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源氏物語の超・入門書『30日de源氏物語』を書きました!

『30日de源氏物語』が刊行されました!

怒涛の3か月連続刊行祭りの3冊目でありました。『源氏物語』を30日で読もう、というコンセプトの「30章で源氏物語のキャラやエピソードを理解できる本」です! ぜひ読んでもらえると嬉しいです。

個人的に本書を書いたきっかけは、大河ドラマ『光る君へ』が始まる前から、こんな質問をされることが増えたことでした。

「『源氏物語』のおすすめ現代語訳って、どれ?」

……現代語訳か!!!!! 古典好きで『源氏物語』好きの私ですら、正直、この質問には頭を抱えてしまいます。なぜなら『源氏物語』は超絶長いからです。そう、大長編なのです。現代語訳を読んでいたら、途中で挫折してしまうのではないだろうか、いや、むしろ読んでもらったとしても『源氏物語』本来の魅力は伝わるのだろうか? 紫式部のキャラ造形やエピソードの素晴らしさは果たして分かってもらえるのだろうか……? そんな不安を抱えつつ「えーーーーと読みやすいのは角田訳か瀬戸内訳かな、個人的には田辺聖子ダイジェストが好きで、あ、でもやっぱり『あさきゆめみし』が最初はおすすめだよ」とか言ってしまうのです。しかしそのとき、いつも思っていた。

「現代語訳を読む前に、この一冊をまずは読むといいよ!」

と言ってオススメできるような、『源氏物語』入門書があるといいのに……! と!!

『源氏物語』現代語訳を読む前に、ある程度有名なキャラクターやエピソードを理解して、『源氏物語』の魅力の根幹を知っておく。それができれば、現代語訳の細部を楽しむ余裕も出てくるはず!

私は昔こんな本を書いたのですが、

この本の中で「古典はネタバレしても面白いから、ネタバレを知ってから読んだ方がいいです!」ということを主張したのです。

『源氏物語』こそ、「ネタバレを知っていても、面白い古典」の最たる例!!!!!!!!!!

というわけで、『30日de源氏物語』で、ぜひ『源氏物語』のネタバレを知っていただいて、そのうえで『源氏物語』の沼にざぶんざぶんと入ってもらえたらな~と思います! 



さて、ここからは個人的な雑感なのですが……『30日de源氏物語』は書き下ろしなので、昨年後半から今年3月くらいにかけてひたすら『源氏物語』を読みつつこの原稿を書いておりました。同時並行で書いたり直したりしていた『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』や『娘が母を殺すには?』が、結論部分にかなり神経を使うような「主張」を伴った批評であるのに比べ、『30日de源氏物語』は「なんかもー古典の解説ってなんて楽しいんだ!!! なんて何も考えず巨人の肩に乗れるんだ!!!」と感動していたのですが笑。ほんと、楽しすぎて将来的には古典の現代語訳とか副業的にやりたいよ……。やらせてくれないかなどこか……。さてしかし、『源氏物語』をあらためて読んでいて、いろいろ気づいたことがありました。

それは、『源氏物語』もやっぱり「母」の話であることです。

というか、これを言ってしまえば『古事記』も「母」をめぐる話だし、『源氏物語』は最後まで光源氏が母の重力から逃れられない話でもあったし、日本文学における「母」の存在感たるや、ちょっと驚くべきものがあるなあ、という自分の問題意識をあらためて感じてしまったのでした。『娘が母を殺すには?』を書き終えて、「母と息子」にもかなり興味がわいたのですが、それをいうなら光源氏こそ究極の「母の息子」なんですよね……。紫式部はいったい何を思って彼をそんなキャラクターにしたのだろう? 本気でそこが日本文学の根幹だったのだろうか。だとすれば明治文学はどうなんだろう、明治になると一気に父と息子(というか師匠と弟子?)の話になる気がするのですが。

『30日de源氏物語』は、『源氏物語』をひとつの「罪悪感」の物語として読む、という読み解きを解説しました。それは『こころ』や『ノルウェイの森』にも通じるテーマである、と。

しかしここに「母」というテーマが入り込むとなると、どういうことになるのでしょうね? うーん、日本ってなんでこんな重力の強い国なんだろ。不思議だ。


あとやっぱり面白かったのが、『源氏物語』を読んでいると、どこか「紫式部の筆のノリ」のようなものを感じるところです。

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