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カズオの運行日報 第5話〜第6話 解説


本当にあった幽霊の話

深夜の納品時に、人ならぬ者に声をかけてしまい拾ってしまった…。
コレは焦げ猫が昔いた会社で本当にあった話です。
なぜ青さんのように「視えない」人もいるのにそれが「本当」と言えるのかというとですね。

まず、作中にあったように「出る」んで既に有名な場所だったんです。
納品場所の向かいの雑居ビルの階段上というのも実話どおりです。
(作中のモデルの建物は関係ないとこから引っ張ってます)
実際はもう少し大きいお姉さんだったようですが。

当時そのコース担当だった人、すごく優しい人だったんですよね。
寂しそうな幽霊の姿に、幽霊かもと半分わかっていながら、

「(一緒に)くるか」

…と、言ってしまったそうなんです。

以来その場所に出なくなったらしいですが、そのドライバーさん、その後単独事故を起こし、それによって遅れた配達の謝罪に行って言われなくてもいいようなことを言われ辛い思いをするなど運気がみるみる下がり…。

近所に法力のある有名なお坊さんのお寺があるから行ってこいと社長が言ってたんですが、どうやら行かなかったらしく。
ある日会社の車庫に自分の乗用車を置いたまま失踪してしまいました。

1年後、彼はホームレスで見つかりました。

いかつい見た目に反して繊細な人だったので、幽霊の負のエネルギーの影響を受けてしまったのか…、「自分が会社に迷惑をかけた、俺はもうダメだ」と思ってしまったんでしょう。

とてもこの事実はマンガにできません。

運送業界ではたとえ冗談でも事故の話はしたくないですし、メンタルがやられて転げ落ちるというのは焦げ猫自身もその辛さを経験しているので、マンガのネタで論える問題ではないと考えています。

ただ、どうしても実話系マンガとして描きたかったのは、そういうモノから身を守るのも大事ということですね。
いろいろと実話系ホラーマンガやスピ本読んでますと、

「視える人=霊感が強い」

…だけではない説がだいたい共通して言われてます。

「視えるから拾っちゃう人」
のほかに、
「視えないのに拾っちゃう人」
もいて、焦げ猫はたぶんこのタイプですね。

(ちなみに霊感が強い人と霊能者とは別モノだそうです。霊感があるからなれるというモノではないようです)

それと自分側の能力ではなく霊のエネルギーの強さでも、普段視えない人にも視えたりするそうです。

カズオの運行日報 第5話より

「出る」と有名な場所っていうのは普段視えない人にも視えるわけなので、相当負のエネルギーが強いんだと思われます。
そういう場合に声をかけてしまうと、「気づいてもらえた!」と、しがみついてくるわけ…。
霊に悪気はなくても、悲しい・怖い・痛い・寂しい…というマイナスの気持ちのまま成仏してない場合は波長が合うとすがってくるようです。

そういうモノの影響を受けると、運気がすごく下がるんですよね。
焦げ猫が経験したのは古井戸を神事せずに潰した建売を買ってしまいついでに「何か」の怒りも買ってしまったって話ですが、それがホンットウ〜に凄まじくて、それまで「自分が気にしてなきゃ平気だろ」くらいにナメてたのが一変したくらいです。
(コレ、イラストエッセイにしてあるので、機会があればいずれ公開しようと思ってます)

未公開作品「オバケ屋敷、神さま屋敷」より

なので、宗教的な話ではなく、「オバケは本当にいるから気をつけてくれさい」というのを描きたかった。

ちなみに山岸凉子大先生の昔の短編で「黄泉比良坂(よもつひらさか)」というのがありますが、たぶんまさにあんな感じだと思います。
山岸凉子さんのホラー短編は霊側から見た話が多いのですがそれだけにリアリティすごくて…オススメ作品の解説だけで記事が作れますよ…。


おかしな病院

事故の実話と差し替えたのが、この変な病院のエピソードです。

ずいぶん前で本人が正確な病名を覚えてないんですが、焦げ猫の弟が作中のカズオの症状で緊急入院となったことがあります。
で、職場の人に病院に搬送してもらい、焦げ猫が着替え持って朝行ったんですよ。
そしたら回診にきた先生(ホラーっぽいのにぶっ飛んでる雰囲気を出したかったのでロバート・スミスをモデルにしました…)がやたらテンション高くて、もう目の前で起きたことまんま作品にしました…。
たぶん夜勤明けで眠気通り越してハイになってたんじゃないですかね。
名前はちゃんと呼んどいて取り違えですからわけわからん。

あとから入室してきた急性アルコール中毒の患者も若い男の子だったようですが、セリフとか弟から聞いたまんまで当時大爆笑させてもらいましたので…。
相当苦しかったんでしょうね。
焦げ猫も若い頃は呑むほうでしたが、それ聞いて以来「そこまでは…」とセーブするようになりましたね(汗)。

