、あまり脚本には好ましくない書き方になってしまってます汗

 原稿用紙400字詰め10枚分なので長いですけどお読み頂けたら幸いで


若葉の想い(仮)

               たらお


【登場人物】


 中西(16) 高校1年、美術部

 雨宮(18) 高校3年、美術部

 太田(16) 高校1年、中西の親友



○美術部室・室内(昼休み)

   雨宮(18)カンバスに絵を描いている。

   陽の光が雨宮の顔を照らす。

   眩しそうに左手をオデコにかざす。

   席を立ち、カーテンを閉めに行くが、そのまま窓の外を見はじめる。

   2月終わりの桜の木、蕾が少し膨らみはじめている。

   若葉が風に揺れ、雨宮の前髪も揺れる。


○美術部室・廊下(同)

   中西(15)、ふと部室を見ると雨宮の姿がある。

   静かに部室入口まで行き、雨宮の後ろ姿を見はじめる。

   雨宮、両腕をあげ深呼吸ひとつすると向きを変える。

   中西、驚いて足音は立てないように、急いでその場を立ち去る。

   雨宮、中西の立ち去る姿を一瞬だけ目撃する。


   ×  ×  ×


○階段(休憩時間)

   中西と太田(15)2人並んで階段を降りてくる。

   雨宮、廊下を歩いている。

   階段から誰かが降りてくる音がして、階段の方を見る。

   中西と太田だと解る。

雨宮「中西、おつかれ!」

   中西と太田、声のするほうを見る。

中西「あ!おつかれさまです」

   3人、階段下の廊下で立ち止まる。

雨宮「移動?」

中西「はい、これから理科室に」

雨宮「そうなんだ、担当って和田?」

中西「そうです(笑)」

雨宮「アイツの昭和ギャグ寒いよな(笑)」

中西「寒いからながら、新鮮な感じがします」

雨宮「今年の一年は真面目だなぁ。俺たちなんて、寒いよぉ(身体を縮める)って言ってるよ(笑)」

   3人笑う。

   チャイムが鳴る。

雨宮「やっべ、ごめんな中西」

   走っていく、雨宮。

   中西達も走っていく。


   ×  ×  ×


○教室・中西のクラス(夕方)

   中西の席の前に太田、椅子だけ向きを変え中西に話しかける。

太田「雨宮さん、藝大受かったらしいじゃん、スゲーよな」

中西「だよね。先輩の絵、凄いんだよ。見てて凄い癒されるんだよ」

   中西、恋する乙女のように太田を見つめる。

太田「(ちょっとひるむ)ちょっ、そんな瞳で、俺の事見んなや。恋する乙女みたいな顔して」

   中西、恥ずかしくなり顔が赤くなる。

中西「(動揺)お、乙女って何だよ」

太田「中西お前、もしかして」

中西「(動揺)俺は、先輩の絵が好きなんだよ。太田も今度部室に見に来いよ。俺、部活行くわ」

   中西、席を立ち鞄を持つと教室を出て行く。

   その姿を目で追う、太田。

太田「あいつ、ホントわかりやすいんだよな」


○美術部室・室内(放課後)

   雨宮、カンバスに絵を描いている。

   入り口から中西が入ってくる。

中西「先輩、お疲れ様です」

   雨宮、手を止めて中西の方を向く

雨宮「おつかれ」

中西「先輩、藝大おめでとうございます」

雨宮「ありがとう、なんとか受かったって感じだよ。」

   鞄を置いて雨宮の方へいく、中西。

中西「受験の手順て、あの漫画と一緒なんですよね」

雨宮「そうなんだよ。よく描けてるよね、あの漫画」

中西「この前アニメやってましたし」

雨宮「渋谷の明け方の空って、本当にあんな色なのか見てみたいよね。けどその時間起きて渋谷なんか無理だわ(笑)」

   頭をかく、雨宮。

中西「先輩の彼女さんも藝大生なんですよね?大学行ったら一緒に行くとか?」

雨宮「あー、お互い朝早いの苦手なんだよね」

   微笑む雨宮の顔を、羨ましそうに見ている、中西。

中西「先輩、聞いてもいいですか?」

雨宮「なに?」

中西「先輩は彼女さんの何処を好きになったんですか?」

雨宮「そうだね。最初は彼女の絵を見た時に衝撃受けてさ、その後色々話しして付き合う事になった、って感じかな」

中西「絵からですか?」

雨宮「そう、飾ってある絵を見て、スゲーってさ」

中西「(遠い眼)見てみたいな、先輩が好きになったその絵」

雨宮「ギャラリーで飾られたあと、持って帰る時に何処かで無くしたらしいんだよ」

中西「(驚く)え!」

雨宮「だよな、そうなるよな(苦笑)」

中西「絵は描いた人の心が入ってますから」

雨宮「なんか分身が無くなるって感じでキツいよね」

中西「そうですね。いつか見つかればいいですね」

雨宮「その絵が好きだって人に拾われてるといいけどね」

   雨宮、微笑みながら中西を見る。

   頬を赤らめる中西。

中西「はい」

   2人、絵を書きはじめる。


   ×  ×  ×


イメージはじめ

○美術部室・室内(放課後)

   (スローモーション)

   中西が座っている横で雨宮が筆を動かしている。

   中西の持つパレット、雨宮が絵の具を出し色を混ぜている。

   2人で窓から外を見ている。

   壁に貼られた絵を指差し顔を見合わせる。

   像の前で真似をする雨宮、爆笑する中西

   2人笑っている顔のアップ。

イメージおわり


   ×  ×  ×


T ●年後…

○街・小さな画廊(昼)

   雨宮、舗道を歩いている。

   小さな画廊の横を歩く。

   ウィンドウに飾られている絵。

   雨宮、ふとその絵を見る。

   タイトル「若葉の想い」

   その絵は、あの日の美術部室で絵を描いている雨宮の姿と寄り添ってキスをしている中西の姿

   絵の端に花コリウスが描いてある。

   ※花は他のでもよい

   顔はボカされているが、雨宮は気づく。


○小さな画廊・ショーウィンドウ

雨宮「!!」

   雨宮のハッとした表情が、ガラスに映り込む。

   画廊に入っていく、雨宮。

(おわり)

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