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見えなくてもライフハック

先日、クラブハウスでお世話になっている脚本家の今井雅子先生の面白い記事を読ん
だ。

靴下がどうしても離婚してしまうらしい。

片割れ靴下劇場|脚本家・今井雅子(clubhouse朗読 #膝枕リレー)
https://note.com/masakoimal/n/n6631a00e56d9


靴下の離婚問題はどうやら視覚障碍者の専売特許(?)ではないようだ。
見えていても意外と悩まされている?!


私が若かりし頃、完璧主義の母が洗濯物を管理していた時はそんなことは考えもしな
かったが、見えなくなって自立すると靴下問題はいきなり浮上した。

全盲の先輩に相談した所、彼は安全ピンでとめていると言っていた。
しかしこれは洗濯機がぐるぐる回っている間に外れてしまったらかなり危ない。

どうしたものかと思っていた矢先、「Light & Life」という点字の雑誌で靴下離婚
を阻むための春日井になるクリップが紹介されていたのを見つけた。

天の助けとばかり早速購入。これがもう20年位前の話。

しかし、靴下を洗濯機に入れるたびにいちいちクリップでとめるのはだんだん面倒に
なってきた。私は本来ものぐさなのだ。

何とかなるだろうとそのまま放り込むようになったら案の定離婚率がバク上がりした

なくなってしまったとあきらめていた片割れが、忘れたころにカピカピに渇いて洗濯
機の隅っこから発見されることもしばしば。
見えない者にとっては5cm離れているだけでも手に触れなければそれは存在しないこ
とと同義なのだ。

全盲の有人は、台所周りの物を少しでも動かされてしまうと見つけられなくなるから
という理由で、家事援助の人には掃除をお願いしていないと言っていた。


当時は今よりは見えていたものの所詮は弱視、ばらばらの靴下の中からペアを完成す
るのにはかなりの時間を要した。

同じ靴下を買えばいいというアイデアもあったが、いただいた物や初売りで買ったも
の、同じものを買おうとしたらうまく見つけられなかったなどの壁に阻まれ早々に断
念。

そんなこんなで急がば回れという事になり、お蔵入りになっていたクリップが再登場
した。


そして今、離婚案件に悩んでいるのが箸。

箸入れにさしたつもりがうまくささっていなかったり、どこにでも転がって行ってし
まうので行方不明が続出する。
かなり前になくなっていたと思っていたものが、1本だけどこからともなく発見され
たりなんてことも。

同じものを何膳も買っておいて使っていたのにいつの間にかなくなっているので、と
うとうお弁当についていた割り箸を何度も洗って使いまわすようになった。
これならなくなってもダメージがない。
しかし食事をしていてなんとなく味気ない。
お箸の離婚問題、見えない人たちはどんな工夫をしているのだろうか。


かなり前だが、ラジオで「家の中で見つけられないものベスト10」というのをやって
いた事がある。
具体的には爪切りや耳かき、老眼鏡、ドライバーなどの工具などがあった。
私は全部どこに置いてあるか思い出せた。

何でも適当に置いてしまったら二度と再び見つけることができなくなる可能性がある
からだ。だから定位置を決めて、面倒でもいちいち元に戻すように心がけている。

ヘルパーさんに「ドライバーある?」と聞かれてすぐ出してきたりすると、きちんと
管理しているとか場所を覚えているとか言われて感心される。

いやいや、感心されるところではなく、しまう手間と探す手間を天秤にかけて自分に
とって楽な方を選択しているだけなのだ。

しかし疲れていたり急いでいたりするとついどこかで祈祷な場所に置いてしまい、後
で探し回るなんてことも結構やらかしてしまったりもしている。


そんな具合なので、日常的に盲人的ライフハックのためのお便利グッズや創意工夫を
模索するようになった。

例えば翌日出すごみを玄関の端に置いておいたら捨てるのを忘れたので、今は絶対に
蹴飛ばすところに置いている。
見えなければ気づけないものは移動の導線に置いて触覚に訴えかける。これも生活の
工夫だ。


ところで先日見たライフハックグッズベストテンの中に忘れ物防止タグというのがあ
った。どうやら靴下離婚だけでなく、なくしもの全般が見える人と見えない人共通の
問題のようだ。

いくつか種類があって比較もされていたけれど、画面は見えないしレビューを読んだ
だけでは私が使えるかどうかはわからなかった。
視覚障碍者周りでも紹介している人はいなかったから、見えないと使い勝手はあまり
よくないのかな。

こういう、障害があってもなくても需要がありそうな製品はぜひユニバーサルデザイ
ンにして、大量生産の元、安価で手に入れられるようにしてほしいものだ。

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