「特攻隊員」はもはや「新選組」のようなものでは?ー時代劇と化す戦争コンテンツ あの花・ゲ謎・ゴジマイ・君どう・直木賞
映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が31億円超えの大ヒットだという。
原作はtiktokで売れた小説で、女子高生がタイムトリップして特攻隊員と恋するという物語である。ちなみに筆者の妹(六歳下)も見に行って「超泣けた」と言っていた。
普通に考えると、若い世代を中心に、戦時中舞台に戦争をテーマにした物語がここまでヒットしたことに驚いてしまう。
が、考えてみると、私は毎年、芥川賞直木賞候補作品を全部読んで受賞作を予想するという遊びを友人としているのだが、そこでも気になったのが、戦争をテーマにした作品の多さだった。
というのも「日本最高のエンタメ小説を決める場」である2023年下半期直木賞候補作6作品のうち、『八月の御所グラウンド』『なれのはて』『襷がけの二人』と3作品が、戦争を主題に据えていたり、戦時中を舞台にしていたりするのだ。
さらに2023年にヒットした映画『君たちはどう生きるか』『ゴジラ-1.0』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』もまた、戦争をテーマにした作品たちだった。
なぜなのか? なぜ今、こんなに戦争がフィクションの主題として流行しているのか?
その答えは、「戦後」は、すでに時代小説と化しているのではないだろうか。
つまり特攻隊員とは、若い世代にとって新選組のようなものなのではないか。
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