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朝の香り
平日の朝はドリップコーヒーを淹れて、水筒につめる。
会社へ持っていくため。
ゾンビのような態で目覚め、何も考えずお湯を沸かしコーヒーを淹れる。
コーヒーの粉にお湯が落ち、かぐわしい香りが台所に広がる。
胸いっぱいにコーヒーの香りを吸い込む。
その瞬間、私が生きていた時の感覚を思いだす。
深い呼吸をして、体中に血が巡り頬が薔薇色だったころの記憶がよみがえる。
それはわずかな時間で息を吐いたら忘れてしまった。
呼吸は浅く、青白い顔した私は水筒の蓋を閉める。
カフェインを燃料としてなんとか稼働する日々ではなく
確かに生き生きとしたかぐわしい香りにときめく生活が私にはあったのだ。
どこにいったのだろう。
どこにいるんだろう。
わからない。
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