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「イタリア料理を食べに行こう」のアルティメットナポリタンがおとなげない

京王線の府中駅前にあるお店「イタリア料理を食べに行こう」のアルティメットナポリタンがおとなげない。
ガチのイタリア料理人がガチに本気でナポリタンを作ったのだ。こんなおとなげない話があるか。
そもそもナポリタンとは日本生まれの日本料理。
みなさんが好きなレトロでエモいナポリタン、ありますよね。あれって純喫茶で蝶ネクタイした老マスターが茹でおきのスパゲティをケチャップで炒めて作る「洋風焼きうどん」でしょ。

エモくてレトロな純喫茶タイプ。

こういうのでしょ。おいしいよね! 俺も好き!
そんな古臭さこそ尊ばれるナポリタンのジャンルに、ガチイタリアンのテクとノウハウ(と食材)をぶつけてくるなんて、実におとなげないですよね。

アルティメットナポリタンがアルティメットである理由

ガチイタリア料理人がガチ本気でこさえたもの。

これがアルティメットナポリタン。パンとかついててマジおしゃれ。単品1,650円。税込。ランチコースの場合はコース料金+500円になります。
このナポリタンがアルティメットである理由は、食材のおとなげなさにある。
通常のナポリタンは、ケチャップ味、ピーマン・タマネギ・ソーセージ・粉チーズ、お好みでタバスコが構成要素になりますね。そんなナポリタンの世界で、イタリア料理の知恵と素材を惜しみなく使ってレギュレーションすれすれの神業を見せる「誇張しすぎたナポリタン」がアルティメットなんすよ。
では食材がどんなふうにおとなげなくランクアップされているか、ひとつひとつ見ていこうね。


ケチャップ味 → ケチャップを使ったトマトソース

奥底にケチャップを感じさせるサジ加減よ。

このソース、客が「ナポリタンを食べた」って感想を持つように調整されているッッッッ! 驚いたのはソースの味でしたねー。どうせ本格的なトマトソースにしちゃうんでしょ、って思ってたらさ、味のボトムでケチャップがむくりと顔を出してきたんすよ。ナポリタンのアイデンティティはケチャップ味だってわかってるんですよ。ちゃんとイタリア料理人がガチで作ったナポリタンだよとひかえめに主張する洒脱な処理、大人だなって思いましたね。


ソーセージ → サルシッチャ

挽き肉とスパイス&ハーブの塊。

サルシッチャとはイタリア語で「腸詰め」の意味。よく知ってるソーセージと違うのは、加熱してなくても、なんなら腸に詰めてなくても「サルシッチャ」と呼ばれること。イタリア、おおらかすぎる。
アルティメットナポリタンは、お店で使う自家製サルシッチャを使っている。正確に言うと、腸に詰める前の肉を使っているとのこと。ハーブの香りが効いたお肉が口の中でほろほろジュワーと旨味を振りまきながらほどけていくんすよ。

粉チーズ → ゴルゴンゾーラキューブとパルミジャーノおろし

青カビの匂いがする。このニオイを消してやるッッッッ。

粉チーズの代わりに使われてるのがゴルゴンゾーラとパルミジャーノ。香りのパワーと濃い旨味。いくらお店にあるからって、こんなパワフルなトッピングはおとなげないでしょ。クセの強い香りが鼻の奥から前の方にバチーンと流れてきてトマト&ケチャップの香りにぶつかると、僕の記憶から「いいお店で食べたイタリアンの味」が喚起されて「高級っ!」って反応しちゃう。脳が勝手に高級品だと思っちゃう。
記憶をハックする方法で旨さを出してくるおとなげなさもある。

タバスコ → ハーブソース

青臭さとエグみが絶妙にコントロールされている

この緑のベッタリしてるのはハーブソース。セージやローズマリーなどを使った複雑なブレンドで、上級な風味はさすが本格イタリアン仕込み。遠慮ない青臭さとコントロールされたエグみは、元祖ナポリタンでピーマンが果たしている役割をもっと高いとこでやってる感じ。味変のタイミングでサラッと混ぜたら、のんびりドライブ中に急ハンドル切られたようなスリルを味わったぜ。

茹でおきスパゲティ → 乾麺のアルデンテ

アルデンテは英語に直すと「to dent」。日本語なら「歯に」という意味。歯ごたえある茹で加減。

イタリアンのお店だから生パスタもあると思うのよ。楕円形のやつとか平たいのもあると思うのよ。でも日本のスパゲッティらしさを出すために、あえて乾麺。円形断面のスパゲティを使っているっていうのよ。むやみに高級化するだけじゃなく、ナポリタンらしさを主張しないとナポリタンにはならないという判断に大人の余裕を感じたよね。

イタリア料理を食べにイタリア料理を食べに行こうに行こう

ウンまああ〜い。

ケチャップ味。
ピーマンとタマネギとソーセージが入ってる。
粉チーズをトッピングしたりタバスコ的な刺激のあるソースで味変したりする。
このようにアルティメットナポリタンはたしかにナポリタンですがー。
こんな感じでおとなげなく食材をランクアップしながら、なおかつ高次でバランスがとれているのってすごくないですか。食材をオゴるだけなら誰でもできるけど、イタリア料理として完成させてるのがすげえと思ったね。

さてこの店名、気になりますよね。どうやら店名の由来は以下の通り。
ここは何を食ってもうまいけど、プロの料理人のおとなげなさを感じたいならアルティメットナポリタンをおすすめしたい。ていうかまあ、そのためにこのエントリを書いたんだし。


イタリア料理を食べに行こう


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