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その症状、「歳」や「うつ」、「不定愁訴」?

マンガ本編「カズオの運行日報」第14話作中冒頭で「ヤク」を求めている古毛さんですが…。
コレ、焦げ猫本人がモデルなのはおわかりの方もいるかと(^^;)

この病気は診断がされにくい病気なので、もし同じ症状でお悩みのかたがおりましたら…と思い、マンガ本編のトラックドライバー業務に関係ないですがちょっと書いときます。


下垂体前葉機能低下症(指定難病78)

よく、「歳でホルモンのバランスが…」なんて言いますが、コレが命にかかわる難病の場合もあり、「歳だから」とガマンしてる場合じゃないケースがあるので記事を書こうと思いました。

作中で槍杉さんがザックリ「ステロイド切らすと死ぬ病気」って言ってますが、下垂体前葉機能低下症といって、ホルモンが必要な量出なくなる病気なので(あるいは人によっては出すぎる)、わたしの場合そのホルモンの代わりにステロイドの錠剤を毎日飲まないとならない病気なのです。

「カズオの運行日報」第14話より


焦げ猫の場合は主にACTHという、副腎皮質ホルモン「コルチゾール」を出せと命令するホルモンが出なくなってます。
ややこしいですが、ホルモン分泌には階層があって、その指示系統の何処かに異常があるワケです。

ホルモンにもいろいろあり、どれが欠けても病態になりますが、コルチゾールは即生命維持にかかわるホルモンのひとつです。
まぁ、作中のように1錠もなくなったらそれこそアウトで救急車沙汰になると思います…。
副腎クリーゼ」という発作(ショック状態?)になるんです。
それらしき意識混濁は2回ほどやらかしてます。

では普段自動的に出ているステロイドホルモンが出なくなるとどうなるのかというと、あっちゃこっちゃ不調になるんですが1つ1つはよくある身近な症状なので「ホルモンが足りない」とは診断されにくいのです。

しかしそれを放っておきますと、さきほど書きました「副腎クリーゼ」という発作を起こしてヘタすると死にます。
「副腎クリーゼ」がどうなるモノかも別の記事にしますです。


「非特異的症状」…ダルい、胃の調子が悪いなど…

副腎皮質ホルモン(以下コルチゾール)が足りないと出る症状ってのがまた厄介でしてね。
ほかのいろんな病気に思われてしまうような、ひとつひとつは珍しくない症状なのが診断を遅らせる原因なんですよね。
こういうのを「非特異的症状」と言うらしいです。

焦げ猫の場合はまず高熱が出てるようなダルさ・異常な疲労感・脱力感に加えて(それはCFSもあったかもしれませんが)、ハミガキができない・薬を飲み下せないなど「えづく」症状が出ました。
よくオッサンになるとハミガキで「オゲぇぇ」って盛大にやってる人も多いので「女でも歳取るとなるんだな〜」とも思ったんですけどね…。
それからしばらくして、吐き気・胃痛・下痢等が2週間以上続いたので胃カメラもやりましたが異常なしで、当初は「機能性ディスペプシア」と診断されました。

それが薬で治らない、ほかに動悸・脈飛びで眠れない、顎のリンパが何度も腫れる、やたら皮膚炎を起こすなどの症状も出て、どれを個別に検査しても原因不明。
血液の負荷試験をやってもらって診断が降りたのは胃腸症状が出て半年以上経ってからでした。
ほかにも毎日鼻血が出たりや爪・毛がダメになったり、ちょっとした怪我が治らなかったりなど…高額な治療の保険適応対象にはなれませんでしたが、成長ホルモンの低下もありました。

そこに辿り着くまでに、胃がおかしいなら胃の薬、動悸なら血圧の薬で様子をみる、リンパが腫れるのは頻繁だけどしばらくすると治る、皮膚炎もいちおう皮膚科の薬で治るもののまた繰り返す…。
症状ひとつひとつに検査と対処療法をしてみて、治らないときになにかを疑わなければならないワケですが、どれもコレも関連がなさそうに見えるうえにその部分だけを検査しても異常がないので、なかなか「ホルモンの分泌が異常」というところにたどり着きません。

簡易的な血液検査をしても、たまたま正常値に近い数値が出て大げさに扱われないコトもあります。

実は症状の一部は2年以上前から出ていて、ホットフラッシュもあったので更年期と思い婦人科で女性ホルモンの貼り薬をもらい、ホットフラッシュだけはそれでよくなったもののほかの症状が残っており「それは婦人科じゃないね〜」とドクターに言われ内科を受診。

ダルさ 頭痛 めまい」があったので「うつ病」と誤診されていたこともありました。
「べつに気持ち落ち込んでる自覚はないけどそんなもんかなぁ?」
…と思ってたんですが、治らないのでそこのドクターには匙を投げられた、ということもありました。
誤診だもん治るわけないのに、「そんだけいいガタイしててなんであんたは鬱なんだ(あなたがそう診断したんでしょうが)」「あんたは治す気がないだろ」とか「オトコ捕まえて養ってもらえ」と、今どき珍しいドクハラ先生でした(苦笑)。


ドクターがまず診断するのは

胃腸症状は胃カメラで異常がなかったので「機能性ディスペプシア」。
動悸に関しては正常時の心電図しか取れないからなんともいえない。

さらに、コルチゾール不足なら低血圧・低血糖で痩せるというのが通説なのに、わたしの場合数年前から太ってて血圧も血糖値も高め。
それでも普段上が180あった血圧が薬ナシで150くらいになってたので血圧が下がってたといえばそうなんですが、それでも高いワケなので、体格からして「メタボリックシンドローム」「生活習慣病」に過ぎない…と言われてもおかしくはなかったと思います。