反対側のお爺さんの寝言ですが、コレは弟に今回確認したら「なんか変な寝言言っててそれも気味悪かったんだけど内容は忘れたなぁ…」というので、ウチの母が入院したときの同室のお年寄りの寝言にしました。

カズオの運行日報 第6話より

妖怪「小豆研ぎ」と「子泣き爺」が合わさったような話を寝言で喋ってたというのです。
小豆の袋がどんどん重くなると。

焦げ猫も初めてギックリ腰(いずれそれ椎間板ヘルニアに…)で入院したとき、同室のお婆ちゃんがそんな感じでしたね。
認知症で昼間は赤ちゃん返りしてて幼児語しか話さないのに、寝言でマトモに誰かと喋ってるんですよ。

まぁ、今焦げ猫の母も認知症が進んでしまいましたし、焦げ猫自身もいつそうなるかわかりません。
他人事じゃないんですが、若い頃はビックリさせられたもんです。


伝票川ポチャ

コレ、背景に使った画像は実際その事件が起きた川の近辺です。
アニメ調フィルターをかけてるのでわからんようになってますが。

カズオの運行日報 第6話より

焦げ猫が昔いた会社の後輩若手ドライバーくんが、伝票が風で飛ばされ川に落ちたと…それを慌てて、荷主に直接報告しちゃったんですよ。
まぁ、商品をダメにしたワケではないので、伝票を再発行してもらい翌日の配達時にでも置いてくれば済む話なんですが。

運送業界ってのは多重下請構造でして、伝言ゲームみたいに「何次請けがやらかしたんだ!?」って騒ぎになったそうです。

「伝票は現金と同じと思え」

というのも、その会社で学んだことでしたね。
失くさない、汚損させない、見えるところに置かない(ダッシュボード等)…などなど。


手かぎで負傷

コレは焦げ猫の先輩ドライバーがやらかした話。

「手かぎ」っていうとたぶん皆さん魚の選別とか他にもいろいろ連想されるかと思いますが、こんなふうに運送業でも番重やオリコンに引っ掛けて引っ張るのに使います。
魚にブッ刺すワケではないので、先はそんなに鋭くはないものが多いのですが、実際コレでかなり深い刺し傷を作ってしまった人がいまして…。

カズオの運行日報 第6話より

下駄箱に靴を入れて上がるタイプの居酒屋さんで、従業員出入り口や搬入口は別に設けておらず、タタキで安全靴を脱いで奥の厨房まで手かぎで引っ張っての納品でした。

そんなケースだったんでしょうがないですけど、安全靴ってホンットウ〜に大事ですね。
忘れたからって普通のスニーカーやサンダルで作業してケガしたケースも幾つも見てます…。

で、その人はすぐ消毒したらしく予後はよかったんですが。

カズオはプレッシャーから、ケガを誰にも言いませんでした。
しかも傷が深いこと、衛生上のことをナメていました。

つい最近も、指がぶっ飛んだのに配達を続けたドライバーがニュースになりましたが、

「積んじゃったら何があっても届ける」

…みたいな根性論は未だにあるんですよ。
根性論というより、実際「誰が途中で交代するの?」っていう人不足の問題ですね。

カズオの場合その場で報告して配達終わってからでも医者で縫うなり消毒なり処置してもらえばよかったんですが、その日にほかのミスをしているので言いにくかったんですよね。

焦げ猫もミスが重なった場合「自分が我慢すればいいこと」はなるべく言いたくないタイプでしたので…。
ケガしたって言うと、たいていの会社ではめんどくさそうにされて、「労災使わせられないよ」…って対応ばかりされてきたっていうのもあります。

ただね、焦げ猫の引きの悪さは人並みじゃない(ブラックばっかり)ので、普通は報告→適切な処置を受け、日数かかるようなら傷病手当もらって休む。
というのがセオリーです。

カズオみたいにこじらせると厄介なので、「こりゃヒドい」というケガをしたら、罵倒されてもいい、自腹でもいいから報告して治療を受けましょう。


次回話の解説では、運気が悪いとき、何かに憑かれたっぽいときのの「お祓い」って本当に効くの?って話もそうなんですが、カズオが思ってるほど社会は冷たくないって話もしたいと思います。

焦げ猫はブラックばっかり引いてるとさっき話しましたが、もちろんそうでない会社もありました。
運行は元請のせいでブラックだけど社長の面倒見がすごくいいっていうケースもあったしいろいろです。

トラックドライバー職に興味を持ってくれている人には、いいことも悪いことも、いろんなケースを知ってほしい…そう思って描いています。


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