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小さく産まれて大きく育った娘のはなし

「小さく産んで、大きく育てればいいんよ。何にも気にすることないからね!」

予定日より2週間早く生まれた娘は、2400グラムと低体重出生児だった。娘の体などに問題はなかったものの、念のため小児科入院となる旨を告げられ、私は「大きなお腹で動き過ぎたから、早く破水したのかも…」と落ち込んだ。冒頭の言葉は、そんな私をみて励ましてくれた助産師さんの言葉だ。

この言葉で産後間もない私は救われたし、少し小さめに生まれた娘の背丈はぐんぐん伸びて、今ではクラスで一番身長が高くなった。

「小さく産んで大きく育てばいい」

その言葉のまま、娘はすくすくと育ってくれている。

あれ、年中って意外と小さい?

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昨年、娘の幼稚園の運動会に行ったときのこと。運動会当日はよく晴れて、10月だというのに夏日の暑さだった。

ママ友と「暑過ぎやな〜」と言いながらカメラを構えて待っていると、音楽が流れてきて、いよいよ入場行進が始まった。今年も感染防止のため各学年ごとの開催となったため、今日は年中だけ。カラー帽子を付けた子どもたちが、まっすぐに伸ばした腕を一生懸命振りながら入場してきた。

「あれ・・・?」

私は、少しうろたえた。年中さんって小さいんやな。遠目で見るから余計にそう感じたのかもしれないが、4~5歳の子どもたちはまだまだ小さくて、幼いながらに胸を張って行進しているのが、とてもとても可愛かった。クラスの最後尾にいた娘も、背筋を伸ばし、腕を大きく振って入場してきた。

「・・・そうか、小学生と間違われるほど背は高いけど、5歳ってまだ幼いんやなぁ」

可愛い子どもたちを前に、私はそんな当たり前のことを感じていた。

時にはゆるく、成長を見守りたい

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我が家には娘が一目惚れして、幾度もの家族会議を経て迎え入れた犬がいる。迎え入れる前に決めた娘の役割は、「習い事がない日はママと一緒に散歩に連れて行くこと」だ。

犬を家族として迎え入れて8ヶ月経つが、本当に毎日ちゃんと散歩に付いてくるので、我が子ながら内心偉いなぁと思っている。降園後、友達と遊んで疲れていても、習い事の後でも、「今日は寒いから来なくて良いよ」と言っても付いてくる。(ただし、大抵ふざけて踊りながら付いてくるので、私の逆鱗によく触れている)

習い事の宿題や練習も、毎日欠かさずやっている娘。こちらは渋ることもあるが、そんな時は「自分がやると決めたことは、やり通しなさい」と言い聞かせている。今日もそう、当たり前に練習をするような流れを作っていた。

やると決めたことをやり通すのは大切だし、多くの場面で「正しいこと」だとされるだろう。でも、5歳の娘に「正解」を押しつけるだけで良いのだろうか。

実はこの記事は、運動会直後に途中まで書いてから、3ヶ月間眠っていた。今何となく読み返したら、運動会の入場行進を見て感じたことを思い出した。

本当はまだ幼い娘に、たくさんのことを課してしまっているのかも知れない。

もっと、「時にはゆるく」で良いのかも知れない。習い事の練習や宿題だって、本人の考えや気持ちに任せて、たまにはさぼって良いのかもしれない。それに、長い人生、やると決めたことをやり通すのが正解のときもあれば、やると決めたことをやめる決心をするのが正解のときだって、ある。

見た目は大きくても、5歳の子どもはまだまだ小さい。

冒頭の助産師さんと、「生まれてきてくれただけで感謝やねぇ」と微笑みあったときの気持ちを、娘が大きくなっても忘れてはいけないと心に刻む。もっとゆるやかに、正解を決めつけずに娘の成長を見守りたい。

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