このほか、誤診されやすいのは「うつ病」「不定愁訴」「自律神経失調症」「更年期症状」…etc。

「不定愁訴」とか「自律神経失調症」ってのはじつは「病名」ではないんですよね。
なにか原因となる病気があって、それらの症状がでる。
でも原因がわからないと、「〜症」って言うしかないってコトらしい。

だけどアチコチおかしくなってツラいのに、「不定愁訴」「自律神経失調症」等で終わらせてしまって、原因を掘り下げてくれないドクターも多いんですよ。
先ほど書きましたように胃の薬、頭痛の薬、皮膚の薬…ってそれぞれに対処療法の薬だけドサっと処方してね。
「コレで様子見て」
…っておっしゃるから様子見てるけど治りませんというと、薬が変わるだけとかね。


実際の顛末

内視鏡クリニックで「機能性ディスペプシア」と言われ胃腸の薬を飲んで、よくならないので毎回薬を変えてみる感じで2週間ごとに通院し2ヶ月くらい経った頃、胃腸症状以外の症状…とてつもないダルさや鼻出血や動悸がヒドくなってきました。

傷が治らないのにはギョッとしましたね。
ヘアゴムを手首にハメといただけで傷になって、たったそれだけの擦り傷が1年以上経った今も色素沈着して残ってます。

たまたま、近所の内科の個人病院に日によって大学病院の総合内科の先生が出向していて、
もしかしてコレぜんぶ原因ひとつじゃないの?
…と思ったのもあり、「総合内科」の先生ならなんかわかるんじゃないか…と思ってその日を狙って行きました。

「関係ないかもしれませんけど腹と顔ばっかり太って何やっても痩せないんです、クッシング症候群とかじゃないですかね?」
…と言ったら、翌週に朝イチの採血をする簡易的なものですがホルモンの状態もわかる血液検査をしてくださいました。

その結果が出るまで2週間。

「いやむしろコルチゾール低いですね…(クッシング症候群はコルチゾールが多すぎる病気)成長ホルモンも低い…。ここでの検査ではきちんとわからないので、内分泌科のある病院で負荷試験をやってもらいましょう

…と、紹介状を書いてもらい、予約が取れたのが数週間後。
ところが紹介先の病院では「負荷試験」をやらず、またその結果を数週間待たされたあげく、
「成長ホルモン確かに低いですがこの程度ならちゃんと寝て運動してれば治りますよ」
…で、とくに薬の処方も診断名もなく終了。

運動といえばドライバー職だから一応身体はそこそこ動かしてるワケだし、更年期以降ムリできなくなったのを実感したから長時間の業務は避けてしっかり睡眠も取れてるはず。
それで具合悪くなったんだからこれ以上どうしろと?

なんかモヤモヤしたので紹介元にその件報告すると、「負荷試験」をやってくれと書いた(紹介状に)のにコレじゃ意味ないですね…とドクター苦い顔。
しかたがないので、内分泌の専門医・ベッドも少なくて予約が取りにくいと避けていた大学病院に紹介状を書き直してもらい、1〜2ヶ月待って日帰りで「負荷試験」をやってもらいました。

「負荷試験」というのは、身体に負荷をかける検査薬を入れて、それでホルモン分泌がちゃんとそれに対応してるかどうかを見る検査で、数時間かかります。
紹介先の病院の採血で薬を入れてる様子がないのでおかしいとは思ってましたが…ただの「安静後採血」だったようです。

これの結果にまた数週間…

でも、そこで「ACTH分泌不全」ということはわかったのでした。
そこで原因特定前にすぐステロイドの服用が始まりました。

その後、ACTHが出ない原因を特定すべく頭部のMRIを撮った結果、腫瘍等はなくそれ以上の原因特定に関してはお手上げになりましたが、とりあえず出ないコルチゾールの代わりにステロイドを一生飲み続けることになる…というのだけは確定しました。

そこで改めて院内紹介で「内分泌専門医」の先生が担当になりやっと出た診断が、「下垂体前葉機能低下症」という特定疾患(指定難病)でした。
これは専門医が書いた診断書を出して認められれば「医療症」が発行されその治療に関しては医療費が助成されるというものです。


まとめ

1つ1つは「歳だからしょうがないのかなぁ〜」と思っても、たとえば複数の症状が重なるなどや急にいろいろ出てきたなどして「おかしいな」と思ったら、ドクターのほうから言われなくても、ホルモンの「負荷試験」をお願いしてみて分泌が正常かを診てもらってくださいね。

今日の記事はここまでにしときます。

わたしの場合はホルモン補充療法でも改善しなかった部分も多く、そこは「慢性疲労症候群(CFS)/筋痛性脊髄炎(ME)、線維筋痛症(FM)と診断され、ステロイド副作用等のためか糖尿状態にもなり、おまけに腰椎すべり症も最近発覚したり、いろんな経緯をたどるのですが…。
それを少しずつ記事にしていこうと思います。

人によってはこんな症状が出るんだ、とか、不自由になった部分はこう工夫すればいいのかとか、こうなったらコレを疑うべきなのかとか、実際の経験に基づいて1記事につき話題を絞り読みやすく書いていこうと思ってます。

アメブロにもいろいろ書いてるんですがまとまりがないので…。

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