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短編/掌編小説

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#詩

掌編小説/風葬都市ガイドマップ

掌編小説/風葬都市ガイドマップ

 街の名前は知らない。
 知っているのは、何百年前に滅んだ街というだけ。
 入口には錆びた看板があり、かろうじて〈…隊を希望され……〉の文字が判読できる。しかし、仮に文字が判読できたとしても、読む人がいなくなった現在となっては、わずかにできた日陰にしか価値がない。
 風に含まれた砂が金属板にぶつかり、絶えずかすかな音をたてている。
 見渡すかぎりの砂の色。アスファルトも、コンクリートも、砂の色。

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