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もっと読まれるレビューはどうしたら書けるのか?――おとなのための読書感想文の書き方

今週のcakesにレビューにも使える「本が嫌いな子のための読書感想文の書き方」という記事を書きました。読書感想文しんどいよね~~という子たち向けだったのですが、書いてみて気づきました。
案外、現代って大人になってからも読書感想文書いてるよねぇ。
私も24才にもなっていまだに読書感想文を書いてるとは思いませんでしたよ……。


と、いうわけで。cakesの内容をアレンジしつつ、レビューの書き方つまりは「おとなのための読書感想文の書き方」を書いてみました。

noteやブログ、amazonレビューや食べログまで、「いいレビュー」というものの書き方を知りたい方に、すこしでも参考になれば幸いです。


★よういするもの:メモ、パソコン(あるいはスマホ、原稿用紙、書けたらなんでもいい)、レビューしたいもの


1.おとななんだから、その文章で何がしたいかを考える

cakesでは、

大人が読書感想文を書かせる目的とは、君たちがエログロな漫画ばかり読まず、やたら人を叩いてばかりいるゲームにハマらず、「きちんと人の痛みに共感しつつ、前向きに頑張ろうとしてる子に育ってるんだな~」と大人が確認するためです。読書は二の次です。考えてもみてください、大人たちがいったいどれほど読書してるというんですか。読書させることが目的ではなく、基本的に「まっとうなもの読んでまっとうに成長している!」ことを確認して安心することが目的なのです。

と言いました……が、これと同じことを私は大人のみなさんにも言いたい。

そのレビューの目的、ってのをまず考える! 

たとえば本のレビューを書くとき、「本をひたすら褒めたい」のか、「本を通して自分の意見や思考を伝えたい」のか、「その本のある場面を紹介したい」のか、「レビューを読んだひとに本を読んでほしい」のか、「あくまで自分の感想をそっくりそのまま言葉にしたい」のか、目的によって書き方はちがってくるはずなのです。

もちろん副次的にそれらの目的が同時達成されることはあります。「そんなに褒めるなら読んでやろうか」とか、「そんな台詞があるのか、ちょっと気になるな」とか、「こんな本を読む人の思考が知りたくなった」とか。だけどそれはあくまで副産物。狙うべき目的……ってか、「この文章で何がしたいのか」は、まずひとつ、あったほうがいいと思うんですよ。だってそのほうが書きやすいもの。

ちなみにここからは与太話ですが、なんで何かひとつの達成点を狙ったほうがいいかというと、そのほうが副産物が生まれやすいからです。めちゃくちゃ矛盾してるっぽい物言いなんですけど。でもこれほんとなんですよ。なんつーか「みんなにモテたい」とか思うよりも「Aちゃんに好かれたい」って思って努力した方が「Bちゃんになぜか好かれた」現象ってありません? ありませんかね……。

とりあえず、「この文章で何がしたいのか」をメモ。


2.あらすじよりも、感想よりも、あなたの悩みが知りたいの

小説は役に立たないぞ~~なんて言説がありますが、それは幸か不幸か小説の中に自分の悩みを見出さなかった(見出せなかった)方の発言だと思うのです。

大抵の人の悩みは、既に小説に書かれています。愛も死も尊敬も快楽も労働も貧富も生活も、全部まとめて物語の形になっているので。そりゃー私たち人類が物語という媒体を発明してからもはや何年よ? 年季入ってますわ。

小説じゃなくても、やっぱりあらゆる「良かった!」という感情って、なんらかの悩みがあるから生まれるんだと思うんです。わー、悩んでたコレに答えをくれた!! どんぴしゃ!! ありがとう!! っていう。めちゃくちゃ無駄に思えるモノでも、そこには「もはや目的とかに疲れたから無目的なものを見たい!」っていう悩みに答えてるわけです。ポストモダンっすね。

だからこそ、レビューの時、まずはあなたの悩みを知りたい。

たとえば少女漫画でめちゃくちゃきゅんとした場面があったとしたら、その場面に自分が惹きつけられたのはなぜか、を考えてみる。大抵そこには「こういうシーンってありそうでなかったんだよ~~~ふつうは〇〇な感じで終わっちゃってたんだよ~~~~」みたいな不満とか、「いやあ最近刺激が足りなくてねぇ」という感情があるはずで。自分を! 見るのだ!

自分の悩みについて、他の人がいろんなわかりやすい答えを与えることは少ないけど……何かに感動したとき、心を動かされた時、そこには必ずあなたの悩みや現状に光明をあたえてくれたっていう物語があって。その物語を人に教えるのが、レビューってものなんじゃないかな、と私は思うのです。

とりあえず、レビューするものに関係ありそうな「いまの自分の悩み」を軽くメモ


3.あらすじはググれば分かるから、それより「パワーワード」な台詞紹介が一番いいと思う

とはいえ、悩みを思いつかない・悩みを書くよーな場所じゃないときもあるよね!!! そういうときは、「自分にしかない萌えポイント」をご紹介しましょう。

これは本とか漫画とか映画に限った話になるのですが……。あらすじ、って字数をとりがちですけれど、「へー面白そう」って思ってもらえればいつでもググってもらえる時代なのです! 便利! だからこそ、書くべきはあらすじよりも「自分にしかない萌えポイント」でしょう。

個人的には、グッときた台詞を書くのがおすすめ~。その台詞のどこにグッときたのか考えるの楽しいし。

もちろん、その台詞がなんでグッときたのかを説明するときにあらすじが不可欠なことはままあります。だけどでっきるだけ字数を短く! 簡潔に説明! 私も頑張ります……。

ここで言う「あらすじを書くことの弊害」って、もちろん「ググれば分かることを書くなバカっ」という話もあるのですが、それよりも「自分が既に分かりきってることを書くときの、筆の乗らなさ」がダメだと思うんですよね……。つまり、「読んでる人に楽しく読んでもらう」ためには「書いてる自分がこの文章まじ楽しい」と思ってなくちゃいけない、そのために自分が書いてて楽しくない文章はできるだけ削らなくちゃいけない、と、思ってるんです私は。だからこそ、あらすじのような「自分が分かりきってて、書いてもたいして楽しくないこと」を書く部分は簡略化したほうがいい……というわけです。どうでしょうか。

とりあえず、好きな台詞、場面をメモ


4.というわけで、書く

あとは、1で自分の設定した目的をぶつぶつ念仏のように呟きながら、2と3のメモをちら見しつつ、書いてみる!

構成としては

①最近、こんなことを考えていた・悩んでいる(なければいきなり②に入る)
②この台詞にきゅんときた
③なぜなら①の悩みに関係があるからだ(①がなければ飛ばす)
④結局、自分が②のところにきゅんときたのは、登場人物がこのような状況だったからだ、
⇒だから自分はこう思う、気になる人は読んでね・見てね! 

というのが私的に一番使いやすいです。 

そして①~④の匙加減というかバランスが、1でメモした「どういう目的で書くか」によるのです。意見を伝えたいなら④が多いだろうし、本の良さをひたすら伝えたいなら③のとこは少なくなるだろうし。

コツは、①や②で、あらすじよりも先に、きゅんときた台詞や自分の悩みのことを書いてしまうこと。

「え、あらすじを書かなきゃ何を言ってるのかわからなくない?」と思われそうですが、案外、よくわからないことを最初に言っておいて、「というのも、これはね、ふふふ……」と続けていったほうが読みたくなるものです。

あとは、自分がその文章で何をしたいか? ですね。漠然と感想を書くぞ、と思ってると、何から書いてよいのやら、となりがちです。「よし、本を読ませるぞ~~読ませるぞ~~~」と念じていたら案外通じるものです。ほんとだよ!

ちなみに私の場合は、

目的=「そんなにその本は面白いのか、そんなに面白いなら読もうかな……てか読書、久しぶりにしてみようかな……」と思っていただくこと
①最近の悩み
②ぐっときた台詞
③あらすじ・その台詞にきゅんときたのは最近こんなことを考えていた・悩んでいたからで、ほら関係あるでしょ!
④というわけで頑張ろうと思った、いやー面白かった

という構成になることが多いですね……。ってこんなこと書いたらあれこれ同じ構成なのがばれるではないか。


5.しかし一番大切なのは、

愛です。

大文字になってしまった。でも本当!

たとえ批判するにしても褒めちぎるにしても、レビューするものへの敬意と愛を込めなきゃ嘘です。

わざわざレビューを書くくらいだから、あなたの中には作品への愛憎含んで愛たっぷりなはずなんです! というわけでちゃんと愛を込めましょう。そういうのって大切だと私は思います。ええ。

***

というわけで、ちょっとでも参考になったら幸いです~~。
いやまァえらそうなこと言えた立場ではまっったくないのですが。私も模索中です。あなたのレビューの書き方もあれば教えてくださいねっ。いっしょに楽しく面白くレビューを書きましょー!



いつもありがとうございます。たくさん本を読んでたくさんいい文章をお届けできるよう精進します!